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魔術師になったなら  作者: 宇佐田
〈2〉
7/16

2-3




たまにルナノたち友人の助けで請ける仕事以外は、相変わらず何も出来ないまま、数ヶ月がすぎました。


中級の魔術が少し使えるようになりました。



受付で、ねばりにねばって、一人仕事をもらいました。もらえるようになりました。



ほんのちょっとずつ、お仕事をもらいながら、何とかやっていたある日。



怪我をしてしまいました。お仕事中でなかったのは助かりました。


魔術を試していたんです。


上級はやっぱりまだ調整が難しいとわかったので、その頃には大体使いこなせるようになっていた、初級と中級の術の強化を先にやることにしました。


その練習でも、あちこち怪我をしましたが、おかげで強くはなりました。


お師匠様には怪我をしすぎだと注意を受けました。ごめんなさい。



たぶんわたしのような不出来な弟子は、彼には相応しくないのだと思います。怪我なんてしてみっともないったらないです。



傷をひとに見られると、お師匠様の評判を落とすかもしれない。やっとそう思い至りました。遅すぎます。せめてと思って、なるべく肌を隠すような服を着るようにしました。


もともと露出は抑えていたので、首のスカーフと手袋が増えたくらいです。額に残った傷は髪の毛で何とかなるでしょう。


夏場は少しきつかったです。だから、あまり外に出ませんでした。






初級、中級の魔術を強化しようと思い立ってから、一年。


中級魔術でも、得意のものだったら、上級に近い威力が出せるようになりましたが、相変わらずお仕事はあんまりありません。


何でもかんでも魔術でぶっ飛ばせばいいわけじゃないですしね……。



悩んでいたら、軍のひとから声が掛かりました。



目からウロコです。そうか。そういう道もあるのかって思いました。


でも、正直、元日本人的にそこまで思い切るのは難しそうで。


断腸の思いで、お断りしました。




それから何年も、ギルドでは大したお仕事もできないままでした。




ぼちぼち上級の魔術が使えるようになりました。


お師匠様が独り立ちしてもいいよ、と言いました。


なので、街を出ることに決めました。






「リオ。よそへ行くって本当?」



ひさしぶりにギルドへ行ったら、受付のひとにそう聞かれました。



「はい。今までお世話になりました」


「そうか……。大した力にもなれなくて悪かったな。向こうじゃ、いいひとが見つかるといいな」



やっぱり、誰かとくっつけって話になるんですね。そこ基準なんですね。


うまく笑えず、最後だからいいやと、相槌も打たずに立ち去りました。


わたしは魔術師として認められず仕舞いでした。




ルナノたちに声をかけられ、ちょっと挨拶して、酒でも呑もうと誘われたのは断りました。お酒の席は嫌いです。


どこに行くか聞かれましたが、決めてなかったのでそう答えました。


そうしたら、秘密主義かと当てこすりっぽく言われたので、なにか誤解をされたようでした。面倒くさくなって訂正しませんでした。



どうせ最後なんだから。




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