9-7 なんですと?
9ー7 なんですと?
万事休す?
そのとき、俺の中のラニが囁いた。
僕に任せて。
俺は、ナノの背に跨がったまま、背後から来る敵に向かって叫んだ。
「炎の剣よ、我が敵を燃やし尽くせ!獄炎剣!」
炎がアンデッドを凪ぎ払った。
アンデッドたちは、なすすべもなく燃え上がっていく。
俺は、敵が一掃されるのを見届けると身を乗り出して崖の下を見た。
うわっ!
俺は、のけ反りそうになった。
崖の下には、さらに大群のアンデッドたちの姿があった。
俺は、背筋がぞわぞわしていた。
本当、俺、お化け系って苦手なんだよ!
また、光が走る。
俺の目が光を追い、それを捉えた。
光のもとにクロとアル兄たちの姿があった。
囲まれている!
「アル兄!」
俺は、呼び掛けた。
「リオン、それから、クロ!」
あっ、ラクアスもいたっけか?
「「メリッサ!」」
彼らがこっちに気づいて俺の名を呼んだ。俺は、間髪いれずに叫んだ。
「身を屈めろ!」
俺は、彼らが屈むのを見る間もなく魔法を唱えた。
力が。
体の奥から魔力が沸き上がってくるのを感じた。
「燃え上がれ、炎獄の炎よ!爆竜炎!」
ごぅっと炎が渦巻きクロたちを取り囲んでいるアンデッドたちを飲み込んでいく。
粗方の敵が灰に還っていくのを確認すると俺は、ナノを促して崖の下へと降りた。
俺たちを乗せたナノは、まだ煙をあげているアンデッドたちの亡骸の原へと飛び降りるとクロたちの方へと歩んでいく。
「凄まじいな、あなたの炎は」
クロの影からラクアスが現れた。
「まさに、悪魔を焼き尽くす善神 ヴィシャスの炎だ」
ラクアスは、ナノに乗った俺の足元へとひざますいた。
「やはり、私の国を救えるのは君しかいない。どうか、私の婚約者として私の国へ来てはくれないだろうか、メリッサ」
はい?
俺は、いきなりのラクアスのプロポーズに固まってしまった。
「な、なんで?」
「理由は、私から話そう」
転移ゲートが開いてルーラとハインリヒたちが姿を現した。
「これは、ガーランド公国にとって重要な案件なのだ」