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新入生合宿から数日後、当然僕も普通に登校していて入間さんも今日から無事登校できるようになったとのことだ。
「はあ、また雨かあ」
六月中旬ということもあり雨が多い。しかもタイミングが悪いことに三限目辺りから降り始めたので傘を持ってくるのを忘れてしまった。天気予報見るの忘れてたなあと思いため息を付く。
「雨だとなんかあるの?」
隣の席の越谷さんから声をかけられる。ため息をついている僕を心配してくれたのだろうか。
「いや、傘を持ってくるのを忘れちゃったからどうしようと思ってさ」
「ふ、ふ〜ん」
何故か越谷さんがモジモジし始めた。トイレかと思ったので「休み時間終わる前にトイレ行ったほうがいいよ」と言ったら脳天チョップを喰らいました。
「そ、それじゃあさ」
「うん」
「わ、私、傘持ってきてるし、それに入ってけばいいんじゃない?」
「いや、それは越谷さんに悪いし教員室で借りられないか聞いてくるよ」
越谷さんに迷惑をかけられないと思い提案したら二度目のチョップを喰らいました。一度目はデリカシー無いから分かるけど今回は何で!?
「まあ、アンタはそういう奴よ」
「そういう奴ってどういう奴なんだろう……」
またため息をつくと越谷さんに鬼のような顔で睨まれたのでごめんなさいと平謝りをする。
「まあ、でも梅雨って何か気分落ち込むよね」
「まあ、でもで話飛ばされたのムカつくんだけど……、まあいいや、そりゃ雨ばっかりだと気分乗らないんじゃない?」
「何かこういう時にトラブルって降ってくる気がするんだよね」
「またマイナス思考ね。気にし過ぎなんじゃない?」
この時、何気なしに呟いたこの悪い予感はすぐに当たっている事に気づくことになる。それは昼休みに起きた。
そもそもの話でクラスカーストという言葉がある。学校のクラス内に置いて生徒間の序列が階層化しているというものだ。当然僕のような陰キャはクラスカーストは下の方にランクされ本条くんのようなクラスの中心人物は上のランクになるというものだ。
僕がいる1ーAでもクラスカーストがある。男子は先程も言ったように本庄君、小川君などの中心人物がクラスのトップカーストだ。ただ、その本庄君がクラスの誰にでも優しいので男子間は割と平和に過ごせている。
ただ女子間は違うらしい。女子のトップカーストは坂戸楓という女子で『女帝』と僕が勝手に呼んでいる。何故そう呼んでいるかというと他の女子をジュースを買いに行かせたり、宿題を勝手に写したりなど足蹴にしているのだという。
僕がそんな情報を知ったのは本庄君と小川君と話ししているときに知ったためだ。そして同級生を足蹴にする、そんな彼女を本庄君はあまり好んではいないらしい。何故こんな説明をしたかというと昼休みにその坂戸さんから話しかけられたからにほかならない。
「春日部く〜ん、ちょっといいかな?」
昼休み、トイレから教室に戻る時に声がした。別の春日部君がいるのかと思い僕はそのまま教室に戻ろうとしたらガッと肩を掴まれた。僕はピョーと鳴き声を上げて飛び上がる。なんだなんだと思い、振り返るとそこには僕の様子を見て怪訝そうな顔をした『女帝』坂戸さんが立っていた。
「さ、坂戸さん、なにか用かな?」
僕は恐る恐る尋ねる。クラスの頂点である彼女とトラブルを起こしたくないためだ。
「う〜ん、ちょっとここだと話しづらいから〜、こっち来て!!」
そういうと彼女は僕の腕を掴んで階段横のデッドスペースまで引きずりだされた。マジで何なんですかね……。
「ごめんね〜」
手を合わせて謝ってはいるが反省しているようには見えない。ところで要件はなんだろう。
「それで話っていうのは?」
「う〜ん、聞き辛いなんだけど〜」
モジモジしながら中々続きを話さないのでちょっとイラッとするが我慢して次の言葉を待つ。
「本庄君って〜」
「本庄君?」
「本庄君って彼女とかいるのかな?」
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またどんどん書いていければと思います。




