↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/52

27 海のモンスターたちに、立ち向かいます

 沖で男の子たちを襲ったのは、人間と魚のハーフみたいな化け物だった。


 デメキンみたいなギョロ目で、サメみたいなノコギリのような歯が並んだ大口。

 ウロコに覆われた皮膚に、水かきのついた手足。


 一言で表すなら、『半魚人』というのがしっくりくる。

 ボクは驚きのあまり、ヤツらのギョロ目に負けないくらい目をむき出しにしていた。


「あ……あれは、半魚人!?」


「それは通称ですね。正式には『マーマン』と呼ばれるモンスターです」


 ボクは最初に感じた印象をそのまま口にしたんだけど、隣のフルールから即訂正される。


 ビックリしているのはボクだけじゃなかった。

 釣りをしていた男の子たち、騒ぎを聞きつけてやってきたラヴィさん、そして女の子までも、マーマンのおぞましい見た目に固まっている。


 アンジュさんだけはこの騒ぎが耳に入っていないのか、畑の方でまだ踊っていた。


「マスター、陸続きになりましたので、リスクなくマーマンたちにアプローチ可能です。撃退しますか? ……マスター?」


 フルールに呼びかけられて、ボクはハッと我に返る。


「う……うんっ! やっつけよう! マーマンにやられたみんなを助けなきゃ!」


「承諾しました」


 風のように飛び出していくフルール。

 ボクも後に続こうとしたんだけど、背後から抱きすくめられてしまった。


「……ソラちゃんやめて! 危ないことはしないで!」


 鈴の鳴るような声と、クッションみたいにやわらかい感触で、すぐにラヴィさんだとわかる。


「ちょ、離してラヴィさん! マーマンをやっつけるんだ!」


「だめっ! そんな危ないこと! ケガしちゃったらどうするの!?」


「危ないかもしれないけど、ボクはみんなを助けなきゃいけないんだ! だから離してよぉ!」


「だめったらだめっ! お願いだから、おとなしくしてて!」


 いくら言っても、ラヴィさんはボクの身体を抱きしめて離してくれない。

 まだ子供のボクは、こうされると動けなくなっちゃうんだ。


 その間にポポとフルールが、マーマンのほうに襲いかかっていた。

 マーマンは陸地だと不利だと思ったのか、壁状の海の中にとびこんで逃げてしまう。


 逃げられてしまったけど、ひとまずの危機は去った……!

 でもラヴィさんは離してくれなかったので、ボクはひっつかれたまま指示を飛ばす。


 釣りをしていた男の子たちと、力もちのエイヤさんに呼びかけて、海の底に倒れている男の子たちを連れてきてもらった。

 マーマンに襲われた男の子たちは、身体中が噛み傷だらけで痛々しく……また溺れてしまったのが白目を剥いている。


 急いで治癒効果のある天空城の庭に寝かせると、傷は塞がった。

 さらに人工呼吸をしてあげると、意識を取り戻す。


 よかった……! みんなの協力のおかげで、被害は最小限ですんだ……!


 ボクはほっと息をなでおろしたけど、すぐに落ち込んでしまう。


 だって……ここがモンスターの支配地域だって、今になって思い出したから……!

 海での出来事が楽しすぎて、いつの間にか忘れちゃってた……!


 それに……判断も間違えてしまった……!

 モンスターっていうのは、陸にいるものだと思ってた……!


 だから丘のほうをゴーレムに見張ってもらえば、襲撃については万全だと思い込んでしまった……!

 油断した……! 油断してたっ……!


 塩を作れて、魚もいっぱい採れて順調だったから、無防備にも昼寝なんかしちゃってた……!

 こんなんじゃ、ダメだ……! 気を引き締めなきゃ……!


「アイツハ ナンダ ソラ!?」


「アンナ コワイ イキモノガ イルナンテ……!」


「コレジャ ウミニ ハイレナイ……!」


「コレカラ ドウスレバ イインダッ!」


「ハヤク ココカラ ニゲヨウ!」


 マーマンがよほど怖かったのか、みんなはパニックになっていた。

 よく考えたら、みんなモンスターを見るのも初めてだったんだ。


 熊に襲われた時は「獰猛な動物」と理解していたようなんだけど、今回遭遇したのは理解の及ばない「異形の怪物」だと思っているようだ……!


