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魔術師になったなら  作者: 宇佐田
〈2〉
5/16

2-1

※入れざるを得ないけど、大して盛り上がらないで章なので、読まなくても大丈夫です。

(と書き手が堂々と書いていいのかYO!)


よく判りました。自分の立ち位置というか、実力というか、そんなものが。わかって……いたつもりでしたが、露骨につきつけられると参っちゃうなぁ……。



出来るお仕事が激減しました。



何故って、そりゃ、わたしと組んでもいいよってひとが減ったからです。当たり前ですよね。わたしなんて居てもせいぜい毛色の変わったマスコットみたいなものです。


マスコットがマスコットの役目も果たせないとなれば、連れてく意味もないわけですよ。


嫌われたとか何とかよりも、気を遣わなきゃいけないとわかって及び腰になった、というひとが多そうです。べつにみんなそんなに性格悪くないんですよ。意趣返しにつまはじきにしてやろうなんて、わざわざ考えてないに違いありません。



……とは言ってもなぁ。



がっくり。



今日はおうちに帰ろうか。昨日も一昨日も空振りで、遠巻きにひそひそされて疲れちゃった。今日はまだ早いけど……。


と、帰りかけたところで、声をかけられました。


いつも同じ四人で組んでるひとたちです。よく知らないひとたちですが、一緒にどうかと言ってくださいましたので、二つ返事でお受けしようとしました。


が、ギルドの受付の方に渋られました。わたしレベルの魔術師を加える仕事内容じゃないって。



ご、ご尤も……。



へっこへっこに凹んだので、やっぱり大人しく帰ることにしました。






あれ以来、食事はいつも静かです。


お師匠様は気まぐれに饒舌になったりしますが、基本は心ここにあらずなお方ですので、黙ってもぐもぐ食べていることが多いです。マッドな方によくあるように、独り言をぶつぶつってのはないですね。


とても気楽ですが、こんなにラクをしていていいのかと思うことがあります。不幸体質なんでしょうか。



日本に帰りたい、家に帰りたいと泣いてたのに、魔術師になれますって言われただけで立ち直って、故郷を置き去りにできたわたしは、元の世界にあんまり愛着がなかったのだと思います。


なんと言ったらいいかわからないけど、うちはあんまり素敵な家庭じゃなかったし、不幸といえば不幸でした。そういうのって、性格もひねさせるんですよね。



不幸せな人間が不幸せを再生産するのって、幸せに慣れていないからなんですって。慣れない場所だと居心地が悪いでしょう。自分の居るべき場所ではないと無意識に感じて、自ら壊してしまったり、手放してしまったり。


幸せになってはいけないような気がしてしまうから、幸せになれないのだと聞いたことがあります。


そういうのが不幸体質。むやみに楽をしちゃダメっていうのも、そういうのの一種なような気がします。


気楽さを満喫し、努力はすべきところでする。それでいいのに。



異世界になんておりますが、できれば幸せにはなりたいので気をつけなくちゃいけません。



とりあえず、今は静かにごはんが食べられる幸福に感謝しましょう。






あれから一月経ちましたが、仕事は相変わらずあんまりです。


ルナノや数少ない友人が組んでくれたりもしましたが、そんなに甘えてもいられません。


以前はそれが分散してたから、都合のいい態度で申し訳ないとは思いつつ、皆さんのご好意に甘えてました。


適度に実力がついたら、いつかは何かでお返しができるかもしれませんし。こんな物騒な世界で、ひとりで気張っていたら、生きてはいけませんから。


でも今は……わたしと組んでくれるひとはめっきり減ってしまいました。このままじゃ、友人たちに負担をかけすぎてしまいます。



一人でもできそうな依頼を請けてみることにしました。



受付で渋られてブロークンなハートにはなったものの、ごく簡単な採集とかお使いごとみたいなお仕事はもらえました。



一人で街の外に出て、草原や林を歩くのは怖かったです。


何しろ魔物が出る世界ですからね。ひとを襲う獣や野盗もいますし、危険だらけです。


でも、やってみたら、何とかなりました。勇気を出してよかったです。



誰の目にもつかない場所にいるのは解放感もありました。



この世界にきてから、異世界人だ異世界人だと注目を浴びすぎて、ちょっと疲れてるんだなと思いました。






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