第五話 神の権能はヤバいです
チュン、チュンチュン
鳥のさえずりが聞こえる。
『う~ん。』
___僕は手を上にあげ体を伸ばす。
...あれ、なんかできない。
何でだろう。あそこに鏡がある。ちょっと見てみよう。
あっ...そうだった。僕はもう人間じゃなくて狼なんだ。
なんか傍から見ると人間味がある狼っていうシュールな光景になってそう。
よし着替えるか..........まただ。狼だから服いらないんだ。
それじゃ今日から頑張りますか。
____僕はドアを開ける。
「おっはよ~」
リビングに誰かいる。誰だ?
人間が2人いる。しかも男女。
男子は高身長でイケメンだし、女子もスタイル抜群の美女。こんな人いたっけ。
前世だったら、国宝級だぞ、国宝級。だぶん。
けど、フェンリルになったからなのか魅力は感じない。
感覚が人間からフェンリルになったからかな。
「あー、うちだようち。」
うちうち詐欺?
『えっと、誰ですか?』
「ユリだよ。ユリ。」
『えっ、ユリさんですか。』
「そうユリ。あとさん付けなしでいいよ~」
『それじゃあ...』
「そう俺がシン。」
『えっとどういう状況ですか。』
「驚いた?ねぇ、驚いた?」
『いや、驚きますよ。知らない人が目の前にいて、
それがユリとシンだなんて。』
「昨日説明し忘れてたけど、俺たちはなんにでも化けれる。」
『それも神の権能ですか?』
「いや、これは俺たちの能力。潜在能力とでもいうのかな。
どんな生き物にも変身できる。」
「いや~ドッキリ大成功!」
「たぶんカイも出来るから、やってみれば。」
『どうやってやるんですか。』
「心の中で願えばいい。」
『分かりました。やってみます。』
(人間に変化しろ。)
ボンッ。
案外簡単だ。これが潜在能力。
「おっ出来たね~。鏡見てみたら。」
____僕は鏡を見る。
えっ、誰。国宝級イケメンがいるんですけど。
さっき見たシンの変化姿とは違う方向性の。
これが僕?まじで、あの雑用して疲れて
死んで神に哀れに思われた僕?
やばい。これはやばい。もし前世の自分だったら、惚れちゃう。
でもやっぱり魅力は感じない。
「まぁ、今後も使うから、慣れといて。」
ボンッ。
2人が元に戻った。
「ほら、カイも戻ったら。」
『分かった。』
(戻れ)
ボンッ。
僕は元に戻る。
「じゃあ、うちは使命をやってくるね~」
ユリは自分の部屋に戻っていった。
リビングには僕とシンの2人しかいない。
「そうそう。昨日、神の権能使った?」
『あんなこと言われたら使うわけないじゃないですか』
「だよね。もし使ってたら、今頃、力が暴走して、カイは大罪を起こしてたよ。」
昨日の寒気の正体はこれか....
「じゃあ、昨日説明しなかったことを説明するね。
まず、俺たちの一つの使命。
それは、様々な生き物に化けて、問題がないか確認する。
あとは、ダンジョンの管理。これについてはやってみた方がいいね。」
昨日から僕も気になっていたんだよ。
だってダンジョンだよ。あのダンジョン。
「これをもって。」
なんだろう。これ。球体なのに、中が透き通ってる。
『これは?』
「これは、ダンジョンを管理するための道具。」
『名前は何ですか。』
中二病的な名前かな。わくわくする。
「初代が名前を考えたらしいんだけど、みんな長命種だから。
忘れられたんだって。」
それ、初代が可哀そうなのでは。
「まぁこれを触ってみて。」
____僕は触る。
突如、目の前に何かが表示される。
『えっ』
これって、スクリーンみたいな感じじゃん。
「その『ダンジョンを作成』のボタンを押して」
押してみると、何層にしますか。と書かれている。
「まぁ、最初だし、10層にしておこうか。
次に1層の魔物にスライム・ゴブリン・コボルトを追加して見て。」
僕は言われたとおり、追加した。
「後は、ちゃんとバランスを考えて、他の層にも魔物を追加。
後、宝箱の中身や罠を設置して、
『ダンジョン作成完了』を押せばいい。」
これって、完全にゲームじゃん。(2回目w)
「たまに、魔物を変えたり、変異種を入れればいいよ。
人間に攻略されたら、新たなダンジョンを造り、
人間の世界の経済を回す。これも使命。
今日は、これに慣れてくれればいいかな。
明日も他のことについて説明するからほどほどにね。」
『あのこれって神の権能ですか。』
「うん。そうだよ。まぁ神の権能が与えられている俺たちしか使えない。
だから、盗まれても大丈夫だよ。
それじゃあ、頑張ってね。僕も使命をやらないといけないから。」
『説明ありがとうございます。』
シンは自分の部屋に戻っていった。
よし、それじゃあやってみるか。
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