―顛末と結論― 13/14、14/14
「僕は、」そう切り出し、無我夢中でありながらも丁寧に心の内を述べていく。それは完全無欠の論理とはお世辞にも言われるものではなかった。そうすることで店主は疑問を投げかける。僕はそれに、別の根拠をもって答弁する。どれだけ一つの議題を話したか、その問いは僕ら二人の間には矮小なものであった。ただただ僕は自我を持ち、それを動かされないように次々と所持している引き出しを開けて返した。
気が付くと最初に外された眼鏡を渡され、服についた粗毛を小箒で払われていた。時計を見れば既に四半刻が経過していたのである。その時の僕はひとつの優越感を覚えていた。持ちうる知識を持ってして自己を貫くことができ、思い返すことに特筆するものはなかった。
会計を終えると店主は判子が一つ押された小紙を寄越してきた。それは次回に持ってきて再度判子を押し、一定数貯めることで割引に使えるというものであった。押印された朱色の隣に以上のことが起こったまさにその日の日付が書いてあった。そうして僕はこの店主から一つの事実を言い渡され、その内容は僕の主張を根底から覆し、結局として僕の無知を明らかにするものであったのである。
「今は文月、梅雨もとっくに明けている。セミが鳴いたって別段早起きでもない。」
自己完結な小説は是でお終い。




