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 「……え、ここ……」


 「あっ、入間さん!!良かったぁ」


 気を失っていた入間さんが起きて僕は素直に喜ぶ。あの後、多少下に落ちてしまったが崖など無かったのが幸いし僕は入間さんが落ちるのを何とか必死に止めることが出来た。ただ、入間さんが気を失っていたため、寝かせていた。


 「わ、私……、どうなって……」


 いきなりの出来事でパニックになってしまっているのだろう。辺りをキョロキョロ見回している。念のため、頭動かさない方がいいと彼女を宥める。


 「入間さん足を痛めて無理したからか倒れてそのまま斜面にちょっと落ちたんだよ」


 「そ、それって、私達大丈夫なの?」


 入間さんは顔を真っ青にして泣きそうになっている。まずい、正直に話し過ぎたか。


 「だ、大丈夫。さっき本庄君達に叫んで先生達に来てもらう事になっているから」


 入間さんが気絶している時に、僕は叫んで本庄君達に状況を伝えている。そんなに待たずにこちらに来てくれるだろう。


 「そ、それは、で、でも春日部君、ごめん……」


 「い、いや、僕は全然……」


 また入間さんはしょぼんと落ち込んでしまった。まあ状況が状況なだけに仕方がない。入間さんの体の事もあるし、斜面も急なので流石に僕一人で入間さんを支えて上に戻るのは厳しいし助けを待つしかない。


 「で、でも入間さんが無事で本当に良かったよ」


 「っ……、うう、うわあああん」


 僕が入間さんの無事を喜ぶと、何故か入間さんが泣き始めてしまった。僕はどうすればいいのか分からず手足をぶんぶんさせてまるで変な踊りをしてしまった。その後、泣きじゃくる入間さんを必死に慰めた。


 しばらくした後、入間さんが泣き止むと、二人は何もしゃべらず沈黙が流れる。き、気まずい……。僕は何て話題を振ればいいのか分からず頭を悩ます。


 「春日部君、助けてくれたんでしょ、本当にありがとう……」


 僕を頭を悩ませていると入間さんからお礼を言われた。僕は全然気にしないでと手をブンブンさせる。それを見て入間さんはふふっと笑ってくれた。良かった……ちょっと元気が出てきたみたいだ。


 「ふふっ、そういえば二人きりで話す機会ってあんまり無かったよね」


 「ああ、そうかも……」


入間さんとはクラスが違うし、入間さんと会う時は大体、越谷さんや本庄君がいるからこうして二人きりになる事が無い。まあ入間さんは女子だし僕がキョドるだけだ。


 「そういえば、瑠衣との仲は進展あったの~?」


 「い、いや~、僕はそんなそんな……」


 僕は慌ててへへっとこめかみをぽりぽりかく。


 「い、入間さんこそ本庄君とどうなの!?」


 慌てて話をそらそうと本庄君と入間さんの話に誘導する。すると入間さんは先ほどのような暗い顔になってしまった。え、もしかしてとんでもない地雷を踏んでしまったのだろうか。


 「い、いや~、何か晃、好きな子がいるみたいなんだよね」


 「えっ」


 何だ、その話は初耳だ。本庄君とそんな話をしないからかもしれないがそんな気配全く無かったぞ。それこそ女性の陰なんて入間さん以外全くないはずだ。


 「そ、それ本当なの?」


 「うん……具体的に誰かまでは分からないけど、そうらしい」


 この話、僕が聞いてしまっていいのだろうか。何だか罪悪感を感じながらもあまりにも気になる為、入間さんの話を唾を飲み込んで聞きこんでいる。


 「そ、その好きな人って入間さんなんてオチは……」


 「……ないよ。私の知らない人らしい」


 なるほど、入間さんの知らない人という事は当然僕が知るはずもないから、僕には分かりようがないという事か。


 そんな話をしていると先生達の大声が聞こえてきた。本庄君達が伝えて助けに来てくれたのだろう。僕も負けじと大声を出して助けを呼んだ。

お久しぶりです。

また時々書いていければとおもいます。

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