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「お姉さん、これから何処か遊び行くの?」


「それ、お兄さん達に関係あります?」


 予想通り、川口さんがナンパされている。川口さん程の美人だと本当に漫画みたいな事が起こるようだ。男二人が話しかけているみたいだ。川口さんは迷惑そうに携帯をイジっている。僕は決意をして川口さんに話しかける。


「ご、ごめん、ま、待たせちゃったかな」


 緊張しすぎてどもってしまうのは許してほしい。ラブコメ漫画の主人公のようなセリフを吐いてみたが、当然僕の顔を見て男二人は怪訝そうな顔をする。それとは対照的に川口さんはぱあっと笑顔になっている。


「全然、行こっ」


 川口さんは僕の手を握り男の輪から離れようとする。すると男二人が僕の前に立ち、睨んできた。どうやらそのまま行かせてくれそうにはないみたいだ。どうしよう。


「お前が彼氏?」


「なんかダセえな」


 そりゃあ、ダサいでしょうよ。陰キャだものと思いながら川口さんを僕の後ろにやり対峙する。正直相手二人いるし万が一、喧嘩にでもなったら確実に負けるがどうするか。仕方ない。巧みな交渉術を使うしか無いな。


「え〜、すみません。僕は彼氏って訳じゃないんです」


「は?じゃあ、その娘、俺達と遊んでもいいよな?」


 仕方ない、僕のとっておきの嘘でこの場を切り抜けるしかない。僕は大きく息を吸い込んで言い返す。


「でも良いんですか。彼女の本当の彼氏は怖いですよ」


「……、どういうことだよ」


「正直な所、彼氏さん結構なヤンキー、……というかその道の人らしくて……」


「そ、そんなの嘘っぱちだろ……」


 明らかに疑われてはいるが動揺はしている。まあ、この場を凌ぐための嘘と思われるのは仕方ない。ここはもう一押し。


「まあ、でも怖い人っていうのは確かみたいで。ほら、クラスの美人がヤンキーと付き合うみたいなのはお二人にも経験あるでしょう」


「まあ、確かに」


 僕に言われて納得しているのかう〜んと悩み出した。頭があんまり良くなさそうで助かる。二人が悩みだしたので僕は川口さんの手を取って、「では」とそそくさとその場を去った。まあ二人もそこまで乱暴な事をするタイプではないのか「おい!!」と叫んではいたが、追っては来なかった。僕達は駅から離れた場所まで逃げてきた。そのおかげで二人は見えなくなった為、立ち止まりふ〜と息を吐く。


「ふ〜、助かった」


「誰が、ヤンキーの彼氏がいるよ!!」


 川口さんは脳天チョップを繰り出してきた。いつも越谷さんのを見ているからか中々上手い。いや、間違えた痛い。そろそろ脳天凹んでこないかと頭をさする。


「い、いや、僕が彼氏役をやったって絶対納得しないって!!」


「た、頼りな〜。でも助けてくれてありがと……」


 川口さんは顔を赤くしてお礼を言ってきた。僕はどういたしましてと言って並んで目的地まで歩き出した。駅から十五分程だろうか歩いた先にあった。そこはかなり大きなビルで会社、ショッピングお店、アトラクションがある施設などがある複合施設だ。


「で行きたい所って何処なの?」


 正直沢山お店があるので居ようと思えば何日で遊べる様な場所だ。何処に行きたいか何故か教えてくれなかったのですごい気になる。


「フッフッフッ」


 川口さんは何故か不敵な笑みを浮かべている。僕は首を傾げながら笑っている川口さんを見ている。何か楽しそうだけどどうしたんだ。


「本日は春日部君にご招待したい所なんですけど」


「はい」


「お化け屋敷のテーマパークに行きたいと思います!!」

もしよろしければブクマや☆、いいね、感想いただけると幸いです

シャドバでひたすらネメシスにやられています

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