 ボクは前世の知識があったから、すぐに半魚人と判別できた。

 それでもまだドキドキしてる。


 他のみんなはそうじゃない。あんな魚の化け物を見るのは、空想の世界でもなかったんだ。

 取り乱してしまうのも無理はない。


 ボクはみんなを落ち着かせるために、天空城の庭に集まってもらった。

 アンジュさんは飽きもせず踊っているようだったので、そのままにしておく。


 ラヴィさんはまだ離してくれなかったので、ボクはしがみつかれた状態でみんなに話をした。


 まず、モンスターについて説明する。

 この世界には、モンスターという人間を襲う存在がいることを。


 以前いた集落が安全だったのは、ボクとポポとピエールが力とあわせて、一帯を支配するボスモンスターをやっつけていたから、ということも説明した。


 そしてボクは……みんなに話しながら、心の中で決意したことを宣言する。


「ボクは……これからマーマンたちのボスと戦う……! ボスをやっつけて、このあたりの海をみんなのために取り戻す……!」


 ボクは気づいたんだ。

 ここで元の集落に逃げ帰っても、意味がないことを。

 いつかはまたモンスターがやって来るから、けっきょく怯える生活に逆戻りだ。


 だから決めたんだ。

 だったら……この食べ物が豊富な海を、戦って取り戻すべきだと……!


 ボクの宣言に、みんなは不安そうな顔をしていたけど……心配無用とばかりに首を振る。


「大丈夫! みんなは戦わなくていいよ! またボクとポポ、そしてピエールとフルールでやっつけちゃうから……!」


 すると、上からポツン、と雫が降ってきて……ボクの鼻先を濡らした。

 雨かな? と思ったけど、雨にしてはなんだかあたたかい……。


 不思議に思って上を向くと、続けてポタポタと顔に降りかかってくる。

 それが真珠のように美しい粒だったので、雨じゃないってすぐにわかった。


 ラヴィさんが、泣いていたんだ。


「……なんで泣いてるの? ラヴィさん?」


 尋ねると、ボクを見下ろしているラヴィさんの瞳が、海の中で漂っているみたいにゆらいだ。

 瞬きをひとつすると、あふれだした涙が頬を伝い、アゴから垂れ落ちる。


 またボクの顔に、朝露のような雫が当たった。


「ぐすっ……ソラちゃんが、心配でたまらないの……! ケガしたことを考えるだけで、悲しくなっちゃう……! だから……お願いだから……危ないことはやめて……!」


 嗚咽とともに涙声を絞り出す、ラヴィさん。


「……どうしてそこまでボクのことを、心配してくれるの?」


 ボクは見上げたまま、かねてからの疑問を口にする。


 ラヴィさんは事あるごとに、みんなの身体を気づかってくれる。

 特にボクに対しては、過保護といえるくらいに。


 それはもちろん嬉しいことだったんだけど……同時に不思議でもあったんだ。

 彼女は時に自分を犠牲にしてまで、ボクたちを助けようとしたことがある。


 その気持ちがボクには、理解できなかったんだ。


「心配するのは、当たり前のことよ……! だってソラちゃんのことが、好きだから……!」


 ラヴィさんは、震る声で続ける。


「……いつも元気で、一生懸命で……! なんでも知ってて、それをわかりやすく教えてくれて……! うまくできたら、すごいすごいって、いっしょになって喜んでくれて……! でも、あきらめると叱ってくれて……! 他の女の子に比べて、うまくできないわたしにも、できるまでつきあってくれて……! そんなやさしいソラちゃんが、大好きだから……!」


 思えばラヴィさんは、毎晩ベッドのなかでボクを抱きしめて「好き」って言ってくれた。

 こうして改めて言われると、ラヴィさんの想いがひしひしと伝わってくる。


「わたし、もうソラちゃんがいない世界なんて、考えられないの……! 考えたくないのっ……! ううっ……! ソラちゃん……! ソラちゃんっ……! わたしはソラちゃんと離れたくない……! ずっと一緒にいて、守ってあげたいのっ……!」


「ラヴィさん……」


 ボクの身体に回されている、四点式シートベルトみたいなラヴィさんの腕に、手を置く。

 いつもボクを守ってくれる、抱きしめてくれる、お母さんみたいにやさしくて、あったかい腕……!


