【第4話】じゃじゃ馬ならし -⑨ー
あーひさびさに筆をとりました^^;
コロナとかもあって、この業界、大変ですのよー
「はあ?!そんなの自分は聞いてませんよ!!」
夜中。薄暗い部屋で、男の激昂が響く。
「まあ、落ち着け真中」
ぴちっとしたスーツの上にここ『そよかぜホール』のスタッフジャンパーを背負った初老の男が諫める。
「現場レベルで勝手に動いてて、ああ、奈落も使うんだ、位にしか認識してませんでしたのに・・・こういうことならもっと早く統括である自分に仰っていただければ」
「・・・すまん。しかし、急遽先方から差し込まれた案件でな」
「にしても!舞台周りはともかく、制作サイド・・・レセプショニストは大混乱で」
「わかっておる!!」
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真中も前から薄々わかっていた。ここはあくまで「公共ホール」だ。県が金を出し県知事がその自分の『勢力』を誇示するために使うことも、まあ、ままある。そういうものだ。
昔から芸術を権力の武器にするなんて、ああ、よくあることだ。
(今回のツアー芝居も、今を時めくトップ女優:久慈原ヨリカ様の主演舞台。共催事業にありつけただけでもしめしめと思うのもだ。主演女優のワガママくらい、人が死ぬ以外全部受け入れるだろうな)
「けれども、今回の公演はヨリカ様なくしてはありえない。当館としては全力で対応してくれ」
「・・・・・はっ」
一礼して、ドアを閉め、その部屋を辞してエレベーターに向かう。
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「天下りが!!!!!!」
拳で壁をぶん殴る・・・ふりだけ。
ほんとに壊したら懲戒処分ではすまない。
真中が激高できるのは、このエレベーターの中だけ。
しかもそれは「やったふり」までなのだ。
「役者って羨ましいな」
なんとなくごちた。
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カタ、
カタカタカタ、
「ん、む、ん~~??」
「あ、モギー先輩、おはようだってやつですね」
「え、あ、、、鎮香、ちゃん?」
「ですよー。昨日はちょーっと飲みすぎましたね」
と、先輩の相手を軽くいなしつつも、私はPCに没頭している。
「し、鎮香ちゃあん、、こ、ここどこ~?」
「ネットカフェですよ。たまたま2人組OKな部屋が空いてたもので」
「そ、そなの~~~ なんかごめんね」
フリードリンクだというオレンジジュースを大量にせしめてきてたので(違法ではないはず)、それを先輩に渡す。
渡す。
飲んでくださいね。
飲まねーな。
「鎮香ちゃん、おのどかわいた~~」
飲めっつってんだろ!がー!!!
ごぶろわっ!!
・・・・・
カタ、
カタカタカタ、
「鎮香ちゃあん、、、ここどこぉ??」
「だぁから、劇場近所のネットカフェですって。モギー先輩、かなりアレな状況だったので」
「あ、あれって?」
「ともあれ、酒は飲んでも飲まれるなってやつですよ」
「ほ、ほわわ~~ 鎮香ちゃんに言われるなら、そうなのね」
そうなんだよ!もうメンドクサイ先輩だな!!
「で、でっも~、そういうとこ、変わんないね鎮香ちゃん。だから大好きだよ~」
!!!
もうくそ、こっちだって大好きな先輩なんだよ。なんだこれはBLか?!
(作註:たぶんコイツもまだ酔ってます)
くかー
とまた寝てしまったモギー先輩を膝枕しながら、
(そういう態勢しか取れないんですよ!)
カタ、
カタカタカタ、
私がいまネカフェのPCで調べているのは、あの、
久慈原ヨリカと、今回の公演の異常な対応のこと。
今回の公演・・・ツアーで、
この「そよかぜホール」がなんで特別なことに
「特別にしたい」となってるのか、、、
私はここにまだ来たばかりではあるのだけれど、、、
知っておかないといけない「気」が、
したのだ。
・・・・・
【検索結果】
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な、
なー!!!
(続く)