表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/27

#003「手の鳴るほうへ」

@端左間通り

北山「二十四時間三百六十五日休み無く営業という、過剰サービス」

太田「高度情報通信化社会により、曖昧になるプライベートとパブリックの境界」

北山「皆勤手当て狙いで、死に物狂いになって出勤する会社員に」

太田「皆勤賞狙いで、高熱に浮かされながら出席する学生」

北山「風邪で休めない状況は、組織として危機的すぎる。ストレスが溜まって当然だ」

太田「病気や悪天候と戦おうと考え出したら、働き過ぎのサインだね」

北山「睡眠時間を八時間以上確保した上で、一日のタイムスケジュールを組むべきなのに、仕事や勉強に必要な時間を確保した上で、申し訳程度に残った時間が睡眠時間になってしまっている」

太田「睡眠時間を削って帳尻を合わせても、早晩に限界に達するよ」

北山「どこで歯車がトチ狂っちまったんだろうな。不眠に悩む患者が増えるのも、理の当然だ」

太田「不眠症を含めて、精神病に悩む患者は承認欲求が強い状態にあるから、余計に厄介なんだよね」

北山「いわゆる、構ってちゃん、だな。共倒れしたくなかったら、そっと距離を置いて、専門家に任せるしかない」

太田「そうだね、風斗くん。――さて、と」

二人、足を止める。

太田「ターキーに括られてた地図によれば、ここで間違いないね」

北山「あぁ。こんな真夜中の公園に居る人間のことだ。碌な奴じゃないだろうぜ」

  *

@奥右真総合運動公園

北山「誰か居たか?」

太田「うぅん、こっちには誰も居なかった。そっちも?」

北山「あぁ、こっちも違う。チクショウ。無駄に広い公園だぜ」

太田「虱潰しに探すしかないよ。あとは、このアスレチック広場だけだし」

北山「よし。こうなったら、必ず見つけ出してやる。俺は、時計回りに当たるから」

太田「僕は、反時計回りだね。了解」

  *

北山「登り棒にも、雲梯にもいないのか。ジャングルジム、そして吊り輪、と。ん? あのシルエットは、どう考えても陽介じゃないな。ちょっと待て、オイコラ。そこで何をしようとしてるんだ」

北山、人影を追いかける。太田、北山に駆け寄る。

太田「誰か居たんだね?」

北山「あぁ、バッチリな。クソッ。どこへ隠れやがった?」

太田「もう、いい、かい?」

北山「かくれんぼじゃないってのに」

人影「まぁ、だだ、よぉ」

太田「背後に回ってたみたいだね」

北山「どういう神経してるんだか。とんだ愉快犯だな」

太田「鬼さん、こちらって? あっ」

太田、前方を指差す。

太田「きっと、アレだよ。ホラ、あそこの茂みの向こう」

北山「ヨッシャア。今度は二人だから逃がさない。俺が右から追い込むから」

太田「僕は、左で捕まえれば良いんだね?」

北山「あぁ、頼んだぜ」

太田「フフフ。ケイドロみたいになってきたね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