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第六話:疑念

今までの事を、三雲はエバとキャスパーにぽつりぽつりと話し出した


自分達が別の世界から突然召喚された事


魔竜王を倒すための勇者として大切な後輩達が選ばれた事


そして、自分に与えられたギフトのせいで《災厄の勇者》であると決めつけられ命からがらアルヴァロンから逃げてきた事


「・・・そうかい、そんな事が・・・」


三雲が話を終えるとエバは小さくため息を吐いて立ち上がればそのまま側に寄ると優しく三雲の頭を撫でた


「・・・・悔しかったろうに・・よく頑張ったよアンタ・・・」


「女将さん・・・・」


「しかし、聞いてて腹が立ってきたねぇ!これだから〝あの国〟はいけ好かないんだ。」


腰に両手を当てエバは苛立ったように声を荒げると今度はキャスパーが口を開く



「まったく・・・〝真相を探ろうとせず〟勝手に自らの都合の良いように周囲を先導しおって・・・・あの頃となーんも変わらんな頭の硬い騎士共は」


むふー、と鼻息を慣らせばキャスパーはさらに三雲に尋ねる


「時に・・・ミクモにサブロウ殿。」


「ん?」


「お前さん達・・・奴等に〝何を〟聞かされたのだ?」


「何って・・・魔物の動きが活発になってきてて、それは魔竜王が復活したからだーって言われたけど」


三雲の言葉にキャスパーは訝しげに眉をひそめればさらに話をつづける


「・・・魔物が活発になってきておるのは事実である。だが・・・魔竜王の事は〝異なる話〟を聞かされとるな」


「異なる?・・・」


「さよう。・・・ミクモ、お前さん勇者候補の力みたいな物で空間に地図を出せるか?」


キャスパーに言われるがまま、三雲はメニューバーから地図を浮かび上がらせる。それを確認すればキャスパーは片方の前足で地図を指さした


「今お前さん達がいるのがユグドル国内にある街ビャルカン。そこから東側にあるこの切り立った山々、通称《大黒壁山脈》を越えた先にあるのが魔族領・・・要するに魔物達しかおらん国だ」


「魔族領みたいなものか・・」


「そしてその奧地にそびえ立つ黒い石で出来た建物が《闇の霊廟》・・・その魔竜王の住み家になっとる。」


「!・・・復活してたのか」


「復活するもなにも・・・眠りについておったのよ。それが〝突如として〟目覚め・・この大陸に生きる者に害をもたらし始めたのだ。」


「眠りについていたって・・・・そりゃどうしてだい?」


三郎の問いかけに先ほどまで饒舌だったキャスパーは急に黙り込んでしまう。


何か不味いことを言ってしまったのかと隣に居た三雲と顔を見合わせていればエバがスープ皿とパンを差し出してきた


「アタシのほうから説明するよ。・・まずは食べな?」


「あ、ありがとうございます・・・」


スープ皿には湯気立つ黄色い液体が入っており、パンも焼きたてのようでふんわりとした生地に所々木の実のような物が練り込まれていた



「エバさん特製、ブベリーの実パンとモロキビのスープ!召し上がれ!」


「いただきます!」


三雲はまずパンを一口かじり咀嚼し飲み込むとスプーンは使わず、スープ皿に口をつけぐいと飲み干した


「あっつ!」


「あっははは!良い食べっぷりだけどそれじゃあ火傷しちまうよ。ゆっくり食べな?」


笑いながら背中を摩るエバに三雲もつられて笑みを浮かべる


「さてと・・・魔竜王様についてだったね・・・・そもそも、魔竜王なんて呼び方してるのは〝アルヴァロンの連中だけ〟なんだよ」


「徹底的に目の敵にしてるんですね・・・」



「あの国は〝女神信仰〟のみ強く根付いていてね・・・まぁ、ソレもちょいと歪んだ形でなんだが・・・」


難しげな顔をするエバに今度は三郎がにやりと笑みを浮かべる


「本来の信仰方法とは違い・・・〝龍側が完全悪〟のような教えをしてるって事かなぁ?」


「サブロウ〝様〟の仰るとおりさ。そんな間違った信仰を伝えちまってきたせいであの国はちょいと歪んでる」


「どこの世界にもあるんだねぇ・・・あ、ところで女将に聞きたいのだけれど。」


サブロウの問いかけにエバが顔を上げる


「なんだい?アタシに答えられる事ならなんなりと」


「俺や嫁御殿の世界では〝多神教〟の世の中で信仰の自由もあるのだけれど・・・この世界じゃあ、その女神信仰と竜信仰の二つがあるのかい?」


「あぁ、そうだよ。ハイランディアでは女神信仰と龍神信仰の二つが存在するんだ。・・・話すとちょいと長くなるんだがね」


そう言うとエバは静かに話し始めた





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