中二病な兄×かわいい妹
ハッピー○○シリーズだけに出てくる
お馴染みのあの兄妹のお話。
この子達は外せないっ!
私の名前は楠原 莉音小学5年生です。背は低くて見た目は童顔、黒髪ツインテール、自分はいかにも妹属性だなーと思う。でも、年の割りには大人びた考えの持ち主だと親や友達や先生から言われます。
「はぁ〜」
そして私には現在、邪気目系の中二病を患っている3つ年上のお兄ちゃんがいます。本名は楠原 リヒト。でも、本人は漆黒の覇者アレースって名乗っているの。
実は私のお兄ちゃんは一時、中二病から卒業してくれたけど、また再発しちゃって、周りのみんなから、特に同じクラスの男子からね、お前の兄ちゃんは変人だなとか、友達から莉音ちゃん可哀想と哀れみの目で見られたり、もう本当にこっちが困ってるの。誰かなんとかして!
「はぁ」
そんなことを思いつつ家に帰るとリビングでは制服のままテーブルに座って窓の外をハイライトがないどんよりとした目で見ているお兄ちゃんがいた。いつもなら、帰ってきてすぐに録画してある深夜アニメを見ているのに。しかも、頬杖までしちゃって一体、どうしたの?
「お、お兄ちゃん?」
お兄ちゃんは首だけを動かして私の方を見た。
「ん?どうした莉音」
「ひっ!」
おおおおおっ!お、お兄ちゃんが私の名前をまともに呼んだ!通常運転のお兄ちゃんなら私の事を『聖なる巫女』か『汚れなき天使よ』って言うのに!これは、どう言うこと⁉︎もしかして、お兄ちゃん学校で何かあったとか。
それからお兄ちゃんは黙っている私を数秒みると、また夕方の空を見始める。すると、ここでお兄ちゃんが何かを言っていることに気がついた。よく、耳を澄まして聞いてみると、お兄ちゃんがなんで元気がないのか、その理由がようやく分かった。
「バレンタインなんて…バレンタインなんて……」
あー、今年もクラスの女子からチョコ貰えなかったのか。だから、こうやってやさぐれているんだね。かく言う私も今日、学校で友達に友チョコを渡してきたばかり。もちろん、友チョコは手作りだよ。私が作ったのは生チョコと普通のマドレーヌ。どれも、自信作なんだ。
「なんだよあのイベントは。イベントなんてギャルゲーと乙ゲーの中だけで良いんだ」
うっわぁー、見てて哀れだ。あれっ?涙がちょちょぎれてきたぞ。そんなにも欲しいのかな?チョコレート。一応、お兄ちゃんの分はあるんだけど、友チョコならぬ家族チョコでお兄ちゃんは満足するのかどうか不安。でもこれ以上、哀愁漂うお兄ちゃんを放っておけない。だから、私はカバンの中からお兄ちゃん用のバレンタインのお菓子をそっと目の前に置く。
「美味しくなかったらごめんね」
一言添えてお兄ちゃんに言うとお兄ちゃんは大きく目を見開いてハイライトのない目に潤いと光が宿った。なんだか、いつもと違うお兄ちゃんだっだから違和感があるんだよね。こう見えても私、お兄ちゃんのことが大事なんだから。
「チョコあげるから、そんな悲しい顔をしないで」
上目遣い、少し高めの声、胸の前で手を組んでかわいくお願い。この3つを駆使しながらお兄ちゃんに頼むと。
「ふっ、ふふ愚問だな、我が聖なる巫女よ」
はいっ!いつものうっとおしいお兄ちゃんに変身。でも、お兄ちゃんが元気になってくれて良かったなぁ。こうして、私のバレンタインと言う素敵な日は、お兄ちゃんにチョコを渡すといった感じで終わった。