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24 ついに海に、着きました

 道中でトラブルはあったものの、ボクらは三日かけて、南にある海にたどり着いた。

 着いたときは夕方だったんだけど……大空から眺める真っ赤に染まった海は、言葉にできない絶景だったんだ。


「す……すごい……! こんなに、でっかくてキレイなところがあるだなんて……!」


 初めて見る海に、ボクは激しく心をゆさぶられる。


 パノラマで、右を見ても左を見ても、どこもかしこも水、水、水……!

 ただでさえ水だらけなのに、しかも空にくっつくくらいに、どこまでも続いているんだ……!


 写真や動画で見て知ってたけど、本物の海には桁違いの美しさと、力強さがあった。


「わあぁ……これ、本当に全部水なの……!?」


 ラヴィさんも大きな瞳をオレンジ色に輝かせながら、海をじっと見つめている。


「ユウヒ シズンデル……!?」


「ウミノ ナカ ハイッテルヨ……!?」


「ジューッ テ ナッテル!?」


「沈むというのは比喩ですね。正確には、この星の自転によって見えなくなっているだけです」


 集落のみんなの驚きの声に、冷静に突っ込むフルール。


「あの、ソラ……それにみんな……なにも泣くことないじゃない……」


 ちょっと引き気味になっているアンジュさんからそう言われて、ボクは自分の瞳が溺れていることに気づいた。


 瞬きも忘れていたので、夕陽が目に染みたのか……それともあふれんばかりの海の水が、目に移ってきたのか……とにかくボクは、いっぱいの涙をとめどなく流していたんだ。


 ボクは今すぐにでも地上に降りて、海に飛び込みたい気持ちでいっぱいだった。

 でも着いたその日は遅かったので、暗いなかに降りるのは危険だと判断。

 上空でひと晩過ごして、地上に降りるのは明日にする。


 海に溶けるような夕陽を眺めながら、晩ゴハンを食べて……月明かりで藍色に染まった空と海のヴェールに包まれるようにして、ボクらは眠った。


 ……といっても、ボクはぜんぜん寝付けなかった。

 明日が楽しみで楽しみでしょうがなくて、ずっと窓から海を眺めていたんだ。


 そして次の日……まだ薄暗い時間だったけど、ボクは家から飛び出す。

 すると集落のみんなも、ちょうど起き出しているところだった。

 やっぱりみんなも早く下に降りたいようで、待ちきれないみたいだ。


 まずホコラに行って、天空石であたりの地図を確認する。

 天空城を安全に降ろせる場所を探していると……丘に囲まれた入り江にある、小さな砂浜を見つけた。


 周囲を調べてみたけど、モンスターらしき影は見当たらない。

 ここならいいかもと思い、天空城を降ろしてみる。


 降下している最中、ボクはみんなに集まってもらって、話をした。


「みんな、これから海のそばに降りるけど……ここはモンスターのいる地域だから、油断しちゃダメだよ。最初にピエールとフルールにあたりの安全を確認してもらうから、それまでは集落の外から出ないでね。いつでも戦えるように準備しておいて」


 お楽しみの海が近づいているせいか、みんなは浮足立ってソワソワしていた。

 でもボクが注意したので、少しは気持ちが引き締まったようだ。


 そして天空城は、ついに砂浜に着陸する。

 ボクはピエールとフルールに頼んで、丘のまわりをパトロールしてもらった。


 ボクはボクで犬のポポに跨って、あたりを調べようかなと思ったんだけど、


「ソラちゃん。危ないことはしないで、ねっ」


 とラヴィさんが離してくれなかった。

 そしてボクはボクで、


「あ、ハマヒルガオだー! ヒマワリもあるー!」


 と今にも飛び出していきそうな、アンジュさんを抑えるので大変だった。

 海のそばなので自生している植物も違うらしく、花好きの彼女は遊園地に来たみたいに色めきたっている。


 でも、実はボクもそうだったんだ……早く、海に入りたい……!

 すぐ目の前にあるのに、入れないなんて……!


