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 「そ、そうか」


 越谷さんの返答に本条君が苦笑いをしている。思ったよりも可愛い答えが返ってきて班の皆は反応に困っているようだ。


 「なるほど……、お嫁さんか、でも高校生活で出来る事はあるはずだよ」


 「えっ、春日部君?」


 僕の言葉を聞いて川口さんは困惑している。それどころか僕以外のメンバーも皆きょとんとしている。僕は気にせずそのまま続ける。


 「まず幸せの定義だけど、正直こればっかりは人によるとしか言いようがないけど。普遍的にお金というか生活が安定している事に越したことはないんじゃないかな」


 「……で?」


 何故か越谷さんがちょっと不機嫌になっている気がするが、僕って変な事言ってるかな?ただ、早く続きを言えという圧力があるので話を続ける。


 「高校生活で出来る事なんだけど、まあ一例としてあげるならやはり勉強頑張って良い大学に入るとかがあげられると思うんだよね。もし専業主婦になるにしても良い大学の旦那さんを見つけられれば稼ぎが良い会社に入りやすいだろうし」


 「お、お前……」


 本条君がコイツ、マジかといった感じで引いている。え、僕間違った事言ってないよねと思って班の皆を見ると僕がまるで化け物かのような視線で見られている。


 「えっ、僕、間違っているかな?」


 「ま、間違ってはいないと思うけど、越谷さんが言いたいのはちょっと違うんじゃないかなあ……」


 苦笑いをしている川口さんが優しく諭してくれている。え、高校生活での目標っていうテーマならそうなるかと思ったんだけど……。チラッと越谷さんを見ると聖母の様な笑みで僕を見ている。今までに見た事のない笑顔すぎて何故か逆に怖くなってきた。


 「こ、越谷さん、僕のはあくまで一意見だから」


 「ええ、分かっていますよ。春日部さん」


 怖い怖い怖い、今まで一度も春日部さんだなんて呼ばれた事がないし敬語なのも僕をより恐怖に陥れる。


 「春日部……」


 「本庄君……」


 「そういえば、お前、コミュニケーションが下手だっていう設定だったの忘れてたわ」


 いや、コミュニケーションが下手な設定ってなんやねん。心の中で思わずエセ関西弁でツッコミしちゃったよ。


 結局その後は各個人で目標を言い合って発表の為にまとめる事になった。みんなの協力のおかげもあって上手くまとめられた。ちなみにその後の班長による全体発表の様子はというと……。


 「いや~、春日部、カミカミだったね」


 全体発表を終えて班のテーブルへと戻った時、開口一番に越谷さんは悪戯っぽい笑顔を浮かべた越谷さんに指摘されてしまう。うっ、その言葉は凶器ですよ……。


 「まあ、でも上手く発表できてたよ。流石リーダー」


 ガクンと項垂れる僕に対して川口さんが優しく褒めてくれる。うう、川口さん優しいな。そんな優しい言葉をかけるから男子にモテるんじゃないかと思った。その後は全ての班の発表を終わった。夕食の時間までは部屋で待機という事らしい。


 「おい、春日部」


 部屋に戻ろうかという時になって本庄君に呼び止められる。


 「どうしたの?」


 「どうしたのじゃねえよ。越谷さん良いのかよ?」


 「うっ、怒ってるだろうし。待った方が良いのかと……」


 本庄君はハアとため息をつく。また呆れられてしまったのだろうか。


 「いやいや、だからこそ話した方が良いだろ。それにそんな怒る様な事言ってないんだから、平気だって」


 「う、うん。分かったよ」


 近くにいた越谷さんは部屋に戻ろうとしているようだ。僕は深呼吸をして呼び止める。


 「こ、越谷さん」


 「……何?」


 「あ、あのさ、ちょっと話を……」


 「分かった」


 あれ、何を話すか、まだ言っていないのに良いのだろうか。兎も角、謝る機会を貰えるようなので素直に喜んでおこう。


 「ただ、ここで話すのはあれだからちょっと外行こ」


 「う、うん」

もしよろしければブクマや☆、いいね、感想いただけると幸いです。


この後の展開どうしよう……。

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