第三話 フェンリルへの転生
この作品に興味を持っていただきありがとうございます。
序章『3つの伝説』を読むことで、本編への理解がより一層深まると思います。
楽しんで読んでいただけたら幸いです。
次が最後の伝説だ。
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三つ目の伝説は、この世界最古の神の眷属のフェンリルについてだ。
今回は彼と呼ぼう。
スコル、ハティは元々はレッサーウルフだった。
しかし彼は、狼とは全く関係ないホワイトドラゴンだった。
この彼がホワイトドラゴンとして生きていた時代には
多種多様な植物が生息していたが、動物はドラゴンしかいなかった。
ドラゴンたちは大陸を分け、種族別に暮らしていた。
そんなある日、
この星の空が赤く染まり大陸の中央のはるか上に大きな穴が現れた。
最初のうちは何事もなくドラゴンたちは警戒するだけだった。
それが何週間も続き、ドラゴンたちは気にしないものがほとんどになっていた。
そんな時だった、異空間に繋がっているであろう大きな空間がさらに大きくなり
何億、何十億もの生物がその穴から出てきた。
ドラゴンたちは目を大きく開き驚いた。
この世界には属性という概念があり、
ドラゴンたちもそれぞれの属性を持っていた。
属性には、火・水・風・土・光・闇の6種類が主な属性である。
これらの属性をまとめて主属性という。
ドラゴンたちもこの6つの属性で、種族を決めていた。
ただ、10億分の1のという低確率で、
聖属性または魔属性をもつ生き物がいる。
ただ、今を生きている彼らの中に
聖属性や魔属性をもったドラゴンは1匹もいなかった。
けれど、異空間から出てきた生物たちは全員魔属性を持っていた。
その中のリーダーらしき生物が言った。
「私は魔神。今からこの星は私が支配する。」
その瞬間、空の上から天使たちが現れた。
天使たちも言った。
「あなた方は、違う世界の生物のはずだ。よそ者は帰ってもらおうか。」
ドラゴンたちはこの短い会話で理解した。
魔神というものは自分たちの生活を奪おうとしていると。
彼らは、この世界を守ってきた天使たちと協力した。
魔神たちの魔属性の力と天使たちの聖属性の力。
そしてドラゴンたちの各属性の単純なる力。
この3つの力がぶつかり合いこの世界は半壊した。
山は崩れ、木々は倒れ、海は割れ、星から光が消え、
この世界は壊滅状態だ。
植物などの生物がどんどん死んでいき、ドラゴンたちも死んでいった。
しかし、魔神たちはほとんど影響がなかった。
どんどん魔神たちが優勢になっていく。
天使たちも全力で戦った。
命をなくしてでも、この星を守ろうとした。
しかし、天使たちは全滅。ドラゴンたちもほとんどが死んでいった。
生き残ったのは、ホワイトドラゴンだけだった。
ホワイトドラゴンたちは何回も何回も立ち上がり、戦っていった。
彼も戦った。
しかし、どんどん数が減っていく。
彼にも限界が来て、ついに倒れた。
彼は走馬灯を見た。
彼のおじいちゃんの夢だった。
「お前に教えておくことがある。
これは、先祖代々言い伝えてられている秘儀についてだ。
これは、古の儀といい、この世界を再構築する儀式だ。
ただ、これを使うと、使用者は死ぬ。
いや、この世界に生きている生き物はすべて死ぬ。
その代わり、世界がもとに戻り、災いはこの世界から消滅する。
できれば、使う機会など、ない方がいいけれどな。
お前に子どもができれば伝えていくのだ。そのやり方は・・・・・ 」
これは死ぬ前のじいちゃんの話だ。
今が、やるべき時じゃないのか。
やるべきだ。
「無の精霊よ。我が命を使い、我が望みを叶え頼む。」
「再構築」
彼...いや、この世界に生きていた生物がすべて死んだ。
魔神たちもだ。
この戦いは後に、「第一次聖魔大戦」と呼ばれるようになった。
彼の魂は滅び世界は粉々に砕けちり、塊となり再構築された。
世界は消え、戻り、新に書き換えられた。
彼の魂は滅びるはずだった。
彼は目覚めた。
そこには、見覚えのある景色。
彼が暮らしていたはずの世界の景色。
彼は「なぜ僕が生きているのか、ここはどこなのか。」と困惑した。
突如、脳内に声が響く
「あなたは、神の眷属となり、この星をこの世界を守ることができますか?」
神。
それはこの世界を管理している存在だ。
彼以外に生物がいない中、断る理由がない。
彼は言った。
「仰せのままに」
この契約により彼は昼を司る狼 初代フェンリルへと転生した。
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どうだっただろうか。これが3つの伝説だ。
この世界は3匹の狼によって回っている。
彼らは、初代、2代目、3代目...と彼らたちの使命を果たしていった。
これは8代目フェンリルに転生したものと
その仲間たちが歩んだ道のりを記した物語である。
彼らはどのように使命を全うし、どのように生きていたのか。
そんな物語が今始まる。
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