 焦れた気持ちでゴーレムたちの帰りを待っていると、しばらくしてフルールが戻ってきた。

 淡々とした口調で、あたりの様子報告してくれる。


「偵察命令の経過報告です。丘の一帯を巡回しましたが、モンスターの存在、そして存在していた痕跡は確認できませんでした。引き続き……」


「よしっ! じゃあ花摘みに行こっ!」


 ガマンの限界を迎えたのか、フルールの手を取って走り出すアンジュさん。

 フルールは体重が軽いので、まるでタコあげされてるみたいに宙を舞いながら引っ張られていく。


 ボクは止めようかどうしようか迷ったんだけど……丘の上にいたピエールが、腕をあげて大きなマル印を作っていたので、もう安全だろうと判断した。


「よしっ! じゃあみんな、しばらくは自由行動っ!」


 ボクはそう宣言して、ラヴィさんの手を引っ張って海へと走り出す。

 後から犬のポポ、そしてみんなもついてくる。


「わあーっ! 海だっ! 海だぁーっ!!」


 寄せてくる波を駆け散らし、ボクは服のまま海にザブンと身を投げだす。


「わぁぁっ!? きもちいいーっ!? ソラちゃんの言ってたとおり、本当に味がするのねっ!?」


 初めての海に、ラヴィさんも大喜びだ。

 彼女はペロッと舐めただけだから平気だったんだけど、男の子たちは海水を手ですくって飲んでいたので、塩辛さのあまり悶絶していた。


「グエエッ!? ナンダ コレッ!?」


「ヘンナ アジガ スルッ!?」


「ノ……ノドガ ヤケル……!!」


「クチガ ヒリヒリスル……!!」


「ああっ、みんな! 海の水は塩が入ってるから、辛いんだ! そんなにいっぱい飲んじゃダメだよっ!?」


 女の子たちは女の子たちで、浜辺の貝に興味津々だ。


「コレ キレイ!」


「ヒラベッタイ イシ……?」


「アッ ナカニ ナニカ イル!?」


「カニ!? カニミタイ!?」


「それは貝といって、えっと……大きく言うと魚とかカニの仲間だよ。中は食べられるんだけど、殻は入れ物とかに使えるんだ」


 男の子も女の子も、初めて見るものばかりだったので大騒ぎ。


「ツチニ ナンカ ウマッテル!?」


「コノツチ サラサラダ!?」


「フ……フカイ!? フカイゾ!?」


「サカナガ イッパイイル!?」


「アッ カタイ クモ ミタイナノガ イル!?」


「ウミニ ナンカ ウイテルゾ!?」


「ミズノナカニ ヘンナ クサガ ハエテルッ!?」


「ソラ コレハ ナニ!?」


「ソラ アレハ ナンダッ!?」


 目に映るもの全てが珍しいようで、ボクは久しぶりに質問攻めにあった。


 そして、初めて海に触れたせいなのか……いつの間にかレベルがあがっていることに気づく。

 奇跡ツリーにもさらに新しい奇跡が追加されてたんだけど、確認するのは後回しにする。


 それよりも、ボクはやりたいことがあるんだ。

 それは、泳ぐこと……! やっぱり、海に来たら泳がなきゃね……!


 でも、ボクは初めての海に興奮するあまり、オーバーオールごと海に飛び込んでしまった後だった。

 服が水を吸って動きづらい……順序が逆のような気もするけど、改めて服を脱ぎ、パンツ一枚になって泳ぐ。


 いままでは浅い川しかなかったから、泳ぐこともなかったんだけど……ここなら思う存分泳ぐことができる。

 生まれて初めての泳ぎは、魚になったみたいですごく楽しい。


 いつの間にかアンジュさんも葉っぱの水着に着替えていたので、一緒になって泳いだ。

 みんなも泳ぎ方を知りたがったので、アンジュさんと手分けして、クロールと平泳ぎを教えてあげた。


 すぐ泳げるようになる子もいたけど、なかなか泳げない子もいる。

 泳げない子には手を引っ張ってあげて、泳ぎ方の特訓をした。


 でも、それでも泳げない子はいた。

 ラヴィさんは筋金入りのカナヅチのようで、けっきょく最後まで泳げずにいた。


 ボクは少しでも泳ぐ楽しさを知ってもらいたかったので、砂浜に流れ着いていた流木を浮き輪がわりに渡してみる。

 波打ち際で、足がつくどころか座れるくらい浅いところだったけど……ラヴィさんは足をバタバタさせて進むことができたので、


「あっ!? 見て見てソラちゃん! 泳いでる! わたし、泳いでるよ!?」


 と大喜びしてくれた。

 ボクも嬉しくなったので、浅瀬でラヴィさんと一緒になって泳いだ。


  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆


 海におりて最初のゴハンは、焼き貝にした。

 浜辺で拾い集めた貝を、天空城にある火焚き場で焼いて食べる。


 初めての貝、そして、初めての塩味。

 ボクも、みんなも……そしてリンゴ以外のものを、ようやく口にしてくれたアンジュさんまでもが、


「お……おいしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいーっ!?!?!?!?」


 浜辺じゅうに響くほどの大声で、揃って絶叫していた。


 アンジュさんは焼き魚のことを、「味がしない」って言っていた。

 あんな美味しいものの味がわからないだなんて、ボクはまるで理解できなかったんだけど……今なら、わかる気がする……!


 貝を火にかけると、しばらくしたらひとりでパカッと開くんだ。

 お皿みたいになった殻のなかで、グツグツと煮立った貝。


 それをフーフーして、ひと口でかぶりつく。

 噛むとクニュっとした歯ごたえとともに、旨味が凝縮したようなエキスがジュワッと溢れ出る。


 ……それが海水の塩味と混ざり合うと、


「お……おいしいぃ……!」


 もういくつも食べていて、味はよくわかってるんだけど……ため息が出ちゃうんだ……!


