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49 スカイシード、見つけました

 ラヴィさんの膝を分けあって、ボクはユニコーンといっしょにお昼寝した。


 ラヴィさんの膝って、すっごく気持ちがいいんだ。

 りりしいユニコーンも、グニャグニャの猫みたいにとろけちゃうほどに。


 ラヴィさんは微笑みながらボクらを見つめ、左手でユニコーンを、右手でボクを撫でてくれた。

 すると身体からすぅーっと力が抜けていって、あっという間に夢の世界にいっちゃうんだ……!


「……あ! いたっ! おーい、ソラーっ!」


 しかし大声で呼びかけられて、ボクとユニコーンは同時に飛び起きてしまった。


「あっ……アンジュさん? どこ行ってたの?」


 寝入りかけのボンヤリした頭で尋ねると、アンジュさんは満開笑顔でニカッと笑う。


「ちょっと森を散歩してたんだ! それよりもさ、いいもの見つけたからちょっと来て来て!」


 アンジュさんは話もそこそこに、ボクを引っ張り起こした。


「あっ、アンジュちゃん、ソラちゃんはユニコーンちゃんといっしょにお昼寝を……」


 ラヴィさんは、厳格な父親に子供を連れて行かれる母親のような表情をしている。

 でも、アンジュさんのスパルタっぷりはとどまるところを知らず、ラヴィさんの手をも取っていた。


「そんなのあとあと! ラヴィも一緒に来て来て! ほら、ユニコも起きて起きて!」


 尻をはたかれて、ユニコーンも渋々といった様子で身体を起こす。


 アンジュさんはユニコーンのことを『ユニコ』と呼んでいた。

 名前まで付けちゃってるうえに、お尻を叩くなんて……いつの間にかかなり仲良くなっているようだ。


 ボクとラヴィさんとユニコは、アンジュさんに連れられ、森の奥へと案内される。

 すると……長い木々の立ち並ぶ林へと着いた。


「これは……杉の木だね」


 ボクは、天を突くようにまっすぐにそびえる木の幹に手をつく。

 木の専門家じゃないけど、かなり立派な杉の木というのはわかる。


「そうなの? それよりもさ、上見て、上!」


 背伸びだけでは足りず、ピョンピョン跳ねながら木のてっぺんを指さすアンジュさん。

 ボクは限界まで首を傾けて、空を仰いだ。


「木の上に、何かひっかかってるのが見えない?」


 アンジュさんはそう言ってるんだけど、樹冠のせいでよくわからなかった。

 「うーん、よく見えない……」とつぶやいたら、ラヴィさんがひょいと抱きあげてくれる。


「あっ、ありがとうラヴィさん。もうちょっと後ろに下がってくれない?」


 「うん」と頷いたラヴィさんは、ボクをぬいぐるみのように抱きしめたまま、後ろにさがってくれた。


 すると……樹冠の隙間から、なにか光るものが見える。

 三角形の樹木の頂上には、なにかが引っかかっていて……それが太陽の光を受けて輝いていた。


 いや……むしろ、まるでアレ自体が光を放っているみたいだ……。


「なんだろう、アレ……」


「でもキラキラしてて、なんだかスゴそうじゃない?」


 たしかに、灯台の明かりみたいにピカピカしてて……すごく気になる。

 ボクはいちど気になると、正体を確かめないとなんだか嫌なんだ。


「ラヴィさん、ありがとう。ちょっと木に登ってみるから離して」


 するとラヴィさんは、逆にボクをギュッとしてきた。


「こ、こんなに高い木を登るなんてダメっ! 危ないからやめて!」


 こうなっちゃったラヴィさんは、なかなかに頑固だ。

 少々のことでは、ボクを離してくれないだろう。


 どうしようかな……ポポに猫になってもらって、かわりに登ってもらおうかな……なんて考えていると、


「あっ、ソラ様……こんな所にいらしたんですね!」


 ノボルさんとクルミさんがやって来た。

 どうやらボクらを心配して、探しに来てくれたようだ。


 ノボルさんの手には引き綱があって、さっき捕まえたウマが繋がれている。

 一緒に連れて歩けるくらい、仲良くなったんだ……! とボクは嬉しくなった。


 そしていいことを思いついたんだ。


「ノボルさん、ノボルさんて木登りが得意だよね? この杉の木のてっぺんにある、光るものが何か確かめることってできる?」


 するとノボルさんは「はい! 簡単です!」とハツラツに頷いてくれた。

 手綱をクルミさんに手渡し、さっそくスルスルと木に登ってくれる。


 あっという間に頂上近くまで登り詰めたノボルさん。


「……首飾りのようなものが引っかかってまーす! 揺らして落としましょうか?」


 と声が降ってきたので、ボクは「おねがーい!」と叫び返す。


 すると……ガサガサっと音がしたあと、光の筋を残しながら何かが落ちてくる。

 まるでロウソクみたいにボンヤリと輝いていたので、地面に落ちてもすぐに見つけられた。


 杉の木の上にあったものの正体……それは、白い石みたいなのが付いたペンダントだった。


「わあっ……! これって、『スカイシード』だよ……!」


 白い石に負けないくらい、瞳を輝かせるアンジュさん。


「アンジュさん、これが何か知ってるの?」


「うん! 天空城をパワーアップさせるタネだよ! 天空城の庭に埋めると、新しい力が天空城に生まれるの!」


「パワーアップ!? そうなんだ……! じゃ、さっそく帰って埋めてみよう!」


 パワーアップ……ボクの大好きな言葉だ。

 正義の味方でもなんでも、パワーアップすればより強く、カッコよくなるもんね……!


