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 「火ってどうすればいいんだ?」


 「まず、ご飯とカレーの準備してからだよ」


 「あっ、そうか」


 取り合えず男性陣はカレー用の鍋や皿、飯盒などを洗っている。その間、女性陣は野菜切ってもらう。作業用のテーブルで三人並んでいる。


 「あ、越谷さん、野菜なんだけどカレー用の人参とかジャガイモは皮剝いた後、多少小さく切ってね」


 「あっ、あんまり大きいと火通らないか」


 食器を洗いながら越谷さんに指示を出す。自分でも作業しながら人に指示出しをしてみて思うがこれかなり大変だ……。かといって自分が作業しない訳にもいかなしどうしたものか……。


 「春日部、こっちは小川と洗うからあっち見てやれ」


 「え、でも」


 「こっちの作業やりながら向こうの様子見るのキツイだろ。洗い物は俺達でも出来る」


 「わ、分かった」


 僕は手を布巾で拭いてから女性陣のいるテーブルまで移動した。女性陣の様子を見てみると手分けして野菜を切っているようだが、越谷さんはかなり手際が良いように見える。


 「越谷さん、包丁さばき良いね」


 「フフ、まあね。家一人の事も多いから自分で料理作ることもあるし。まあ、朝とか昼は面倒だから買ってきたもの食べるけど」


 なるほど、普段から家で料理をしているのならばあの包丁さばきも納得だ。入間さんと川口さんを見ると中々に苦戦しているように見える。特に川口さんは野菜を切る度にダーンとまな板に包丁を叩きつける音が響いている。力を込めすぎです。


 「か、川口さん、そんなに力込めなくても野菜切れるよ?」


 「そうなの?この方が一刀両断出来て良いんだけど」


 な、何で料理で一刀両断に拘るんだろう……。おかげまな板に多少切り傷が入ってしまっている。ただ、武士みたいな事を言い出す川口さんが面白くてふと笑みが零れる。


 「むっ、春日部、この後どうするのよ」


 越谷さんが何故か膨れっ面で質問してくる。あれ、この一瞬で何で不機嫌になっているんだろうか。ちなみに入間さんは横で苦笑いをしている。


 「え~と、そうしたら川口さんお米研いでもらっていい?越谷さんと僕でサラダ用の野菜も切っちゃうよ」


 「了解!!」


 正直な事を言うと、川口さんに包丁を使わせるとまな板や包丁がボロボロになってしまう危険性を考えた。器具は合宿所の借り物なので大事に扱わないとだし。という事で川口さんと入間さんには米を研いで炊いてもらう事にした。その間、本庄君と小川君は火おこしの準備をしてもらおう。


 「いや、それにしても川口さんの包丁怖かった……」


 「ハハ……」


 川口さんが洗い場に行ったからか、越谷さんが溜息を付いている。僕がいない間に隣であんな包丁さばきを見せられたらそりゃ怖いですよね……。僕達は並んで野菜を切っている。何か男女で並んで作業をするって何か不思議な感覚だ。


 「そういう春日部は包丁慣れている感じ?結構上手い」


 越谷さんは僕が野菜を切っている様子を見て褒めてくれる。


 「いや、合宿行く前に家で練習してきたから……」


 「アンタ、何か小心者というか、真面目というか……」


 すいません、その二つの言葉はだいぶ違うので後の方の評価にしていただいてもよろしいでしょうか?


 「いや、それでも越谷さんの方が全然上手いよ。将来、良いお嫁さんになるんじゃないかな」


 「え!?」


 あ、やば、言った後に気付いたがこういうのってセクハラになるんだよな。ふと心に思った事を口走ってしまったけどまずかったかな。


 「ご、ごめん。今の無かった事に……」


 「う、うん……」


 二人の仲で気まずい雰囲気が流れる。ああ、何で僕はあんな失言をしてしまったんだろう。おかげで越谷さんの顔を見れない……。


 「あ、あのさ……」


 「うん?」


 越谷さんがモジモジと何か言いたそうにしている。僕への糾弾だろうか。甘んじて受けますので極力手加減をお願いしたいです……。


 「そ、それだったら今度、料理を作ってあげようか?」


 「え?」


 僕への糾弾かと思っていて身構えていたら予想外の事を告げられた。

もしよろしければブクマや☆、いいね、感想いただけると幸いです。


昨日は頭痛すぎて更新できず申し訳ないです……

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