表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/85

39

 騒乱の班決めを終え、その後の授業も行われた後、昼休みになった。


 「春日部~、昼食べるよ~」


 越谷さんがいつものように机をくっつけてくる。もうすっかり慣れたけど、これ女子と一緒にご飯食べてるんだよな。周囲の男子が睨みをきかせてきてるし。僕は微妙に居心地が悪い中、鞄から弁当を取り出そうとした時だった。


 クラスの扉の辺りがザワザワとしだす。この流れ前にもあったなと感じ、見てみると例のごとく、川口さんが立っていた。川口さんが僕の姿に気が付いたのか。こちらへ向かって歩いてくる。


 「春日部君、ここでお昼食べてるの?」


 「う、うん。川口さんAクラスに何か用があって?」


 川口さんが普段来ないAクラスに来た理由が気になって尋ねてみる。すると川口さんは顔を赤くしている。どうしたんだろう。


 「え、えと、春日部君と一緒にお昼食べたいと思って……」


 「くえ?」


 予想外過ぎる回答に僕は変な鳴き声をあげてしまった。な、何で僕と一緒にお昼を?よく見ると川口さんは自分の弁当を持ってきているようだ。


 「はあ……、前の席の子、昼休み中戻って来ないからそこ座れば」


 僕の間抜けな返事を見かねた越谷さんが席に座るように促す。それを聞いた川口さんは笑顔になって席をくっ付け始めた。え、僕これから越谷さんと川口さんとご飯食べるの?僕は遠くで別のグループでご飯を食べている本庄君を見る。すると本庄君はこちらにウィンクしてきた。僕はこの時、初めて本庄君にキレそうになった。


 「春日部、何処見てんの。ご飯食べるよ」


 「へい」


 僕が本庄君を見て助けを求めていたのがバレたのか、早く用意しろと促される。僕は諦めて弁当を広げながら周囲を見渡す。当然この時、クラス内はザワザワ騒がしくなっている。


 「ごめん、やっぱり私が来ると落ち着かないよね」


 「そ、そんな事ないよ」


 「そこらへんの奴なんて気にしなくていいでしょ」


 川口さんが謝ってくるので、慌ててフォローをする。そうだ。周りの人達なんて関係ないんだからさっさと昼食を食べよう。


 「おっ、今日のおかずは唐揚げか」


 「あ、春日部君の美味しそう」


 僕が弁当を広げると、川口さんが覗き込んでくる。うおっ、凄い見て来るな。


 「春日部のママ、料理上手いよね」


 「ふふっ」


 急に川口さんが笑う。何が可笑しいんだろう。


 「ごめん、ごめん、越谷さんがママって言うの可愛いから」


 「っ……」


 ああ、僕は会話している時にたまに親の話題が出るとママって呼んでいるの知ってるから何とも思わなかったけど確かにイメージと違うのかな。


 「……いいから食べるよ」


 越谷さんはレジ袋からサラダとおにぎりを取り出した。女子って食べる量少ないよなと思いながら自分の弁当を食べる。


 「そういえば、新入生合宿って割と私服で過ごすんだよね」


 「そうらしいね。何、春日部私服ないの?」


 「う~ん、普通の服は殆どないんだよね。家で着ている服、姉ちゃんにクソダサいから買ってこいって言われた」


 「どんな服なの?」


 「真ん中にブラックドラゴンがいてよく分からない言語が書いてあるTシャツ」


 「小学生じゃん……」


 越谷さんに鋭すぎるツッコミを入れられて心にダメージが入る。確かに昔大きいサイズ買ったから今でも着られてるけど流石に外では着れないって分かってるから!!


 「そ、そしたら今度の休み一緒に服買いに行く?私も合宿前に揃えたいものあるし……」


 「えっ、よ、よろしくお願いします……」


 まあ、正直、僕のセンスで服を買うより越谷さんチェックを通した方が良いだろう事は僕にも分かる。すると、川口さんが何か言いたそうにしている。


 「川口さんどうしたの?」


 「あ、あのさ、その買い物私も行っていい?」


 その時、僕は箸で掴んでいた唐揚げを落とした。

もしよろしければブクマや☆、いいね、感想いただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