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フェンリルたちの奮闘記~昼の象徴~  作者: 一匹鴉
1章 初めての狼生活
6/9

第三話 人生ではなく狼生です

 ____あれ、ここは?確かさっきまで天使と話していたっけ。

 なんだろうこの空間は。僕の体が浮かんでる。

 いや、体なんてない。


 「初めまして。」


 「誰?」


 「僕は、君が転生する世界について話しに来た。

  具体的には、君の転生後にある大事な責任と役目について。」


 「えっ?役目?どういうことですか?」


 「君の転生先はフェンリルだ。」


 フェンリル?人間じゃないの?

 というかフェンリルなだけでなんでこうなってるの?

 人生...じゃなくて狼生おおかみせいか。

 そう呼んでいいか分からないけど...


 「天使が言ってなかったのかな。

  天使ができるのは、あくまでどの星に転生するか絞るだけ。

  確実に人間に転生できるとは限らないよ。

  後、この世界のフェンリルはたった一匹しかいない。

  しかも特別な存在だ。後、転生先が決まったらもう、戻れないよ。」


 マジですか。色々と忙しそうなことがありそう。


 「特別な存在って?」


 「まぁ、君が対話した天使と同格の存在。神の次に偉い。

  だから、神の権能が与えられる。そして、それを扱う責任がやってくる。

  これが僕が君に言いたかった責任についてだ。」


 「言いたいことは分かったんですけど、肝心なあなたは誰ですか?」


 「あぁ、言ってなかったか。僕のことは『師匠』と呼んでほしい。

  後、僕は7代目フェンリルだよ。」


 「7代目?」


 代って、何だろう。


 「フェンリルは、精神生命体。

  魂が存在し、それに体が体現される。物理無効だよ。

  その代わり精神攻撃が弱点になるけれど。

  そして、フェンリルは初代から始まり、君で8代目だ。」


 「なるほど。」


 物理無効。チートともいえるけどその反面悪いことがあるのか。

 気を付けないと。

 

 「後、役目だけど君はこの世界を管理する立場になる。

  だから、【この星を管理して、この星を守る。】

  これが君の使命。」


 「分かりました。」


 「ちなみに、僕は君と入れ替わるから、起きたら彼らに頼んでよ。」


 「入れ替わる?彼ら?」


 「僕は君の魂と入れ替わるから、事実上僕という精神こと魂は死ぬ。

  けどこれが僕たちフェンリルの宿命なんだ。

  後、彼らってのは、君と同じ立場の2人。

  君を助けてくれたり、相談ができる唯一無二の大切な仲間だ。

  仲良くしてよ。自己紹介も忘れないで。

  後、名前については彼らから直接聞いて。」


 「分かりました。使命って具体的に何ですか?」


 「えっと...ダンジョンを造ったり壊したり、

  魔物を増やしたり精霊たちと会話したり、

  造ったり壊したりと、様々な権能が与えられて、

  僕らはそれを使ってこの星を管理する。」


 使命って、意外と多くない?めっちゃ忙しいじゃん。


 「後、魔神....これはいいや。」


 んっ?魔神?なんて物騒な。


 「あの魔神って...」


 「それについては彼らに聞いて。」


 「まぁ、託したよ。この星とこの星の生き物たちを。」


 「分かりました。頑張ってみます。」


 「あっ、そうそう。君の今世の名前を言ってなかった。」


 僕の今世の名前?何だろう。


 「君の名前は...う~ん。カイ。うん君の名前はカイだ。」


 僕の名前はカイ。何だろう。しっくりくる。


 「君が死ぬときには、最後の使命として次の子に

  名前をつけるから考えておいてね。」


 「そろそろ時間だね。この星をこの星の生き物を守っていってくれ。

  頑張ってね。さようなら。」


 「短い間ありがとうございました!」

_____________________________________

 僕は、どうやら次の人生、じゃなくて狼生おおかみせいを生きていくらしい。

 前世でも今世でも忙しくなるらしい。前世は散々だったんだ。

 天使様も、見ていて楽しめるようなものを見たいっていってたし。

 今世こそ、生を楽しもう。さぁ、第二の命、頑張りますか。

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