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 その後、授業は進み、魔の昼休みの時間となってしまった。僕と越谷さんは机に突っ伏して死の宣告を待っているのだった。


「二人して何してるの?」


 昼休みが始まって一、二分経っていたのか、僕が前を向くと川口さんが立っていた。ここの所、一緒に食事しているからいつも通りにやってきたのだろう。


「あっ、そういえば言うの忘れてた。今日入間さんと話があるんだ」


「そうなの?私って邪魔かな?」


 邪魔という訳ではないだろうが入間さんにとって聞かせてもいい話かは分からない。僕は何と返事をすればいいかう〜んと考える。するとクラスの扉の方から入間さんもやって来た。やっほ〜と手を振りながらこちらへ向かってくる。声が聞こえたからか越谷さんがビクッと震えた。


「あ、入間さん、今日の話し合いって私いたら邪魔かな?」


 事情を知らない川口さんが入間さんに提案する。越谷さんの方を見ると本気かと言いたげな表情をしている。


「全然良いよ〜。ただここじゃちょっと話せないから食堂でも行かない?」


「私は大丈夫!!二人も平気?」


 川口さんはニッコリこちらへ微笑んで確認を取る。僕達は「全然問題ないです!!」と元気よく返事をして承諾する。という訳で僕達四人は弁当を持って食堂へと移動することになった。


 そして学校の食堂へやって来た。食堂は新しく綺麗なのは良いのだけど、いかんせんあまり広くない。そのため席が少ないのでお昼にはあまり席が空いていない。僕達はキョロキョロと席が空いていないか探す。


「あ、外のテーブルは空いてるね」


 入間さんが指を指す。その方向を見ると確かに食堂を出て外のテーブルで使われていないものがあった。ここの所、暑くなってきた為余ってしまったのだろう。しかし冷房が効いた中は空いていないので仕方なくそこを使うこととなった。


「よし、じゃあまずは先に食べよっか」


 四人席のテーブルで何処を座るかという話になったが入間さんの一声で僕と越谷さんが隣、向かい合わせに入間さんと川口さんという形になった。川口さんは何でと聞いたが良いから良いからと説得していた。その後、僕達は自分が持ってきた弁当やコンビニの袋などを取り出して食事の準備をする。


「おい、あそこのテーブル、なんか可愛い子多くね?」


「一人だけいる男はなんなんだ?」


 周りの人たちからコチラを見てコソコソと話しているのが聞こえた。いかん、今までは教室で食べていたからクラスメイトからしか見られていなかったが食堂の前なので色々な人からの視線が。学園でもトップの人気を誇る川口さん、ギャル風で一見怖そうだが美人な越谷さん、入間さんだってこの二人程の知名度はないだろうがかなりの美人。そして冴えない僕。

 僕が格好良ければ違和感無いのだろうが、傍から見たら不思議な集団に写っているのだろう奇異な目で見られている気がする。


「それで入間さんの話ってなんなの?」


 そんな事はお構い無しに川口さんがぶっこむ。まあ色々な人に見られる経験など慣れているのだろう。


「いや〜、何かこの二人と晃……、あ、本庄の下の名前ね。と坂戸さんでダブルデートしたらしくて〜」


 僕と越谷さんは二人でブッーと吹き出す。いきなり結構言いはりますねえ!!


「……へ〜、それはそれは楽しかった?」


 ニッコリと微笑みながら僕達二人を見る川口さんの背後に般若のオーラが漂っていた。という訳で楽しい楽しい食事会が始まってしまった。

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