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報われること、報われないこと。

放課後



今日は本当に災難さいなんだった。


言わなくてもわかるだろう・・・・



(あ、まだ俺部活決めてなかった)




そう、俺はいまだに部活を決めていなかった。


なぜか校則で


「絶対に部活に入らないといけない。また――――――――」


と定められていた。


といっても、ほとんどの生徒はこの校則があるなんて知らないだろう。




俺は今悩んでいる・・・・・





そう、部活に入りたくないのだ!



とりあえず部活に入って幽霊部員になるのも一つの手だと思っていたのだが、


担任の前林先生が




「おいっ!お前ら!勉強も大切だが、部活もおろそかにしないように!また、お前らがきちんと部活に出ているかいるか毎日確認をする!くれぐれも部活を休むことのないように!」




とかバカなことほざきやがった。





(本当に何を考えてるんだこの人・・・)









俺は中学の時サッカー部だった。




はじめは部活自体が楽しくて、毎日部活に出ていた。


だが、大会に近づくたびに練習はハードになり結局入部して2ヶ月ぐらいで幽霊部員になってしまった。


てなわけで、俺の中学校3年間はほとんど部活に出ず過ごしていた。


だから俺にとっては部活なんて考えられない。





(部活などに入るぐらいなら、ラノベを読んでいる方が一億倍楽しい。でも正直部活へのあこがれは少しある)







どうすればいいんだ?




・・・



(あれ、そういえば、校則にまだ続きの文章があったよな。)


俺は校則の続きを読んだ。





「また、部を新しく設立せつりつするのであれば一人以上で部を設立することができる。」











(これって、俺一人でも部を設立できるってことだよね・・・)



(でもどうする?部を立てたところで何を目的として活動すればいいのだろう?)









・・・!!!!!!





「それだ!!!」









翌日



俺は朝一で学校に行き、事務じむの先生から部を設立するための用紙をもらい用紙の項目こうもくを埋めていった。



「よっし!」



全て書き終えたら、事務の先生に持っていった。


すると事務の先生が


「これは部を設立するのと同時に、入部することとなるので入部届けは提出しなくていいのでその用紙を担任の先生に提出してください。」



「は、はい。」





(マジかよ!担任に提出するとか聞いてねーよ。また前林じゃねぇか!)




俺は結局帰りのHRまで前林先生に用紙を渡せなかった。




俺は職員室に行った。






「失礼します。一年D組の小谷海人です。前林先生はいらっしゃいますか?」




「はぁい!」



前林先生の大きな声がひびいた。






「なんの用だ!」





「えっと・・・」





「早く言え!」


「あのっ!これなんですけど・・・」




「ん、お前部を作りたいのか?」





(見りゃわかるだろ。www)





「は、はい・・」


「部の名前は・・・何でも部!!!なんだその適当な部は!?」






「えっと、その名のとおりなんですけど・・・」





「ダメだ!こんな適当な部を作れるわけないだろうが!!・・・・・・ん、いやま待てよ・・似たような部が他にもあったような・・・」







「市岡先生!!これに似たような部ってありましたよね?――――――――」




数分後






「小谷!!この学校には 部活をなかなか決められない人たちの部 というのが存在するのだが、この部ならお前がしたかったこともできるだろう!!!!!!!!」








(えええぇぇぇえええええええーーーーーーーーーーー!!!!!!できない!できない!できるわけねぇだろうが!!!!)







「じゃあ、この部に入部することでOK?」





(OKの言い方ムカつくーーーーーーー!!)





「は・・・い・・・。」




思わず返事をしてしまった・・・








そして俺は職員室を出た。




「はぁー・・・・・・・・・・」







(どうするよ!!!マジで俺の計画が水の泡だよ・・・)








海人の計画とは、自分で部を作り、自分が部長になることによって先生が部活に出ているか確認をしに来ない、そして、先生に見つからないように帰宅する、という戦法せんぽうだった。












(なんでこんなに上手くいかないのかなぁ・・・・)



(あ、それにしても先生から聞いた部は何なんだ。たしか、部活をなかなか決められない人たちのための部だったけ・・・とりあえず行ってみるか。)








「ここか。」









「失礼します・・・え・・・あなたは?」



「部長よ。」



「ここの部の部長ですか?」





「そうだが。」








どう見ても幼女にしか見えない小さな女子が椅子いすすわっていた。









「なんの用だ。」




「えっと、入部しに来たのですが。」




「本当か?本当なのか!?」






「は・・い・・そうですけど。」







「やったーーー!!本当に入部するんだな!?」



「そうだよ!!」




(何回言わせんだよ!)








