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魔術師になったなら  作者: 宇佐田
〈2〉
6/16

2-2




自分では何とかうまくやれてると思っていました。



が、ある時を境に、ぱったり仕事がなくなりました。ほんとにまったくです。


一人仕事をわたしがやってるのは外聞が悪い、と受付で言われました。


異世界人だからですね。



どうしたらいいんでしょう。



街に出て、ふらふらと歩きました。行く宛は思いつきませんでした。


実力不足でお仕事がないのは仕方ありません。


でも、異世界人だから?


そう言われてしまったら、どうしたらいいんでしょうか。わたし、いっそのこと消えてしまったらいいんじゃないでしょうか。仕事をする価値のない人間なんて、この世に必要でしょうか。



結婚でもしたらいいのかもしれません。異世界人の女に望まれていることなんて、健やかな子どもを生むことくらいでしょう。


……わたしにはそれは無理。


こちらの男のひとと結ばれるのは、生理的に無理なんです。獣性なんて見せつけられて、身を任せられるわけがありません。



結婚して家庭に入るのも無理で、魔術師として独立するのも無理だったら。



どうやって生きていけばいいんだろう。



他に……他になにかお仕事さがして、……魔術師……諦めるの?



ぞっとしました。この世界が、どこだか全然知らない場所が、異世界なんだって理解した時の絶望感がよみがえりました。


誰も知るひとのいないこの場所で、たったひとりで生きていかなきゃいけないとわかったときみたいな。


魔術師という憧れの単語で押し殺してきた恐怖に襲われて。



なにももたないひとりきりのにんげんがこのせかいでいきていけるのか



それは急に足元の地面がなくなったみたいな感覚で、なにもかもがとても恐ろしくなりました。






ぼんやり歩いてたせいで、誰かにぶつかって吹き飛ばされて、あちこちぶつけて擦り傷ができました。受身をとり損ねました。


こんな格好のまま、ふらふらしてたら、おかしなひとにからまれないとも限りません。


異世界人には親切ごかしで近づいてくる変なひとがよくいるんです。



慌てて家に帰りました。



幸い、お師匠様は不在か、寝てるか、何かしてるかで、とにかく興味をもって部屋から出てくることがなかったので、手当てはこっそり済ますことができました。


顔にも擦り傷ができてたのはショックでした。


そうですね、考えてみたら、いっそのこと酷い傷でもあった方が……。ああ、駄目ですね。そんなことになったら、魔術師以外の道が閉ざされてしまいます。



……ほんとにどうしよう。



外聞が悪いのは、相応の実力がないと見倣されているからでしょう。



異世界人には強い魔力がある。誰にも負けない魔力が。


なら、まだ希望はあるはずです。魔術の勉強をがんばればいいんです。



異世界人だから駄目だと言うなら、異世界人ならではの能力で覆してみせましょう




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