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第七話:龍信仰と女神信仰

このハイランディアに伝わる古の伝説を話そう。


世界が混沌と闇しか無かった頃、天より落ちた力の源から六匹の龍が産まれた。



暗瞑龍ヴリトラ、陽炎龍アマテラス、聖白龍アルビオン、地皇龍パヤナーク、 水龍妃ヴィヴィアーン、 風紋龍ククルカン


六龍は産まれおちた世界が闇と混沌しか無いことに嘆き、力を合わせて新たな世界を創造する事にした


まず地龍パヤナークが大陸を作り出し、陽炎龍アマテラスが火炎を吐き出し太陽を作り闇を退けた。そして水龍ヴィヴィアーンは雨雲を作り雨を振らせて海や川そして湖を産み出し、風龍ククルカンが風をつくり大気を循環させマナを大陸中に行き渡らせると


大陸中にはいつのまにか多くの命が満ちあふれていた。


そして聖龍アルビオンは命たちに聖なる加護を与え


暗瞑龍ヴリトラは夜を作り出し命の成長を促すために試練を与えた。



やがて国作りを終えた六匹の龍たちは皆〝聖域〟と呼ばれる場所に身を隠し世界の均衡を守り続けている。




・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「・・・・とまぁ、コレが龍信仰を語るにおいて外せない大事な話さね。」


エバがそう語り終えたのを見るとキャスパーがエバの隣に座った


「では次は小生の口から女神信仰を語らせてもらうとするか。」


にゃほん、と咳をすればキャスパーは静かに語り出した。





・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


ハイランディア大陸が出来て数年経ったが、多くの災いが降りかかりはじめた。


疫病、災害、飢饉


多くの命が失われていく中でアルヴァロンに住む人々は度重なる災いにどう対処すべきかわからず女神や龍に祈りを捧げ続けていた


そんなある時のこと。アルヴァロンに〝一人の魔道士〟が訪れて人々にこう問いかけた



「この災厄が試練であると言うならば何故我々人間のみこのような扱いを受けねばならぬのだ。」


さらに魔道士は続ける


「もしや竜達は女神の意思に背き我々人間を滅ぼさんと企んでいるのではないか?その最たる象徴があのヴリトラと言う竜ではないか」


魔道士のこの言葉をきっかけにヴリトラは災厄を呼ぶ竜として恐れられはじめた


そしてその災いをはねのける力を女神は人類に与え


これを後に《ギフト》と呼んだ。


そして世界が未曾有の危機に陥った時


女神は最後の切り札として〝異世界から勇者〟を召喚した。


そして勇者は〝身の丈よりも大きな聖なる槍〟を携えヴリトラの災いをはね除けたのでした。



・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「・・・・と、これがアルヴァロンに伝わる女神信仰の伝説じゃ。」


ぺろぺろと顔を洗いながら話すキャスパーに三雲は顎に手を当ててちらりと三郎を見る


「・・・良い話っちゃあ、良い話だけど・・・」


「そうだねぇ・・・でも俺からしたら〝龍を完全に悪〟と思わせるように作り出した胸くそ悪い話に聞こえるよ嫁御殿。」


眉間に皺を寄せ不満げに話す三郎だったがふとキャスパーを見る


「・・・猫助はなんでそこまで知ってるんだい?」


「キャスパーだわい!!!先ほど名乗ったであろうて!んにゃ~・・・じつはその、なぁ」


三郎の言葉にキャスパーは口を濁してしまう。すると話を聞いていたエバがにやりと意地悪い笑みを浮かべ



「このまんじゅう猫、〝ちょいとヘマ〟やらかしてアルヴァロンを追い出されたんだよ!」


「は!?」


「こりゃあ!!!この脳筋エルフが!!!なにさらっと暴露しとるんじゃあ!!!?」


「だっははは!いーじゃないのさ!隠すことなんかないだろう?」


まんまるボディで毛を逆立てながら抗議するキャスパーを軽くあしらいながらエバは勢いよく立ち上がり近くにあったタンスから服を引っ張り出すとソレを三雲に渡した


「は?あ、あの、女将さん?これは??」


「アンタの着てた服ぼろぼろだったからねぇ!こりゃアタシのお古だけどよかったら着ておくれ。」


エバの好意に三雲は小さく頭を下げるとエバはさらにある物を差し出してきた



「ほれ、あとコレ。アンタのだろう?〝ウチの旦那〟が色々メンテナンスしておいた。」


「あっ!!・・・わ、私の刀!」


「あとウチの旦那からの伝言だ。・・・・・良い刀だ。ちゃんと持ち主を選んでやがる。名前くらい覚えてやれ。・・・だってさ!」


エバの言葉に三雲ははっとするとナビゲーションに声をかけた


「刀鑑定、頼めるかい?」


【了解。鑑定結果を表示します】



機械的な音声が答えるとすぐにメニューバーが表示された



妖刀羽々(ようとうはばきり)



「・・・はばきり・・・」


握られた刀、羽々斬をしっかりと握りしめそっと鞘を一撫でする。





「・・・・・ありがとう。一緒に戦ってくれて」


そう三雲が小さく礼を溢せばエバは笑みを浮かべ肩を叩く



「さぁて!そうと決まれば行こうじゃないさミクモ!」


「は、はい?行くってどこに!?」



叩かれた痛さに一瞬涙目になった三雲にエバは豪快に笑い答えた




「冒険者ギルドに決まってるじゃあないか!」






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