第一話 スコルの誕生
この作品に興味を持っていただきありがとうございます。
序章『3つの伝説』を読むことで、本編への理解がより一層深まると思います。
楽しんで読んでいただけたら幸いです。
この世界はあなたが生きている世界とはまったく別の世界。
いわゆる異世界だ。この世界にはもちろん神もいる。
ただ、この世界には「3つの伝説」という何千年も語られている伝説がある。
だいたいは、神を想像するだろう。だが、この世界は違う。
いや、そうでもあるがそうでもない。
伝説として語られているのは、
スコル、ハティ、フェンリルという3匹の狼たちだ。
この世界の生き物にとっては神同然の存在だ。
ここではその「3つの伝説」を語ろうと思う。
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一つ目は、スコルについてだ。スコルは朝を司る狼。
大きさはクマよりも一回りも二回り...いや、それ以上大きい。
これは、スコルになる前のお話だ。
元々はただの狼。
レッサーウルフという魔物だ。
スコル・・・・まだスコルじゃないな。ここでは、彼と呼ぼう。
彼はこの星で一番高く太陽に最も近いとされる山の頂上で
仲間たちと暮らしていた。
山の頂上で暮らせる生き物は数少なかった。
ただ、そのおかげで彼らレッサーウルフは、食物連鎖の頂点に降臨し続けた。
天敵となる生き物もいなかったので、彼らは平和に暮らしていた。
そんなある日、突然変異型の巨大なクマがこの山の麓に住み始めた。
このクマはありとあらゆる生き物を食べ、どんなに食べても、
腹が満たされることがないという。
山の麓の出来事だったので彼らは
自分たちには関係ないと、警戒していなかった。
ただ、クマであってもただのクマではない。突然変異のクマなのだ。
一か月もたたない間にクマは山の麓の生き物たちを食い尽くした。
それでも腹が満たされず、山の中腹の生き物を食べていき、
ついには頂上のあたりまでに進出してきた。
そして、頂上の生き物も食い尽くしていった。
生態系が崩壊した。
そのせいで、彼らの仲間も空腹で死んでしまったり、
クマに食べられてしまうものも現れてきた。
彼らの獲物も次第に減ってきた。
彼らは仲間が死んでいく現状に満足出来なかった。
当たり前だ。
彼らは何日も何日もクマを探し歩き回った。
ついに、あのクマと遭遇した。彼らは不意をつこうが何だろうが関係ない。
クマ目掛けて、走り攻撃していった。
クマは驚き、少し固まったが、そんなクマも黙っているわけがない。
突っ込んでくる彼らを大きな腕で飛ばしていった。
彼らはレッサーウルフだ。クマよりも圧倒的に小さい。
クマの腕に軽々と飛ばされた。
そこからは持久戦となった。
数では勝っている彼らと、山全体の生き物を食い尽くしたクマ。
どちらも全力を尽くした。
彼らの仲間は一匹一匹と死んでいき、クマも深い傷が何個もできた。
それが何時間も続いた。何度も何度も立ち上がり突っ込んでいく
彼らを前にクマは音をあげ、倒れた。
彼らは勝ったのだ。あのクマに。仲間を殺したあのクマに。
彼ら狼よりも圧倒的に大きなあのクマに。
彼らの遠吠えが山全体に響いた。
そんな喜びの感情に浸る束の間、
目の前の木々から倒したはずのクマたちが現れた。
何匹も何匹も。彼らは絶望した。
多くの犠牲を出して倒したクマが何匹もいるのだ。
彼らは、絶望に呑まれた。
そこからだろうか。クマたちの虐殺が始まった。
一匹は頭を潰され、一匹は背中を割かれ、
何匹も何匹も死んでいった。
彼らは懸命に攻撃しようと突っ込むがクマの腕に飛ばされ、
どんどん倒れていく。
幸か不幸か。彼だけがまだ立っていた。しかし、数の利も奪われた。
彼も飛んでいき木に頭をぶつけ気絶した。
そんな彼を殺そうとクマたちは歩き出す。
突然、彼の体が光始めた。
彼は気絶する瞬間に願ったのだ。仲間たちと過ごしたこの山を。
この思い出を忘れたくはないと。
神の気まぐれか。
彼はクマたち...いや、それ以上に大きくなり立ち上がった。
彼は驚いた。体全体に力が湧き、絶望から希望へと心が変わった。
その瞬間、彼から覇気が溢れ出た。ただの生き物が耐えれるものではない。
覇気に触れたものはたちまち塵と化した。そして生き残ったはずのクマたちは
絶望に呑まれてしまった。
彼は、彼の仲間とこの山を奪ったクマたちを倒していった。
一匹、一匹とクマたちが倒れ、ついには全滅した。
湧き出た力を使い切った。そんな、彼も地面に倒れた。
息遣いが荒い。限界以上に動いた反動が彼を襲う。
太陽が山を照らした。
夜が明け、太陽が昇ってきた朝。
その太陽の下で、朝を司る狼 初代スコルが誕生した。
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これが一つ目の伝説、「スコルの誕生」だ。
初めまして。一匹鴉です。
この作品を読んでいただきありがとうございます。
感謝しかないです。
僕のデビュー作は「フェンリルたちの奮闘記」とさせていただきます。
初めて投稿するのが本編とは関係ない序章『3つの伝説』となっていて
序章はあと2話と合計3話となっています。
序章の投稿が終わりしだい、本編に入らさせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
最後に、
SNS・動画サイト等のアカウント「一匹鴉」様と僕は一切関係ありません。
ご了承ください。
では、また会える日を楽しみにしています。
一匹鴉