「……好きだから、か……! そっか、そうだよね……! ボクもラヴィさんのこと、大好きだよ! だからこそ、ボクは戦うんだ! ここにいるみんなを、守るために……! だから、わかってほしいんだ……! 大丈夫、ボクは負けないから……あれっ?」


 話の途中で、ボクは浮いていることに気づく。

 気がつくと、子猫みたいに脇を抱え上げられていた。


 そのままガシッと、ラヴィさんの胸に抱きしめられる。

 ボクの肩に、ラヴィさんの顔が乗る形になった。


「わ……わかったわ! ソラちゃんが、みんなを守るために戦うんだったら……わたしも、ソラちゃんを守るために戦うっ!」


 ボクからはラヴィさんの表情が見えなかったけど、泣いていたのがウソみたいにしっかりした声だった。


「え……ええっ!?」


 突然のラヴィさんの変わりようと、いきなりの決意表明に、ボクは呆気にとられる。


 そして、ボクの手が輝きだした。

 この状況でなぜか、レベルアップしたようだ。

■■■奇跡ツリー■■■(現在の神様レベル:17)


 人間が真の愛に目覚めたので、『創造の奇跡』LV3が解放されました。


 今回は割り振ったポイントはありません。未使用ポイントが1あります。

 括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


 ●創造の奇跡

  魔法生物

   (4) LV1 ゴーレム  … ゴーレムを創る

   (1) LV2 小人成長  … 小人を人間にする

   (0) LV3 使徒成長  … 人間を使徒にする

  有機生物

   (1) LV1 絶滅    … 生命を絶滅させる

   (1) LV2 成長促進  … 生命の成長を早める

   (0) LV3 生殖    … 生命を親にする

  回復

   (1) LV1 治癒    … 病気や怪我を治す

   (0) LV2 死者蘇生  … 死んだものを蘇らせる

   (0) LV3 死者転生  … 異界から死者を蘇らせる


 ●水勢の奇跡

  波浪

   (0) LV1 小波    … 小さな波を起こす

   (0) LV2 大波    … 大きな波を起こす

   (0) LV3 津波    … 津波を起こす

  水かさ

   (1) LV1 減水    … 水を減らす

   (1) LV2 増水    … 水を増やす

   (1) LV3 海割り   … 水を一時的に割る

  操水

   (0) LV1 霧散    … 霧を作り出す

   (0) LV2 噴水    … 水を噴出させる

   (0) LV3 渦     … 渦を作り出す

  水中

   (0) LV1 呼吸    … 水中で呼吸できるようになる

   (0) LV2 浮力増   … 水中の浮力を増やす

   (0) LV3 浮力減   … 水中の浮力を減らす


 ●神通の奇跡

  神の手

   (1) LV1 ジオグラフ … 大地を切り取る

   (0) LV2 ウェポン  … 武器を出す

   (0) LV3 マジック  … 天空城の奇跡を手から出せる

  神の叡智

   (0) LV1 現界の声  … この世界の声を聞く

   (0) LV2 異界の声  … 異界からの声を聞く

   (0) LV3 天啓    … 人間に知恵を授ける


 ●天候の奇跡

  雲

   (1) LV1 雲     … 家の煙突から雲を出せる

   (0) LV2 虹     … 虹を出せる

   (0) LV3 ???   … ???

  風

   (0) LV1 風     … 風を起こせる

   (0) LV2 竜巻    … 竜巻を起こせる

   (0) LV3 ???   … ???

  雨

   (1) LV1 雨     … 雨を降らせる

   (0) LV2 洪水    … 洪水を起こす

   (0) LV3 ???   … ???

  雪

   (0) LV1 雪     … 雪を降らせる

   (0) LV2 大雹    … 大きな雹を降らせる

   (0) LV3 ???   … ???

  雷

   (1) LV1 雷     … 雷を落とす

   (0) LV2 導雷    … 目標に誘導する雷を落とす

   (0) LV3 ???   … ???

  火

   (0) LV1 火の粉   … 火の粉を降らせる

   (0) LV2 火の玉   … 火の玉を降らせる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●天空城の奇跡

  高度

   (0) LV1 高度アップ … 天空城をさらに高く飛ばせる

   (0) LV2 天空界   … 「天空界」まで飛ばせるようになる

   (0) LV3 ???   … ???

  速度

   (0) LV1 速度アップ … 天空城の移動速度があがる

   (0) LV2 高速移動  … 高速移動ができる

   (0) LV3 ???   … ???

  流脈

   (0) LV1 消費減少  … 奇跡力の消費を抑える

   (0) LV2 放出    … 天空城から物体を放出できる

   (0) LV3 ???   … ???

  障壁

   (0) LV1 防御障壁  … 天空城を守るバリアを張る

   (0) LV2 水中潜行  … 水中に潜れるようになる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●太陽の奇跡

  気温上昇

   (0) LV1 気温上昇  … 気温を上げる

   (0) LV2 猛暑    … 猛暑にする

   (0) LV3 ???   … ???

  気温下降

   (0) LV1 気温下降  … 気温を下げる

   (0) LV2 寒波    … 寒波を起こす

   (0) LV3 ???   … ???

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。