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【第4話】じゃじゃ馬ならし -⑤ー

ははははは、4年ぶりの続編更新でっす!!

はふはふはふ・・・と、


息を切らせて舞台に向かう。


「その先の階段を上がれば下手袖に出る!」


こちらを振り向きもせず襟矢さんが叫ぶ。


「モギー先輩!大丈夫ですか??」


私も、後ろを必死のぱっちで追いかけてくる元・先輩に声を掛ける。


「だ、だいじょー、ぶ、よ~~!! これでもまだ『外郎売り』は全部暗唱できるんだから!!」



今の状況とは、全く関係のない妙な自信を振りかざすこの先輩の相変わらずな天然さに


(まあ最悪、現場にこの人いなくてもなんも影響ないけどね)


と、ちょっとドライな思いも抱えつつ・・・



駆け上がる、舞台へ。



そして、そこで私たちが目にしたのは!!


真っ暗!!


目にするものがない!!!



いやいや当然。照明のシュートが終わった段階で、舞台袖は作業灯も0%に落とし、

また、東西幕(作註:舞台袖にある、見切れを隠す為の縦に覆う黒幕)も引いているのでそら真っ黒くろすけだわ。


当然、襟矢さんも私も、手元明かりをつける。

私はポケットからLEDライトを出したが、襟矢さんはLEDヘッドライトを首から下げていたみたいで、明かりを確保するのは一瞬、襟矢さんの方が早かった。


「流石、ベテラン照明さん。ヘッドライト首にぶら下げか~、これは頂きだな」


などと、今後の自分のスタッフワークに有利なアイテムと運用方法をゲットして喜んでいる場合ではなく、


ぶわさぁ!!


と、東西幕をまくってみれば、そこには



痛々しく横たわる


ローリングタワー


が。



ローリングタワー


それは、キャスター付きの自立式長梯子で、

主に照明さんがタッパに上がったサスペンションライトの灯体をシュートするときに使うもの。


どうやらサウンドチェック終わりで、照明さんがシュート直しのため出してきたらしい。


しかし、



「怪我人は本当に誰もいないんだな?! そしていないんだな??!!」


神妙な面持ちの進行チーフの怒号が響く。


「セットの破損?? 軽微っぽいよ!てか、それよりこれからどーすんの?! 演出部さーん!!」


出来さんも走り回ってる。


そして、当のタワーの横には、


私がこのホールに来た際に


「なんなら~~!!」


と勘違いぼけなす発言をした、今回持ち込みの


【照明チーフ】


さまが、呆然と佇んでいました。



その女性照明チーフに真っ向に駆け寄る襟矢さん。


胸倉を掴み


「またてめーか!! またタワーのコマ返しせずに出そうとしたんだろ!!」



コマ返し


台車って、たまにいうこときかない動きして、


いらー!


ってくることありますよね。



4輪の自在コマのあるものって、どれでもそれはあるもので。


行った方向から逆方向に戻ろうとすると、「コマが逆方向に返ってない」ので、


いうことをきいてくれないんです。


それが、人を乗せて動かすこの「ローリングタワー」でやってしまうと、


この様に横転事故を起こしてしまう。



後で聞いたが(まあ他のホールでも大体そうだが)、タワーを逆方向に動かしたい時には、

上に乗ってるスタッフは


一旦、タワーから降りる


が、このホールのルール。



まあ、今回はどうも、手直しでタワーを袖から


出し始め


で、スタッフも上に乗ってない状況での横転だったみたいだが・・・



「前から散々言ってたよな!! 手抜きした仕事すんなってな。 ちょっとの「めんどくさい」が、最悪!!人死に繋がるんだぞバカ野郎!!!」



初対面で見た、柔和な襟矢さんからは、想像もできない鬼のような表情と怒号が湧き出る。



いやでも、


そうなのだ。


舞台は華やかな場、ではあるのだが、


あっちもこっちも危険がいっぱい。


だからこそ、



一般利用者さまから見れば


「なんでこんなにスタッフさんいっぱい必要なん??」


て疑問も、


それだけいるのだ、


「安全確認」


のために。



前にも言ったが、劇場は


工事現場


と一緒。



まあでもしかし


ツアーで慣れてるベテラン(であろう)この照明チーフさまには、同情の余地もない。


今すぐ「出てけー!!」と言いたいところだが



「今すぐ出てけー!!!」


わー!言った!! 言っちゃったよ襟矢チーフ!!!


気持ちは分かりますがそれは、、、



と、


くん、と袖を引かれる。


ん?誰? こんな時に~~



「鎮香ちゃん、、、 ロビーどっち?」



そういやいたな! モギー先輩!!!



読みたいことを、書けばいい。

(by田中泰延)


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