アメリカのバレンタインでは
学生のバレンタインが執筆したかっただけですね
バレンタインとは戦争であると誰かが言った。それは大袈裟な表現だなと私は思うけど実際、その日になると学校の中は凄かった。何が凄いのかと言うと。
「甘っ!」
朝から学校の中は甘ったるい匂いでいっぱいだ。そして、クラスの中に入れば男子たちが『チョコ2つも貰った〜』とか正直、くだらないことを言っている。あとは…
「先輩に渡そうとしたのに他の子に邪魔された」
「がんばれー!」
などなど。確かにある意味、戦争だね。まぁ私は好きな人とかに渡すよりも友達に渡す派かな。友チョコってやつだね。さて、今年私が作ったのはチョコチップ入りのカップケーキ。
「よし、彩乃に渡そう」
隣のクラスにいる友達の彩乃に渡そうと席を立った時、前の席に座る安藤 翔太がくるりと振り向き、私に絡んできた。翔太はサッカー部で一応、レギュラー入りはしている。見た目はチャラそうだけど意外と真面目な性格をしていて、よく私にちょっかいをかけてはすぐにどこかへ行ってしまうと言う不思議な男子だ。
「春奈さんよ〜。知ってるか?アメリカでのバレンタインは男から女に渡すんだって」
「何かと思えばうんちく?」
冷めた目で言えば、ショートコントのようにオーバーなリアクションで肩から落ちた。
「違うって」
「じゃぁ、何?」
「だから、はい」
そう言われて手渡されたのは市販で売っている棒付きチョコ。
「あ、ありがとう」
翔太の珍しい行動に驚いて噛んでしまった。それから、ただ単に棒付きのチョコを貰っただけなのに、市販のやつなのに、なんだか胸がドキドキする。これはなんだ?
「照れた顔も可愛いな」
「はぁっ!」
不意打ちではにかまれ、しかも褒め言葉って。男慣れしていない私にとってはオーバーヒートだよ!
「あっ、お返しはホワイトデーで」
「見返りを求めるな!」
本当によく分からない奴!
あぁ、もうっ。なんなんだよ、このドキドキは!