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14-2.

「「生活保護!?」」

私の案と、はじめて聞く言葉に、お父さまと公爵閣下が驚いた声をあげた。

「……しかも、その資金は君が得た収入を充てるだなんて……」

 眉を下げて、公主閣下が首を振る。

「恥ずかしいよ、アンネリーゼ。それは私がすべき仕事だ。だが、まだ十分に国庫が潤っていないのも実情だ」

「いいんです。私がやりたいんです」

 そういって、私は公主閣下ににっこりと笑いかける。

「気に病まないで下さい。使い道のないお金です。私はこのお金で服を買ったり、宝石を買ったりしたいなどとは思わないのです。……使い道がないのであれば、使う場所を見つける。それだけのことですわ」

 そう訴えると、公主閣下の表情が和らいだ。

「……君は救国の女神かい? 私にはまさにそう見えるよ。その上、誰もが考えもつかない発想をする。知性を兼ねた女神だ」

 すると、公主閣下が、私の前で跪いた。そして、私の片手を取る。

「……思い出してくれ、アンネリーゼ。女王の庭であった日のこと。あの日、私は君に恋をした。そして、君がこの国にやってきて、もう一度恋をしたんだ」

「恋!?」

 急な展開に私はうろたえる。

「閣下、膝をあげて下さい」

「いいや、あげない。アンネリーゼ、私の女神。あなたにもう一度恋をする権利をくれないか」

 そういって、公主閣下が私を見あげた。澄んだ灰色の瞳の中に、私が映る。

「あ、あの、生活保護のお話を……」

 私は、どうしたらよいか困って、話題を戻そうとする。

「もちろん許すよ。でも、それは少しずつ国の事業にさせてもらいたい。……その話も、おいおい君とゆっくり話をさせて欲しい」

「……はい、もちろんです」

 生活保護などの機能は、本来個人ではなく国の機能であった方が良い。私がいなくなっても、その遺産を継いだ人が私の意思を継いでくれるとは限らないのだから。

「ところで、アンネリーゼ。話を元に戻すが……」

 ──あっ、やっぱり戻る!?

「君にとっては急な話で戸惑っているだろう。だが、私はもともと君を妻に欲しいと思っていた」

「……え……」

 私にとっては急な話に私は言葉も出ない。

「あちらの国で婚約破棄をされて君たち一家は私を頼ってこの国に来たよね。そのときから、私は君を妻に欲しいと思っていた」

「……そんな、前から……」

 そんな前からの想いだといわれると、心が揺れ動きそうになった。

「急がなくても良いんだ。時間をくれないか。君を口説く時間を……ね?」

 そうして、手を取られた方の手の甲に、柔らかな口づけを受けた。

 唇は柔らかく、熱を帯びていた。


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