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フェンリルたちの奮闘記~昼の象徴~  作者: 一匹鴉
1章 初めての狼生活
8/9

第五話 神の権能はヤバいです

 チュン、チュンチュン

 鳥のさえずりが聞こえる。


 『う~ん。』


 ___僕は手を上にあげ体を伸ばす。

 ...あれ、なんかできない。

 何でだろう。あそこに鏡がある。ちょっと見てみよう。


 あっ...そうだった。僕はもう人間じゃなくて狼なんだ。

 なんか傍から見ると人間味がある狼っていうシュールな光景になってそう。

 よし着替えるか..........まただ。狼だから服いらないんだ。


 それじゃ今日から頑張りますか。


 ____僕はドアを開ける。


 「おっはよ~」


 リビングに誰かいる。誰だ?

 人間が2人いる。しかも男女。

 男子は高身長でイケメンだし、女子もスタイル抜群の美女。こんな人いたっけ。

 前世だったら、国宝級だぞ、国宝級。だぶん。

 けど、フェンリルになったからなのか魅力は感じない。

 感覚が人間からフェンリルになったからかな。


 「あー、うちだようち。」


 うちうち詐欺?


 『えっと、誰ですか?』


 「ユリだよ。ユリ。」


 『えっ、ユリさんですか。』


 「そうユリ。あとさん付けなしでいいよ~」


 『それじゃあ...』


 「そう俺がシン。」


 『えっとどういう状況ですか。』


 「驚いた?ねぇ、驚いた?」


 『いや、驚きますよ。知らない人が目の前にいて、

  それがユリとシンだなんて。』


 「昨日説明し忘れてたけど、俺たちはなんにでも化けれる。」


 『それも神の権能ですか?』


 「いや、これは俺たちの能力。潜在能力とでもいうのかな。

  どんな生き物にも変身できる。」


 「いや~ドッキリ大成功!」


 「たぶんカイも出来るから、やってみれば。」


 『どうやってやるんですか。』


 「心の中で願えばいい。」


 『分かりました。やってみます。』


 (人間に変化へんげしろ。)


 ボンッ。

 案外簡単だ。これが潜在能力。


 「おっ出来たね~。鏡見てみたら。」


 ____僕は鏡を見る。


 えっ、誰。国宝級イケメンがいるんですけど。

 さっき見たシンの変化姿とは違う方向性の。

 これが僕?まじで、あの雑用して疲れて

 死んで神に哀れに思われた僕?

 やばい。これはやばい。もし前世の自分だったら、惚れちゃう。

 でもやっぱり魅力は感じない。


 「まぁ、今後も使うから、慣れといて。」


 ボンッ。


 2人が元に戻った。


 「ほら、カイも戻ったら。」 


 『分かった。』


 (戻れ)


 ボンッ。


 僕は元に戻る。


 「じゃあ、うちは使命をやってくるね~」

 

 ユリは自分の部屋に戻っていった。

 リビングには僕とシンの2人しかいない。


 「そうそう。昨日、神の権能使った?」


 『あんなこと言われたら使うわけないじゃないですか』


 「だよね。もし使ってたら、今頃、力が暴走して、カイは大罪を起こしてたよ。」


 昨日の寒気の正体はこれか....


 「じゃあ、昨日説明しなかったことを説明するね。


  まず、俺たちの一つの使命。

  それは、様々な生き物に化けて、問題がないか確認する。


  あとは、ダンジョンの管理。これについてはやってみた方がいいね。」


 昨日から僕も気になっていたんだよ。

 だってダンジョンだよ。あのダンジョン。


 「これをもって。」


 なんだろう。これ。球体なのに、中が透き通ってる。


 『これは?』


 「これは、ダンジョンを管理するための道具。」


 『名前は何ですか。』


 中二病的な名前かな。わくわくする。


 「初代が名前を考えたらしいんだけど、みんな長命種だから。

  忘れられたんだって。」


 それ、初代が可哀そうなのでは。


 「まぁこれを触ってみて。」


 ____僕は触る。

 突如、目の前に何かが表示される。


 『えっ』


 これって、スクリーンみたいな感じじゃん。


 「その『ダンジョンを作成』のボタンを押して」


 押してみると、何層にしますか。と書かれている。


 「まぁ、最初だし、10層にしておこうか。

  次に1層の魔物にスライム・ゴブリン・コボルトを追加して見て。」


 僕は言われたとおり、追加した。


 「後は、ちゃんとバランスを考えて、他の層にも魔物を追加。

  後、宝箱の中身や罠を設置して、

  『ダンジョン作成完了』を押せばいい。」


 これって、完全にゲームじゃん。(2回目w)


 「たまに、魔物を変えたり、変異種を入れればいいよ。

  人間に攻略されたら、新たなダンジョンを造り、

  人間の世界の経済を回す。これも使命。

  今日は、これに慣れてくれればいいかな。

  明日も他のことについて説明するからほどほどにね。」

 

 『あのこれって神の権能ですか。』 


 「うん。そうだよ。まぁ神の権能が与えられている俺たちしか使えない。

  だから、盗まれても大丈夫だよ。

  それじゃあ、頑張ってね。僕も使命をやらないといけないから。」


 『説明ありがとうございます。』


 シンは自分の部屋に戻っていった。


 よし、それじゃあやってみるか。

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