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2話

と、その時、部屋の扉がたたかれた。


私に用がある人? 珍しすぎる。


それとも、カイトの元妻としてどう思うかのインタビューかしら?


などと考えながら扉を開けたら、男の人がいた。


「よっ。久しぶりだな」


「ええと…」


誰だか思い出せない。ってことは、私が記憶を失った頃くらい昔の知り合いってことだ。


「お名前は…?」


「ああ、そうだったね。今から覚えてくれれば全然大丈夫。僕はダスクって言うんだ」


「ダスク…あ、私はフーリよ」


「うんうん。本当に美人だなあ」


「あ、ありがとう」


この人は何者なんだろう。何か用があって長らく宮殿を離れていて、最近戻ってきたってことかな?


だって全然最近全然みたことない人だし。


だけど、私はそのダスクとなぜか話が弾みそうな気がして、それからもよく会うたびに話をするようになった。


「フーリの元夫はかなりひどい人みたいだね。今も次々に悪事がバレているじゃないか」


「そうなのよ。でも私たちの親的には私とカイトが結婚するのがよかったみたいだわ。一応名家同士だしね」


「なるほど、そうなってくると、フーリの親も自分勝手じゃないか」


「うん。本当に自分勝手な親よ。昔のことは覚えてないけど、多分全くいい育てられ方をしてなかったんじゃないかな」


「……そうか。やっぱり。まあ、これからは楽しく過ごそうよ。僕、交易発展のために世界を旅してきたんだ。その話がたくさんあるよ」


「そうなの?」


「ああ。早速どこかで紅茶を飲みながら話そう」


「ぜひ。私、宮殿の隅っこ扱いだから、時間はあるの」


「素晴らしい。僕も時間があるんだよ。なにせ今までそれなりにちゃんと仕事をしてきたからね。今はのんびりしていていいんだって」


「それが交易発展?」


「そう。僕が色々仲介して、国同士の公平な貿易を達成したんだ」


「スケールの大きい話ねえ」


「だろう。けど、色々な場所で過ごすたびに思ったよ。やっぱりこの宮殿が一番素晴らしい場所だね」


「そんなに? 私は逆に滅多に遠出しないからよくわからないけど…」


「うん。やっぱりここがいいね。なにせ僕だって幼少期ここで過ごしたんだ」


「やっぱり。てことは、私が覚えていないだけで、私たちはきっと、幼少期によく話していたのよね」


「そうだね」


ダスクは懐かしんでいるみたいだ。


だから謝りたくなる。


記憶をなくしてしまって、ごめんなさい。


その夜、私は枕元のうさぎのぬいぐるみを見て考えていた。


うさぎのぬいぐるみを見つけてから、カイトの悪事がどんどんと暴かれ、さらにダスクと出会った。


これは、このうさぎのぬいぐるみの効果……?


かつての持ち主は……もしかして、ダスクだったのではないだろうか。


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