 ボクははやる気持ちを抑え、ノボルさんが降りてくるのを待ってから、天空城へと戻った。

 今回も大収穫だったので、みんなの足取りも軽い。


 ウマに、スカイシード……!

 ユニコもボクらについてきてくれたので、一緒に帰る。


 初めて見るユニコーンに、ノボルさんとクルミさんはかなりおっかなびっくりだった。


  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆


 天空城に戻るなり、みんなは呆然としていた。


「そ……ソラ……」「ソラちゃん……」「ソラ様……」


 牧場を楽しそうに遊びまわるウマたちを前に、ボクの名前を呼ぶだけで精一杯。


「もしかしてソラひとりで全部、このウマを捕まえたの……?」


「すごい……ソラちゃん……お馬さんと仲良しだったのね……」


 ただただ瞳をぱちくりさせる、ラヴィさんとアンジュさん。


「俺たちは一匹捕まえるのもやっとだったのに……!」


「ソラ様は……やっぱり偉大なお方です……!」


 感動に瞳を潤ませながら、跪いて祈りのポーズをとるノボルさんとクルミさん。


 ボクはひとりでやったわけじゃなかったので、逆になんだか照れてしまった。


「うん! ……って言いたいところなんだけど……捕まえたのはフルールで、ここまで連れてきたのはポポなんだ」


「すごいフルール! ウマをこんなに捕まえるなんて! さっすがアタシの作ったゴーレム!」


 フルールの手をとって踊りだすアンジュさん。


「ポポちゃん、えらいわぁ、お馬さんと仲良しだったのねぇ」


 猫なで声でしゃがみこみ、犬のポポを抱きしめるラヴィさん。


 それよりもボクはスカイシードのことが気になってしょうがなかったので、みんなを置いて天空城のホコラへと飛び込んだ。


「ほっほっほっほっ、すごいぞソラ、聖獣の『ユニコーン』を従え、さらに『スカイシード』を手に入れるとは……! 1レベルアップじゃ!」


 迎えてくれたオジサンの言葉で、ボクは手の甲が光っていることに気づく。


「『ユニコーン』は『ペガサス』と並んで神様の乗るウマじゃ。『ペガサス』は空を飛べるという大きな特徴があるんじゃが、大地を走る速度は『ユニコーン』のほうが速く、また角で攻撃もできるんじゃよ」


 そっか……『ユニコーン』がいるってことは、『ペガサス』もいるんだ……! 

 ボクはまだ見ぬ天馬に想いを馳せそうになったけど、その前に大事なことを思い出す。


「そうだ……オジサン、『スカイシード』の使い方を教えてよ、天空城の庭に埋めればいいんだよね?」


 すると、オジサンはニッコリと頷いた。


「その通り。天空城の庭であれば、どこに埋めてもかまわんぞい。ただ、スカイシードが天空石とリンクするのにひと晩ほどの時間と、地脈の力が必要なんじゃ。従って、しばらく地上にいる必要がある。じゃから……なるべくまわりが安全な場所で埋めるとよいぞ」


「そうなんだ……わかった、ありがとうオジサンっ!」


 ボクはさっそくホコラを出て、すぐ足元を掘る。

 できた小さな穴に、スカイシードをポトンと落とし、土をかぶせた。


「これでよし、っと……!」


 パンパンと手で慣らしたあと、ボクは立ち上がる。


 本当は集落まで戻ってから埋めたほうが、より安全なんだろうけど……待ちきれなかったんだ。


 ウマを捕まえるときにこのあたりの草原を走り回ってみたんだけど、モンスターとはぜんぜん遭遇しなかった。

 だから安全だと判断して、タネを埋めてみたんだけど……今から楽しみでしょうがない。


 天空城がパワーアップするって、どんな風になるんだろう?

 ロボットに変形できちゃったりするのかな……!?


