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第二話:呼び声を皮切りに

「この者を殺しなさい!!!」



「・・・・・は???」


顔を青ざめ怯えたように叫ぶギネヴィアの言葉に武装した兵士達が槍を構えて取り囲む



「ち、ちょっと!!!ちょっと!!!待ってください!!いきなりなんですか!!殺せってなに!?」


状況が掴めず慌てる三雲を他所に近くの兵士達が夜達を庇うように前に出る


「ど、どいてください!!三雲さんが!!」


「勇者殿、お下がりください!皆様を危険に晒す訳には参りません!」


夜の声に兵士達がそう返せば三雲に槍を構え攻撃の態勢を取る。


さらにギネヴィアの近くに控えていた赤銅色の鎧を身に纏った騎士が前に出て剣を抜き放った


「まさか・・・異世界より召喚した勇者候補の中に災厄を呼ぶ存在が紛れ込んで居たとはな」


「さ、災厄!?なに訳わかんないこと言ってんのオジサン!!ちょっと渋めの堅物騎士オーラだからって許されると思ってんのか!」


刀を抱きながら喚く三雲に槍を構えていた兵士が声を上げる


「無礼だぞ厄災の勇者!!栄光あるペンドラゴン騎士団騎士団長たるギュスターヴ・アグラヴェイン卿に向かってなんだその態度は!!」


兵士の言葉に赤銅色の騎士、ギュスターヴはため息を吐くと冷たい眼差しを三雲に向けたまま説明した


「貴様のステータス情報にあるそのギフトの事だ」


「は!?ギフト!?・・・あ、あぁ、この祟り龍の~ってやつ?いやいや、ただのスキルみたいなものじゃないの!?」


「・・・このハイランディアに・・なによりこの騎士団都市アルヴァロンにおいてドラゴン・・・龍種とは災いをもたらす存在として語り継がれているのだ。・・あげく、修行を積んだ聖騎士や熟練の方術士が100人でやっと浄化できるほどの呪詛値まで持ち合わせている・・・これを災厄の勇者と呼ばずして何であると言うのだ?」


ギュスターヴの言葉に三雲は顔を青ざめ、そして自分の影を見た後もう一度ギュスターヴを見た


-- まさか


--- もしこの世界に霊感のような特殊な力があるのだとしたら?


「それに貴様・・・・その体に纏わり付く禍々しい気配は何だ。」


ギュスターヴの目つきがさらに険しくなり彼の握りしめる剣に力がこもる


--- 見えているのか。自分に憑いている存在が


「っ、こ、これはその、・・・わ、私だって好きで憑かれてるわけじゃ!!」


三雲の反論に今度は夜達と居た陽葵が慌てて声をかけた


「そ、そーだよ!誤解だよ!みーやんだって好きで取り憑かれてるわけじゃないってアタシたちに話してくれたもん!」


「・・・だとしても見過ごす訳にはゆかん。災厄となる前にここで潰させてもらう」


ギュスターヴはそう言い捨てると剣を構える。が、それを離れた場所で見ていた鈍色の鎧を身に纏った騎士が止める


「お待ちくださいアグラヴェイン郷!!・・・右も左もわからぬままこの地に召喚された挙句いきなり斬り捨てるのは少々やりすぎであろう!」


「・・・・貴様の出る幕ではないぞジョエル・ランスロット。泉の加護を無くした貴様が私に刃向かうか?」


ギュスターヴの言葉に鈍色の鎧を身に纏った騎士、ジョエル・ランスロットは複雑な顔をし押し黙る。


それを鼻で笑えばギュスターヴは近くの兵士達に声をかけた


「災厄の芽をここで摘む!!あの者を殺せ!!」


その声を皮切りに兵士達が槍や剣を構えてじりじりと三雲ににじり寄った


「っ・・・こちらの話一切無視!?巫山戯んなっつーの!!勝手に異世界に呼ばれてあげく変なステータスだから殺すって何様なんだっつーの!!」


にじり寄ってくる兵士達に向けて刀を抜き放ち三雲は声を荒げるが、所詮ただの小娘の戯れ言。兵士達は怯むこと無く一歩、また一歩とにじり寄っていく



「っ・・・・・」



このまま死ぬ?


訳もわからず呼び出され勝手に災厄になるだのと決めつけられて?



「・・・ざけんな」



---  巫山戯るな



「・・王族だかなんだか知らないけど高い場所から偉そうな面しやがって」



血が滾る。心の奥で・・・いいや、魂の奥底で怒りの感情がふつふつと燃え上がる



【殺せ】



体に張り巡らされた血管、その一本一本がふつふつと爆薬の導火線のようにちりちりと燃えるような感覚が走る



【殺してしまえばいい。傲慢な奴等を】 


心臓の奥を何かで逆撫でされたように妙な感覚が湧き上がってくる


【躊躇う必要なんてないじゃあ無いか・・・思い知らせてやればいい】


自分の意思とは関係なく左手が刀の鞘を握り、右手がその柄を掴みゆっくりと刀身を抜き放ち








「殺ってしまおう。嫁御殿、・・・俺たち二人でさぁ」




そう、耳元で男の低い声が聞こえた瞬間。



「---    は?」



何が起こったのか、三雲本人にも理解が出来ていなかった。



シャンパンのコルクが飛んだかのように兵士の首は宙を舞い、いつのまにか自分の右手には抜き放たれた刀が握られていた。



胴体から切り離されたその顔には恐怖や苦痛の色は無く、一体何が起こったのだと呆けた表情のまま一定時間空中を舞った後に熟れた木の実が地に落ちるかのようにぼとりと音を立てて玉座の前に敷かれた絨毯に転がった


そして、残った胴体もまるで糸を切られた操り人形のようにドン、と膝をつくとその衝撃で頭部があったであろうその場所からはまるで破裂した水道管のように血液が噴き出しさらに絨毯を赤く染めた




「あ、あ、・・・・あ、」







【祟り龍の呪い】効果:対象者の身体を強化し魔力や技の威力を極限まで向上させる。また、光属性魔法や状態異常の効果を無効化する


デメリット:対象者に敵意を向ける者を抹殺対象とみなしソレが人間であればなんであろうと殺戮の限りを尽くすまで収まらなくなる。







「うわああああああああああああ!!!!!」




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