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―結果と考察― 10/14
「あの店主め、顔色一つ変えやがらなかった。」結論を言えば、以上のことは妄想の産物と言われて過言ではなかった。仕方ないので、無意識的にそう配置していたのだだの、当てられてさぞや悔しくて平静を保とうとしていたに違いないだの、妄想に妄想を重ねて自己完結をするのを、僕の報いた一矢とした。ああ、思えば唯時間を浪費しただけに過ぎないのかもしれないと念を残しながら、再び床屋への路を進む。
やっと着いた時分は日が天頂を過ぎる頃であった。体は家を出るときよりも熱り、最早散髪よりも着替えへの欲求すら勝るのではないかと今更どうにもならないことをあれこれと考え、顧みるのが予知できるのであるからその程度など問題ではないと、戸を開ける。明ら様に先刻まで転寝をしていたであろう、その店主は戸を開ける音に反応した様であり、僕をバーバーチェアとかそう呼ばれるらしい椅子に案内して髪型の要望を聞いてきた。




