ここはどこ?
――目を覚ますとお花畑の中だった。
視界に入る白く高い壁。
分厚そうな壁が一面に広がる。
「……わたくしは、いったい」
周囲を見渡すと巨大な壁に囲まれたお屋敷であると認識できた。
「これは……わたくしのお屋敷ではありませんわね」
明らかに覚えのないお屋敷だった。
それに、この壁。よじ登っていけるような高さではない。伝承にある巨人でも厳しいでしょう。……つまり、わたくしは閉じ込められている?
でもどうして。
人の恨みを買うような覚えはありませんし、最近の大きな出来事と言えば……幼馴染に婚約破棄されたくらい。それなのにこれは……なんの罰なのでしょう。いえ、罰なのかも分かりません。
「ここ、どこなの?」
お屋敷の方へ向かい、中へ入る。
踏み入れると、天井の高い豪華な居間があって机やテーブルが綺麗に設置されていた。
ティーセットもあって、そこへ添えるように『手紙』もあった。これって意識を失うあの時、手元にあったものと一緒よね。……もしかすると何か書かれているのかも。気になってわたくしは開封する。
「……えっと」
手紙には『三日後に迎えに行く』とあった。更に今回は詳しい事も書かれていた。
①屋敷は自由に使って良い
②外出は一切許されない
③脱走は死を齎す
④食事は担当の者が提供する
⑤入浴も担当の者が従事する
「な、なによこれ」
やっぱり、わたくしは閉じ込められたの。……まって、続きがある。
【首輪について】
貴女の首に『ヒュドラの首輪』を取り付けさせてもらった。これを取る方法はひとつしかない。三日間を静かに過ごすだけ、それだけだ。
なお、無理に引き剥がすと猛毒を注入される仕組みになっている。
「も、猛毒ですって……!?」
嘘……でしょ。
確かに、わたくしの首には首輪が取り付けられていた。いつの間にこんな物騒なモノを。しかも、無理矢理取ってしまうと猛毒で死んでしまうわけね。こ……これには触れないでおきましょう。
――それにしても、三日間を静かに過ごすだけ? 何かの試練にしては簡単すぎる。ただ耐え抜けばいいだけよね。それなら何とかなる。きっと、この首輪だって取って貰えるはず。
幸い住居は快適だし、不便もなさそう。
余裕だわ!
でも、あれ……。