 ボクは昨日の夕方に続いて、また感動の涙を流していた。


「うぅ……おいしい……! おいしいよぉぉぉ……!」


 隣でバクバク頬張っているアンジュさんも、この時ばかりは泣いていた。


 貝をたくさん食べて、おなかいっぱいになったボクたち。

 泳ぎ疲れたせいもあって、誰からともなく浜辺で昼寝をはじめた。


 目を閉じると、気持ちのよい潮風が身体を撫でていき、子守唄のような波の音がささやきかけてきて……幸せな気分でいっぱいになる。


「アア……ズットココニイタイ……!」


 ふと誰かが、そんなことを漏らしてたんだけど……ボクは全く同感だと思っていた。

■■■奇跡ツリー■■■(現在の神様レベル:16)


 川と海に触れたので、『水勢の奇跡』が解放されました。


 今回は割り振ったポイントはありません。未使用ポイントが3あります。

 括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


 ●水勢の奇跡

  波浪

   (0) LV1 小波    … 小さな波を起こす

   (0) LV2 大波    … 大きな波を起こす

   (0) LV3 津波    … 津波を起こす

  水かさ

   (0) LV1 減水    … 水を減らす

   (0) LV2 増水    … 水を増やす

   (0) LV3 海割り   … 水を一時的に割る

  操水

   (0) LV1 霧散    … 霧を作り出す

   (0) LV2 噴水    … 水を噴出させる

   (0) LV3 渦     … 渦を作り出す

  水中

   (0) LV1 呼吸    … 水中で呼吸できるようになる

   (0) LV2 浮力増   … 水中の浮力を増やす

   (0) LV3 浮力減   … 水中の浮力を減らす


 ●創造の奇跡

  魔法生物

   (4) LV1 ゴーレム  … ゴーレムを創る

   (1) LV2 小人成長  … 小人を人間にする

   (0) LV3 ???   … ???

  有機生物

   (1) LV1 絶滅    … 生命を絶滅させる

   (1) LV2 成長促進  … 生命の成長を早める

   (0) LV3 ???   … ???

  回復

   (1) LV1 治癒    … 病気や怪我を治す

   (0) LV2 死者蘇生  … 死んだものを蘇らせる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●神通の奇跡

  神の手

   (1) LV1 ジオグラフ … 大地を切り取る

   (0) LV2 ウェポン  … 武器を出す

   (0) LV3 マジック  … 天空城の奇跡を手から出せる

  神の叡智

   (0) LV1 現界の声  … この世界の声を聞く

   (0) LV2 異界の声  … 異界からの声を聞く

   (0) LV3 天啓    … 人間に知恵を授ける


 ●天候の奇跡

  雲

   (1) LV1 雲     … 家の煙突から雲を出せる

   (0) LV2 虹     … 虹を出せる

   (0) LV3 ???   … ???

  風

   (0) LV1 風     … 風を起こせる

   (0) LV2 竜巻    … 竜巻を起こせる

   (0) LV3 ???   … ???

  雨

   (1) LV1 雨     … 雨を降らせる

   (0) LV2 洪水    … 洪水を起こす

   (0) LV3 ???   … ???

  雪

   (0) LV1 雪     … 雪を降らせる

   (0) LV2 大雹    … 大きな雹を降らせる

   (0) LV3 ???   … ???

  雷

   (1) LV1 雷     … 雷を落とす

   (0) LV2 導雷    … 目標に誘導する雷を落とす

   (0) LV3 ???   … ???

  火

   (0) LV1 火の粉   … 火の粉を降らせる

   (0) LV2 火の玉   … 火の玉を降らせる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●天空城の奇跡

  高度

   (0) LV1 高度アップ … 天空城をさらに高く飛ばせる

   (0) LV2 天空界   … 「天空界」まで飛ばせるようになる

   (0) LV3 ???   … ???

  速度

   (0) LV1 速度アップ … 天空城の移動速度があがる

   (0) LV2 高速移動  … 高速移動ができる

   (0) LV3 ???   … ???

  流脈

   (0) LV1 消費減少  … 奇跡力の消費を抑える

   (0) LV2 放出    … 天空城から物体を放出できる

   (0) LV3 ???   … ???

  障壁

   (0) LV1 防御障壁  … 天空城を守るバリアを張る

   (0) LV2 水中潜行  … 水中に潜れるようになる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●太陽の奇跡

  気温上昇

   (0) LV1 気温上昇  … 気温を上げる

   (0) LV2 猛暑    … 猛暑にする

   (0) LV3 ???   … ???

  気温下降

   (0) LV1 気温下降  … 気温を下げる

   (0) LV2 寒波    … 寒波を起こす

   (0) LV3 ???   … ???

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