「やった!やった!やった!やった!」









「で、何でそんなに喜んでんの?」





「お前が私をふくまずに初めての部員だからだ。」






「え、まじで!?」








「マジだが。」


・・・・・・


(前林いいぃぃぃぃ!!とんだ部活に入れやがったなこの野郎!!!部長が幼女みたいだし明らかに友達いないだろ。まぁ俺もいないけど・・・)



「あーまぁいいや。えっと名前は?」






さきだ。お前は?」






「俺は一年の小谷海人・・じゃあ、よろしく・・・」





「何でいきなり呼び捨てなんだ!?私はこう見えても二年生だぞ。お前の一つ年上だ。」




(こいつ年上なの!?俺の一つ年上!?)






「だが、特別に記念すべき部員第一号のお前に呼び捨てを許可する。」






(どんだけ上から目線なんだ・・・)




「分かりました。で、この部は一体何をする部なんだ?」




(だいたい、部の名前でわかるのだが一応いちおう聞いておこう。)





「話せば長くなるのだが、一年前この部はラノベ研究部だった。当時一年生だった私は本を読むことが好きだったので適当にこの部活に入った。」



(ほんとに長くなりそうだなこの話・・・)



「そして、この部には当時二年生が入部していなかったため三年生が卒業すると私は一人っぼっちになってとてもさみしかった。

だから、自動的に部長になった私がこの部の名前を変え、誰か入部してこないかとずっと待ち続けたのだ。そしたら、今日お前が入部したってわけなのだ。」




(そんなことだろうと思ったよ・・・)





「はぁそうですか・・それではとりあえず、部の名前を変えないか?」





「なぜだ。」






「俺が入部したことではもう一人ぼっちじゃなくなっただろ。」





の顔が赤くなる。





「そ、そ、そ、そ、そ、そうだな。よ・か・ろう・・・」




「何でそんなにカタコトなんだ?」





「別に何でもない!!!!」


「はい、はい。それで新しい部の名前どうする?」




「部の名前よりも部の活動内容かつどうないようを先に決めたほうが部の名前は決まりやすいと思うのだが。どうだ?」



「そうだな。まず活動内容から決めよう。」




(なんか、馴染なじめてきて、部活って感じがするな。この感覚久しぶりだな。)




「部活をなかなか決められない人を募集ぼしゅうして、私たちが部活を決めてあげるのはどうだ?」


「いいと思うけど、やっぱりそれは自分じぶん自身じしんで決めたほうがいいと思うし俺たちが決めてもそのあとの責任はえないからな。」




「じゃあどうするのだ?」




「それを今俺たちで考えてんだろ・・」








下校時間げこうじかんぎりぎりまで考えたのだが、これといった意見は出ずとりあえず帰ることにした。



「そういえば、何でお前はこの部に入部しようと思ったのだ?」



「いろいろあったんだけど、簡潔かんけつに言うと英語の前林先生いるだろ。その先生に無理やり入部させられたというか・・・まぁ、そんな感じだよ。」






「お前は・・・」






「さっきからお前は、お前はって言いすぎ!海人でいいよ。」




「じゃあ、海・人はこの部に入部するのは嫌だったのか?」




「嫌だったというか、俺は部活あんまり好きじゃないし中学の時もほとんど部活に出てなかったから・・・だから、俺には部活というのが考えられなくて・・」





「でも今は、素直すなおに楽しいかな。」






「そうか・・」





そのあと俺と莉明端々(しばし)帰り道を歩いた。




「莉明は帰り道こっち?」


「そうだが。」


「そうか、俺はここをまっすぐ行くから。」


「そうか。」



「じゃあ、また明日な。」




「じゃあな海人。」





・・・・







「海人!!!」





「ん?なんだ?」





「ありがとーーう!!!」











「どーいたしまして!!」













俺はいつもの帰り道を歩く。そして、いつもとは違った春のかおりと心地ここちよい春風はるかぜが俺の背中を強く押すように吹いていった。






























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