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―雑貨の規則― 5/14
「おや、こんなところに。」床屋までの道中でふと目にしたのは真新しい雑貨屋であった。「特に必要なものはないが・・・時間に余裕もあるものだし、ひとつ入ってみるのもいいだろう。」
その雑貨屋は―まあ当たり前なのだが―人が生活するにあたって不便となったときに必要なものを取り揃えている店であった。ちり紙が切れればちり紙を、包丁が切れにくくなれば研ぎ石を、電燈が切れれば替えのものを、その店では買うことができる。もちろん取り扱っていないものもある。おおよそ買い手の見つからないもの、例えばガラクタであろうか、またはあまりにも高価すぎるもの、車や宝石と言ったところか、そのようなものは商品棚においてもよほどのモノ好きでない限りは誰も買わないと思われる。つまりは日常における需要がないものは取り扱うことはまれなのだ。
そのような常識を、誰もが言わずもがな知っているであろうことを念頭に置きながら、いざと店へ踏み込んだ。




