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「ごめん。話逸らしちゃったね……」
「いや、本当の事だから大丈夫……」
確かに今、越谷さんと川口さんの告白を保留している僕が何いっ天王（爆笑ギャグ）っていう感じである。入間さんどうこうより先に自分の問題をどうにかしなければいけないじゃないか。僕は、あああとうめき声を出しながら頭を抱える。
「ふふ、でも励ましてくれてありがとね」
「え？ああ、全然励ませているか分からないけど……」
「そういうのって上手く出来ているかより、私の事を励まそうとしてくれてるって事が嬉しいんだよ」
入間さんは首をかしげながら僕を見つめてきた。入間さんもかなりの美少女なので今の二人きりだとドキドキしてきちゃうな。そんな事思っちゃいけないのに。
「で〜も、二人の気持ちにはしっかり向き合わなきゃ駄目だよ。二人だって悩んでるだろうし」
「ぐはっ」
分かっている。分かってはいるがその事実を改めて人に言われると心に鋭利なナイフが突き刺さる。だが、僕なんかより二人の方が思い悩んでいるのだ。僕だっていつまでもウダウダ言っている場合ではない。
「二人共、ちょっと違う感じではあるんだけど、僕が告白するのを待つって感じなんだよね……」
「え、嘘でしょ。私、この状態から春日部君の恋愛相談受けるの？」
そう言われれば、本庄君が好きな人がいるって悩んでいる入間さん相手に僕の恋愛相談をしようとしていた。これは大変失礼な事なのではと言われて気付いて嫌な汗が出てきた。
「いや、今のは無かった事に……」
「ふふ、ウソウソ。私も気分転換に春日部君の話を聞いてあげようじゃない」
入間さんは満面の笑みで僕を見つめる。笑って何時もの元気な入間さんに戻ってきたみたいだ。僕の話を聞いて落ち着いてくれるなら話すべきか。二人の話は入間さんだって気になっているだろうし。
「ありがとう。でも詳細は越谷さんから聞いてるんじゃないの？」
「勿論、春日部君の愚痴はよく聞くよ。でもそんな詳しい事、本人が言うわけ無いじゃん。まあ、瑠衣分かりやすいから大体分かるけど」
そうなんだ。二人とても仲が良いからそういった恋愛相談みたいなのをお互いにしていると思っていた。というか待って欲しい。そんなに僕の愚痴を言っているの？
「愚痴って？」
「え、鈍いとか、川口さんにデレデレしているとかボケっとしてるとか色々」
「さ、さいですか」
僕はそんなつもりないのだが不満は溜まっているらしい。そんなに変な事しているかなあと全く自覚がないので首を傾げる。
「……、でもそっか二人は思いを告げたのに諦めないんだ。すごいな」
「え、何でそれを？」
「ん？二人とも春日部君が好きって事を知ってるってことは告白されたってことでしょ。それじゃなきゃ春日部君が分かる訳無いんだもん」
「……」
確かに僕は鈍いから告白されるまで僕の事を好きだなんて信じられませんでしたけど！！というか僕ってそんなに分かりやすいのか！？
「だったら私も諦めなくて良いのかな」
「……」
ごめんなさい。それに関しては返事を待たせている僕からは何も言えません。諦めないほうが良いよって言ってあげたいけど、お前、どの立場で物申しとんねんとツッコまれかねない。
「ああ、春日部君に意地悪言っている訳じゃないよ？ただ、二人カッコいいなあって」
「本当に……、それなのに僕はダサいよね」
「ふふ、二人が諦めが悪いだけでしょ？まあ、春日部君がダサいっていうのは否定しきれない所だけど」
「そうだよね」
僕は空を見上げて己の無力さを嘆く。
