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こうして四人で遊ぶことになった。みんなには先に行っててもらい僕は教員室で傘を借りてから追いかけようと急いで下駄箱に向かっていると一人で下駄箱に寄りかかっている越谷さんがいた。
「あれ、みんなと行ったんじゃないの?」
「アンタが一人だと迷子になると思って」
「いくらなんでも、何処に行くか教えてもらえれば迷子になら……」
「うるさい、行くよ」
強引に話を切った越谷さんは靴を履いてさっさと外へ出てしまうので僕も慌てて付いていく。外は相変わらず雨が降っていた。
「でも越谷さん、何処行くか分かってるの?」
「本庄から近くのボウリング場行くって言われてる」
なるほど、ボウリングか。随分行ってないからうまく出来るか心配だがまあ、そんなガチでやらないだろうし大丈夫か。傘をさしながら並んで歩く。
「それにしてもさ」
「うん?」
僕はある事が気になったので尋ねることにした。
「坂戸さんと本庄君、二人で行かせて良かったの?」
「あっ……」
越谷さんは失念していたのか頭を抱えている。そのせいで傘が傾いて少し濡れたようだ。濡れてるよと伝えると越谷さんは慌てて傘を元の位置に直した。
「やっちゃった……」
「まあ、本庄君、前に坂戸さんの事苦手って言ってたし平気だと思うけどね」
「それはそれでお互い可哀想じゃない……」
その後はお互い笑い話をしながら歩いた。十分程歩いたところにボウリング場があったので入るとまあまま広いボウリング場だった。受付で待ち合わせということを伝えて中に入ると本庄君と坂戸さんがレーン前の椅子に座っていた。
「お、来たな。こっちこっち」
本庄君は笑顔で手を振りこちらへ来るよう呼びかけている。横の坂戸さんを見ると、もっと二人きりでいさせろとこちらを嫌そうな顔で見ている。僕達はそれを見ていないふりをして本庄君に手を降って合流した。
「いや、助かった。俺等二人だと何話せばいいか分からなくて」
合流した途端、僕に耳打ちしてきた。いや、僕達二人はもっと口下手なので戦力にはならないと思うんですけど大丈夫そうですか?
「春日部君と越谷さんもよろしくね〜」
「う、うん、よろしく」
坂戸さんは僕達の気を知ってか知らずかは分からないが満面の微笑みを見せてくれました。さっきの嫌そうな顔忘れてませんからね。
肝心のボウリングなのだがどうやら二レーンを借りているようでようでスコアが表示される画面では何故か片側が本庄くん、坂戸さんの名前、もう片側には僕と越谷さんの名前が表示されていた。
「ああ、チーム分けだけど男女が二人ずつだから上手く分けるようにしたんだって」
「なるほど……」
なるほど、そういう名分で坂戸さんは上手く本庄君と一緒のチームになったということか。同じチームになって距離を縮めようという作戦なのだろう。
「ふん、こっちが勝つから」
越谷さんはその事を分かっていないのか滅茶苦茶やる気みたいだ。スコアで勝とうが負けようがこちらは当て馬みたいなものなのに。
「ふふん、絶対負けないよ〜、ね〜、本庄君?」
「あ、ああ。ただ春日部は運動神経いいからな。強敵だ」
本庄君も勝手に僕を強敵扱いするのやめましょう。僕達はシューズ、ボールなどをせっせと用意する。僕は積極的に重いボールなどを運ぶ事になったのでボール置き場に言ったところで何故か坂戸さんも付いてきた。
「春日部君」
「あれ、どうしたの?」
「昼に言ったあれ、お願いね」
「具体的な指示は受けてないし……。それに僕の力なんてなくても上手くやっていると思うけど……」
「まあ、そうだけど。よろしく!!」
坂戸さんは僕の背中を軽くぽんと押し、僕の返事を聞くより先に本庄君の元へと駆け寄っていた。
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この先どうしようと悩みながら書いてます。