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これから頑張って書いていきますのでよろしくお願いいたします。

 こうして無事コーヒーを買えた僕たちは窓際の二人席で向かい合うように座った。


 「で、この後どこに行こうか」


 越谷さんは頬杖をつきながら話しかけてきた。ふむ、女子と遊ぶ時は何処に行けばいいのか全く分からない。ましてや越谷さんのようなギャルが行くところなんてどこなんだろう。不良だったらゲーセンでたむろしているんだろうけどギャルなだけで不良って訳じゃなさそうだし。


 「あ、でも先に財布買いに行こうね。あれ、ホントにダサいから」


 「へい」


 あの財布、そんなにダサいのかとガックリ。長年一緒に過ごしてきた相棒(?)のようなものだと思っていたので多少ショックである。マジックテープが一体何をしたって言うんだ。

 

 「春日部、またアホみたいな事考えてるでしょ」


 失礼な。イカした財布との最後の記憶を思い起こしているだけではないか。と思ったが怒られそうで怖いので黙っておく。陰キャは余計な事を言ってはいけないのだ。


 「でその後だよね~」


 「越谷さんは欲しいものとかないの?」


 「う~ん、服も最近買っちゃったし特にないんだよね」


 なるほど、越谷さんの欲しいもの見に行こう大作戦はダメか。相手が行きたい所に合わせる、これも陰キャの処世術だ。まあ、自分の行きたい所を考えるのも、行きたい場所が出ても相手が嫌がる可能性とか色々考えるのが面倒なだけなのだ。だが、それじゃあ越谷さんだけに考えさせることになってしまう。


 「越谷さんだけに押し付けるのはダメだよね」


 「え?」


 僕は勇気を出す事を決意した。もし行きたい場所を断られてもまた考えればいいんだ。失敗したって越谷さんは責めるような人じゃない。すっと窓の外を見渡す、すると少し歩いた所に水族館があるのを思い出した。


 「あ、あのさ、越谷さんが嫌じゃなければなんだけど」


 「う、うん」


 何時もと様子が違う僕に戸惑っているのだろうか。越谷さんは少し困惑した様子だが、構わない。


 「す、水族館なんてどうかな?学生だったら1500円で行けるはずだし」


 「す、水族館……」


 だ、ダメだろうか。だったらまた新たに行く場所を考えるだけだ。


 「ごめん、そうしたら……」


 「ち、違うの!!」


 越谷さんは僕の言葉を遮って話す。


 「なんか、春日部が水族館に行きたいって言うと思わなくてビックリしただけ」


 「そうなの?」


 「うん、良いと思う、私春日部と一緒に水族館行きたい」


 そういって彼女は微笑んだ。その眩しい笑顔に僕は見惚れてしまった。


 「……、そんなに凝視されると恥ずかしいんだけど」


 はっ、見惚れすぎて何秒か見つめてしまっていたらしい。越谷さんは顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。


 「すいやせん!!」


 「別に怒ってないけど……」


 そう言って彼女はコーヒーに口を付ける。僕も慌ててコーヒーに口をつけて慌てて喉に流した。すると熱い液体を一気に流し込んだせいで口の中で火傷して咳きこんでしまった。


 「もう、何してんの」


 越谷さんはポケットに入れていたのだろう。ハンカチを出して僕の口元を拭った。


 「越谷さん、ハンカチ……」


 「良いから、ほら動かないで」


 彼女に言われるまま固まって拭かれるのを待った。体勢からか越谷さんの顔が目の前に来て僕は照れてしまう。しかし彼女からの命令で動けないので脳内で宇宙にいる猫を想像して耐えた。


 そんなこんながあった僕らは取り合えず近くの雑貨屋で僕の財布を見る為に喫茶店を出た。

もしよろしければブクマや☆、いいね、感想いただけると幸いです。

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