夕食の席
翼は、毎日我が家で夕食を食べていく。
翼は私の彼氏だ。
母親もその食べっぷりとイケメンっぷりにやられて、
「毎日ご飯食べてってくれてもいいわよ」
なんて言っていた。
最初は遠慮がちだった翼も、母の毎日の説得に負けて、うちで毎日夕食を食べていくようになった。
翼と父と母と私で夕食を食べていたある日、翼が「姫花の家は毎日こんなにおいしいお母さんの手料理が食べれていいなあ!うち母親が入院してるから、弟と妹にも食べさせてあげたいよ」
と翼が言うと、母が翼に「あら?翼君弟と妹がいるの?何人」
「一人ずつです」
「じゃあ明日弟と妹も連れて来て」
「え?いいんですか?弟と妹絶対喜びます」
そう言って翼君が笑うと、まるでアイドルみたいにキラキラしていた。
次の日翼君が連れてきた弟怜君と妹の凛ちゃんも凄くかわいくってびっくりした。
それから時々翼は怜と凛を連れてうちに夕食を食べに来るようになった。
母は「お母さん入院してるんでしょ?いつでも連れて来ていいからね」
なんて言ってた。
それから翼は毎日怜君と凛ちゃんを連れてくるようになっていた、そのうち学校が終わると、怜君と凛ちゃんだけでも来るようになった、と母に言われた。
そこからは、土日の朝から二人は来るようになった。
私は弟と妹が一度にできたみたいで、なんだか楽しかったが、母の顔はどんどん曇っていった。
そのうちぼそっと「うちは託児所じゃないのよ」
なんて言うことが増えてきた。
母は、私を手招きして言った。
「ねえ、翼君に姫花から言ってくれない?流石にきょうだい連れて毎日毎日、しかも託児所代わりは困るって」
「何で?別にいいじゃない」
「別によくないのよ、毎日毎日土日なんて、朝から晩まで小さい子まで連れてこられたんじゃ気が休まらないし、食費だってすごいんだから」
母に言われて、自分から言い出した癖にと思いながら、その日の夕飯の時に話すことにした。
その日は怜君と凛ちゃんは遊ぶのに夢中でいくら呼んでも来なかったので、翼がおかわりをしたタイミングで切り出した。
「翼、流石に毎日はやりすぎだと思うんだ、翼一人ならまだしも、怜君と凛ちゃんまで毎日連れてくるのはどうかと思うよ?しかも何杯もおかわりして、怜君と凛ちゃんの分控えようとかないの?」
すると翼は「なら最初から飯食っていけ、毎日いてもいいわよだとか言うなよ」
そして目の前の残ったご飯をかき込むと、怜君と凛ちゃんの首根っこを掴んで「帰るぞ!」と言った。
怜君と凛ちゃんが「嫌だ!ごはんは?」と言っても、
「お前らが呼ばれても来ないからだ!今日は飯抜きだ!」
と言って二人を引きずって行った。
みんなで玄関に出ると、翼は「ご馳走様でしたっ!」
と言い、外に出ていった。
大学教授の父は「晩飯ぐらいいいだろう」と言うが、
母は「こんなことずっとされ続けてちゃ、うちだって食べていけなくなるわよ」
父は「私の稼ぎはそんなに少なくないと思うけどね」と言う。
父が翼君を庇うのには理由がある、私はそれを知っている。
私と父の血は繋がっていない、私が母の連れ子だからだ。
そして、父には秘密がある。
翼の母親と昔から繋がっていて、翼は父の子供なのだ。
翼が帰り際に見せた憎々し気な表情が忘れられない。
そう、翼から話を聞き、幼い頃、嫌だといったのに父と再婚した母に対する復讐になると考えた私達は、二人で手を組んだ。




