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 ここ一週間、僕は越谷さんに出来る限りの事をしたように思う。放課後だけでなく昼休みまで勉強をするって言ったときの越谷さんはこの世の終わりの様な顔をしていた。そして本日、テスト当日の越谷さんの顔はというと今までのストレスからか眉間に皺が寄ってるからかいつもより更に怖い表情になっている。


 「テスト……、ホロボス……」


 越谷さんが何か恐ろしい事を呟いている気がするが気にしない。僕は僕で良い点を取らないと勉強会をした三人に示しがつかない。そんな事を考えていると上尾先生がやってきた。いよいよ高校生初のテストだ。いざ勝負。


 

 そうして二日間に渡る中間テストが終わった。僕の出来栄え的には全教科90点前後は取れていそうな気がする。流石に入試の時の様に満点とはいかなそうだが、各先生がどういう問題作りをするかは分かった。期末はもっと取れるだろう。そんな事より問題は越谷さんだ。僕は気になって横の越谷さんを見る。


 「…………」


 全てのテストが終わった時、隣の越谷さんは何か真っ白に燃え尽きていた。越谷さん本当によく頑張った。


 「越谷さんお疲れ様。よく頑張ったね」


 「……ご褒美」


 「え?」


 「ご褒美欲しい!!」


 「ご、ご褒美か……」


 僕が越谷さんへのご褒美を悩んでいると、クラスの前の方がザワザワし始めた。何だろうと見ると入口に川口さんが立っている。隣のクラスの川口さんがこっちのクラスに来るなんて珍しい。なるほど、学園のアイドルである川口さんが現れたからクラスがザワザワしているのか。僕が川口さんを見ていると川口さんとふと目が合った。


 「あっ、春日部君!!」


 「か、川口さん」


 川口さんは僕を見つけた途端手招きをする。僕に用があったという事なのか。急いで川口さんの元へ向かった。


 「春日部君、テスト開けの委員会についてで話があるから、すぐ図書室でその説明会するんだって」


 「え、テスト終わったばかりなのに?」


 「ええ、そうみたい。もう少しで始まるから隣のクラスの私が春日部君に話してきてくれって先生に頼まれたの」


 「分かった。すぐ行くよ」


 「準備出来たらすぐ来て。私は先に行って先生にすぐ来るって伝えるから」


 そう言うと川口さんはすぐに図書室へ向かった。僕も鞄持って行かなきゃか。すぐに自分の机へと戻る。すると越谷さんがどこか陰のある表情で僕を見つめていた。


 「こ、越谷さん……あの」


 「ちょっとだけど話聞こえたよ。委員会でしょ」


 「う、うん。だから今日の所は……」


 「分かってる。先に帰るよ」


 「ご、ごめん、ご褒美また……」


 「大丈夫だから、すぐ始まるんでしょ?」


 僕は後ろ髪を引かれながらも急いで鞄を持って図書室へ向かった。図書室へ向かう途中は越谷さんの表情を思い出していた。


 図書室に着くと全図書委員と先生がすでに集まっていた。僕は頭を下げて空いていた川口さんの隣に座る。そしてテスト開けの委員会をどう進行していくかの説明が行われた。およそ30分程度で終わり、図書室を出ると校内が静かになって外の部活動の声以外聞こえなくなっていた。


 「春日部君」


 後ろから川口さんから声をかけられる。


 「川口さん、どうしたの?」


 「テストお疲れ様。出来栄えはどう?」


 「まあ良かったよ。全教科90点くらいじゃないかな」


 「フフッ、流石」


 話ながら思ったがオフの川口さんと話し方全然違うな。


 「で、春日部君ってこの後用事あるの?」


 「……、いや無いよ」


 本来なら越谷さんと何処かへ行っていたのだろうか。少し頭をよぎったが今の所予定はない。


 「それなら私達で中間テストお疲れ様会でもしない?」


 「え?」

もしよろしければブクマや☆、いいね、感想いただけると幸いです。


とうとう週間2位まで上がりました。皆様本当にありがとうございます。

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