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あの~、すみません。陰キャを修羅場に巻き込むの止めてもらえませんか?  作者:


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「それじゃあ始めるぞ〜」


 本庄くんが最初にボールを投げるようだ。構えは素人から見ても様になっている。坂戸さんが頑張って〜と可愛い声で応援している。僕から見てもあざといので越谷さんを見ると呆れたように目を細めて見ていた。


「よっしゃ、いけっ」


 本庄君のボールはカーブがかかっているのか最初右側から投げられてから中央に吸い込まれるようにピンに当たり気づけば全てのピンが倒れていた。


「すごっ」


「キャ~、本庄君カッコいい!!」


「本庄、滅茶苦茶上手いからって勝負を……」


「いや、俺から勝負するって言ったわけじゃねえし、今回は奢りとかもないから」


 本庄君に聞くと普段友達と行くときは負けた人がみんなのジュースを奢るというルールがあるらしい。それでも本庄君は一度も奢った事がないという。流石本庄君、センスがあるようだ。何で運動部入らないんだろうと疑問に思った。もしかして僕みたいに理由があるのだろうか。


「じゃあ、次、春日部ね。アンタもストライク取ってきてよね」


「春日部君も頑張れ〜」


 越谷さんには無茶振りを言われるし坂戸さんは興味なさそうにスマホを見ている。ハアとため息をつきながらボールを持って位置につく。久しぶりでどんなもんかとボールを投げる。するとボールは最初真ん中目掛けて転がっていたのだが除々に左側に寄って端の三ピンだけ倒れた。


「本庄君、何かコツとかある?」


 本庄君が得意なようなので素直にアドバイスが無いか尋ねる。


「う〜ん、左側に寄るんだったら立ち位置を右にすると軌道が同じなら真ん中に行くぞ」


「なるほど」


 僕はそのアドバイスにしたがい、先程より右側に立ちボールを投げる。すると立ち位置を変えたおかげかボールは真ん中のピンに当たり残りのピンを全部倒してスペアを取ることが出来た。


「春日部、やったな」


 席に戻ろうとすると、笑顔の本庄君が右手を上げていた。僕は何だと思って立ち呆ける。


「ハイタッチだよ。ハイタッチ」


「あ、ああ、なるほど」


 陽キャはボウリングで良い感じになるとハイタッチするのかあと考えながら本庄君とハイタッチをした。そうして自分の席に戻ると越谷さんも小さく手を上げていたので優しくハイタッチをした。


「よ〜し、私の番だねっ。うわっ、このボールおも〜い」


 坂戸さんは立ち上がり比較的軽いボールを持ちながら本庄君を見てか弱いアピールをして立ち位置まで歩く。


「本庄君、投げ方分からないから教えて〜」


 坂戸さんは本庄君を呼んでマンツーマンで教えてもらっている。その様子を見た越谷さんは細い目で見つめていた。チベットスナギツネみたいな目をしている……。坂戸さんは本庄君にアドバイスを受けて二回投げて六ピン倒した。その後、越谷さんの出番が来た。


「越谷さん頑張って」


「任せて」


 心強い一言の後、ボールを持って「おもっ!!」とボールをラックに戻した。そういえば、越谷さんはフリじゃない虚弱だったの忘れてた。僕は慌てて軽いボールを運んだ。越谷さんの顔を見ると先程の坂戸さんと同じ事を言ったのが恥ずかしいのか顔を赤くしている。


「越谷さん……」


 越谷さんは軽いボールに持ち替えて立ち位置に行きボールを転がした。投げたの間違いじゃないかと思うかもしれないが間違いではない。力が弱いのか本当にコロコロ転がっているだけだ。だが奇跡的(?)に真ん中のピンまで転がったが力が弱すぎるのか三ピンしか倒れなかった。


「春日部、教えて〜」


 結局やっていること、坂戸さんと変わらなかった。あと、何で僕に聞くんですかね。

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