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 大人しくしていろと言われたので持っていた小説を読みながら大人しく待つ。すると台所の方から美味しそうなハンバーグの香りがこちらまで漂ってきた。それから数分後、料理が終わったのか越谷さんがこちらまで来た。


「ご飯、出来たからこっち来て」


「し、失礼しま〜す」


 僕はおずおずと台所まで向かう。ご飯、ハンバーグ、サラダなどが盛りつけされている。僕と越谷さんで料理をテーブルに運ぶ。何というかこの光景、ぱっと見ると家族に見えるのではないだろうか。まあこんな事を越谷さんに言ったら脳天チョップを喰らいかねないので言わない。


「美味しそうだね」


「フフッ、早く食べよ」


 綺麗に並べられた料理を見て素直に感嘆する。僕達はテーブルの向かい合わせに座り、いただきますと手を合わせて食べ始める。


「このハンバーグ、とても美味しいよ」


「どうも」


 料理の感想に対してそっけない返事だがそっぽを向いて顔を赤くしているので照れているのだろう。結構一緒にいる時間が長いので何となく分かってきた。その後、二人で話しながら食事をしていたがふと気になる事がある。


「そういえば、ご両親ってまだ帰ってこないの?」


「ご両親ってまた堅苦しい言い方するよね……。パパは出張しててママも遅くまで帰らないよ」


 僕はなるほどと呟きご飯を食べ進める。すると越谷さんも気になる事があるのか僕に質問してくる。


「そういえば、坂戸さんの事どうするのよ」


 まあ、いつかは聞かれるとは思っていたけどやはり追求されますよね。僕はう〜んと唸り声をあげる。


「本庄と上手く行ったらどうするのよ」


「いや、本庄君はそこまで坂戸さんの事好きじゃないみたいだし……」


「ああ、そうなの?」


 そう言いながらも怒っているのかサラダをもしゃもしゃ食べながら嫌そうな顔をしている。


「それに坂戸さんがどんな人であれ本庄君の事を好きなのは嘘じゃないと思う。それを僕が邪魔する権利もないよ」


「そりゃそうだけどさ……」


 僕がそう言うと二人は言葉を交わさなくなった。二人が食べ終わると一緒に台所の流しに皿などを置いた。


「食器洗おうか?」


「食洗機あるから平気」


 食べ終わって食器も片付けたので僕はいよいよ帰りの支度を始める。越谷さんはその様子を何か言いたそうな顔で僕を見つめていてた。


「越谷さん、どうしたの?」


「別に〜……」


 越谷さんはプイッと横を向いてしまった。また僕が怒らせるようなこと言ったのだろうかと頭の中で考えるが全く浮かばない。僕は鞄を持って


「それじゃあ、越谷さん料理ありがとう。美味しかったよ」


「また……、家に来てね……」


 越谷さんは消え入りそうな声で顔を真っ赤にしている。「また来るよ」と良い玄関の扉を開いた。外は雨が止んでおり傘をさす必要はなさそうだ。駅の方まで歩き始めてふと気になり、越谷さんの家の方に振り返ると越谷さんが手を振っていた。

 僕も恥ずかしいなと感じながら手を振り返す。数秒手を振っていたが越谷さんが家に入る様子がないので僕から手を振るのを止めて歩き始めた。


「そういえば女子の家にお呼ばれしてしまった」


 知らずのうちにテンションが上がっていたのかその事実に今更気付いて恥ずかしくなる。しかも、実質的な告白までされてしまった。正直、今でも僕にそんな資格は無いと思っている。

 だが、これから色々な事を考えていかなければならないと感じた。そんな事を考えながら歩いているとスマホから通知音が鳴る。ポケットからスマホを取り出し画面を見ると入間さんからのメッセージが届いていた。アプリを立ち上げてメッセージをよく見る。


『晃がA組の坂戸さんと一緒に歩いているんだけど何か知ってる?』

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