表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
莫迦な男  作者: 文月遊冶
3/13

―処暑―     3/14

 「セミがもう鳴いているとは、妙に早いな。さしずめ早起きのセミなのだろう。」などと誰が聞いているわけでもなく呟きながら僕は夏というものを考察していた。

 僕は夏を好く思っていなかった。嫌いかと問われれば、それは極端だと反駁する程度には最低の評価を下してはいないものの、人間で夏を至高の季節とする人にはやはり共感できなかった。それだけに僕は、何故自分と世間にそのような意見の相異があるのだろうと思わずにはいられなかった。

 兎角暑い。率直なところこの一言に尽きるのだろう。冬は着込むなり、酒を飲むなりすれば暫くの暖を取ることができる。他方で、夏は裸以上に脱ぐものはなし、氷菓子を搔き込んでも一時の寒としかならず、熱風に煽られて打ち消されるのが常套起こるだけである。この否定的な考え方がズレとなっているのだろうと一つの意見として頭に浮かんだ。つまりは寒暖を問わず年中を楽しめる姿勢の有無こそが僕と他人の違いであり、僕というものを一つ決定づける要因なのである。

僕は根暗なのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