 それからボクはずっと落ち着かずに、そわそわしてた。

 ご飯を食べても、水浴びをしても、ベッドについても……考えるのはスカイシードのことばかり。


 夜中にも何度も起き出して、埋めた場所を確認する。

 でも、なんともなってない。芽が出たり、光がたちのぼったりすることもない。


 ずっと埋めたときのまんまだなぁ……と思っているうちに、いつの間にか眠りについた。


 そして次の日の朝。

 朝ごはんの支度をしようと起き出したラヴィさんの悲鳴で、ボクとアンジュさんは飛び起きた。


 朝日が射し込む寝室の窓。

 その向こうに広がる光景を見て……ボクは驚きの声をあげたんだ。

■■■奇跡ツリー■■■(現在の神様レベル:27)


 今回は割り振ったポイントはありません。未使用ポイントが4あります。

 括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


 ●大地の奇跡

  操地

   (0) LV1 隆起    … 地面を隆起させる

   (0) LV2 陥没    … 地面を陥没させる

   (0) LV3 ???   … ???

  噴出

   (0) LV1 噴水    … 水を噴出させる

   (0) LV2 噴火    … 火を噴出させる

   (0) LV3 ???   … ???

  地動

   (0) LV1 地震    … 地震を起こす

   (0) LV2 地割れ   … 地割れを起こす

   (0) LV3 ???   … ???


 ●神通の奇跡

  神の手

   (1) LV1 ジオグラフ … 大地を切り取る

   (1) LV2 ウェポン  … 武器を出す

   (0) LV3 マジック  … 天空城の奇跡を手から出せる

  神の叡智

   (2) LV1 現界の声  … この世界の声を聞く

   (1) LV2 異界の声  … 異界からの声を聞く

   (1) LV3 天啓    … 人間に知恵を授ける


 ●天空城の奇跡

  高度

   (1) LV1 高度アップ … 天空城をさらに高く飛ばせる

   (0) LV2 天空界   … 「天空界」まで飛ばせるようになる

   (0) LV3 ???   … ???

  速度

   (3) LV1 速度アップ … 天空城の移動速度があがる

   (1) LV2 高速移動  … 高速移動ができる

   (0) LV3 ???   … ???

  流脈

   (0) LV1 消費減少  … 奇跡力の消費を抑える

   (0) LV2 放出    … 天空城から物体を放出できる

   (0) LV3 ???   … ???

  障壁

   (0) LV1 防御障壁  … 天空城を守るバリアを張る

   (0) LV2 水中潜行  … 水中に潜れるようになる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●創造の奇跡

  魔法生物

   (4) LV1 ゴーレム  … ゴーレムを創る

   (1) LV2 小人成長  … 小人を人間にする

   (1) LV3 使徒成長  … 人間を使徒にする

  有機生物

   (1) LV1 絶滅    … 生命を絶滅させる

   (1) LV2 成長促進  … 生命の成長を早める

   (0) LV3 生殖    … 生命を親にする

  回復

   (1) LV1 治癒    … 病気や怪我を治す

   (0) LV2 死者蘇生  … 死んだものを蘇らせる

   (0) LV3 死者転生  … 異界から死者を蘇らせる


 ●水勢の奇跡

  波浪

   (0) LV1 小波    … 小さな波を起こす

   (0) LV2 大波    … 大きな波を起こす

   (0) LV3 津波    … 津波を起こす

  水かさ

   (1) LV1 減水    … 水を減らす

   (1) LV2 増水    … 水を増やす

   (1) LV3 海割り   … 水を一時的に割る

  操水

   (0) LV1 霧散    … 霧を作り出す

   (0) LV2 噴水    … 水を噴出させる

   (0) LV3 渦     … 渦を作り出す

  水中

   (0) LV1 呼吸    … 水中で呼吸できるようになる

   (0) LV2 浮力増   … 水中の浮力を増やす

   (0) LV3 浮力減   … 水中の浮力を減らす


 ●天候の奇跡

  雲

   (1) LV1 雲     … 家の煙突から雲を出せる

   (0) LV2 虹     … 虹を出せる

   (0) LV3 ???   … ???

  風

   (0) LV1 風     … 風を起こせる

   (0) LV2 竜巻    … 竜巻を起こせる

   (0) LV3 ???   … ???

  雨

   (1) LV1 雨     … 雨を降らせる

   (0) LV2 洪水    … 洪水を起こす

   (0) LV3 ???   … ???

  雪

   (0) LV1 雪     … 雪を降らせる

   (0) LV2 大雹    … 大きな雹を降らせる

   (0) LV3 ???   … ???

  雷

   (1) LV1 雷     … 雷を落とす

   (0) LV2 導雷    … 目標に誘導する雷を落とす

   (0) LV3 ???   … ???

  火

   (0) LV1 火の粉   … 火の粉を降らせる

   (0) LV2 火の玉   … 火の玉を降らせる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●太陽の奇跡

  気温上昇

   (0) LV1 気温上昇  … 気温を上げる

   (0) LV2 猛暑    … 猛暑にする

   (0) LV3 ???   … ???

  気温下降

   (0) LV1 気温下降  … 気温を下げる

   (0) LV2 寒波    … 寒波を起こす

   (0) LV3 ???   … ???

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