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―奇妙の実体― 8/14
「ああ、そうか。成程、そういうことなのか。」気づいたのは4順目であったか、記憶に定かではない。鉛筆の隣には用紙があり、またその隣は留め金具、乃至は鋏であった。
つまりはこうだ。その雑貨屋は商品をすべて関連付けて配置していたのである。すなわち、ある物の隣にはそれを使うのに便利な、時にはそれ無しでは不便なものを配置させ、それが連鎖的に演繹的に広がっていたのである。一見は雑然と構えているようで、実は店の商品は一つの数珠を繋いでおり、これが泰然としているものの正体であった。
僕は、店主が意図的にやったのかわからない、しかしながら現実として認識せざるを得ないこの事実に一つの類似性を見出していた。論理展開における段階論法である。主張を述べるには一つの起点があって、具体例や同格を用いて結論へと帰納させる。この店はつまり、初めに結論を述べて、それを真と証明させる手段を用いていたのである。




