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氷の公爵令嬢と炎の皇子  作者: 桜井正宗


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10/12

侯爵の男

 ヴェルダンディちゃんに案内され、わたくしはお風呂に入った。


 東の部屋には予想以上に広い浴場があった。中は神殿のような造り。ライガーの口からお湯が出ている。最新のジェットバス付き。



「なにこれ、広……」



 広い空間だけではない。外の風景も凄かった。窓辺には星空が広がっていた。……こんなに夜空が近いとか、あんな高い壁があるのにこんな風に見えるという事は……これは魔法が使われているのかも。



「わぁ、これは素晴らしい」



 あまりの美しさに感嘆(かんたん)する。こんな場所があるのなら、ちょっと悪くないかなって思った。


 足から入って、ゆっくりと肩まで浸かる。今までの疲れが吹き飛ぶようだった。なんとまあ癒される……。



 ◆



 入浴を終え、居間に戻ればジークムントとヴェルダンディちゃんが何か話し合っていた。


「――ジークムントさん、この城塞スクルドは三日後に」

「分かっております。これは全て、あの方の計画でしょう。……おや、ソフィ様」



 二人ともこちらを見つめ、少しぎこちなかった。今の会話、ちょっと気になる。



「ヴェルダンディちゃんはこの城塞の設計者よね」

「そうです」

「それは理解できたけど、ジークムントはどうして執事として招待されたの? 心当たりは?」



 わたくしが聞くと彼は思い当たる節があるのか、神妙な面持ちだった。



「……分かりますよ。きっと、どうしても私に担当して欲しかったのだと思います」

「だから、どうして」

「見極める為に、でしょうか」

「分からないわね。何を見極めるって言うの」

「ソフィ様でしょう。貴女が中心となっているので、きっとこのお屋敷だってソフィ様の為に作られたんでしょう。必ず意図はあるかと」


 わたくしの為に。

 そういえば、さっきヴェルダンディちゃんが茶化してきたように、愛とか何とか。……そんな、まさか。



 となると、ジークムントもヴェルダンディちゃんも単に選ばれただけでなく、何か共通点とかあるのかも。


 聞きたいのだけど、今日はもう眠い。

 やっと一日目が終わる。



「……寝るわ」

「分かりました。では、就寝になられるのでしたら、この居間にあるベッドをお使い下さい。私とヴェルダンディは床で寝ます」


 なんてジークムントは提案した。


「うーん、ヴェルダンディちゃんは一緒に寝るとして、ジークムントはせめてソファを使いなさいな。ほら、そこにあるでしょ」


「なるほど、その手がありましたか」



 素で気づかなかったのか、手を叩き感心していた。わざわざ冷たい床で寝る必要はないでしょう。


「じゃあ、ヴェルダンディちゃん」

「はい、お風呂へ行って来ます」




 交代でお風呂を済ませ、ようやく就寝。

 消灯も済ませ、ヴェルダンディちゃんをわたくしのベッドに、ジークムントはソファを使って貰った。それにしても……ヴェルダンディちゃん、小さくて可愛い。お人形さんみたいだった。




「ヴェルダンディちゃん、どうして設計なんてしたの」

「父が設計士だったんです」

「へえ、凄い」

「でも……父はある貴族に騙されて、自ら命を絶ちました。その貴族の名は『アイザック』という侯爵の男です」



 ウルズ帝国のお屋敷もお父さんやその代々が設計していたとか。それからヴェルダンディちゃんは父の遺志を継ぎ、設計士として頑張っていたようだ。


 その腕前が広まると仮面の人物にスカウトされ、今回に至ったみたい。それでこんな城塞を……。



 ……ガタッ!



 突然、物音がした。



「え、なに……?」

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