7-8 ダンジョンへ行こう!
7ー8 ダンジョンへ行こう!
翌日、朝早くから俺たちは、アンナ先生に、たたき起こされた。
そして、それぞれのカップリングの相手と監督上級生たちと一緒にルオの街の外れにある人気のないダンジョンへと向かった。
そこは、ただの洞穴にしか見えないが、俺は、胸が高鳴っていた。
このルオの街は、ダンジョンシティと呼ばれている。
大きなダンジョンがここの他に2つぐらいあるらしく街の通りは冒険者たちや、彼らを相手にする店で賑わっている。
そんな中で、この町外れのダンジョンは、初心者へのレクチャー用のダンジョンだといえた。
噂では、このダンジョンは、この辺の小学生たちが学校の遠足でくる場所らしい。
地元の子供の遊び場ダンジョン。
それが、このダンジョンだ。
「いいですか、みなさん、気は抜かないで、しっかり集中して。怪我がない様に気をつけてね」
アンナ先生が朗らかに言って、俺たちの初めてのダンジョン探索が始まった。
「さあ、行こうか、メリッサ」
アル兄が俺の手をとって歩き出すと、回りの女子たちが一斉に視線を向けてきた。
確かに、大人っぽくなったアル兄にリオンの2人は、かなり目立っていたし、それに、この『花嫁クラス』の中では、一番人気のイケメン男子 クロ、そして、存在感がないわりに男前なクロノ君。
うん。
女子たちの視線が刺さる刺さる。
ちょっとした針のムシロ状態だよ!
「アル兄、手、離して」
俺は、アル兄に言ったけど、アル兄は、離してはくれなかった。
アル兄は、言った。
「僕は、もう2度とメルの手を離すつもりはない」
マジですか?
「アルムばっかズルいぞ!」
クロが俺の空いている方の手をとる。
「こっちは、俺が!」
「やめろ!」
俺がクロを振り払おうとしたとき、クロノがクロの手をとって言った。
「ぼ、僕、実は、ダンジョン初めてで、ありがとうございます、クロさん」
「はい?」
キョトンとしているクロをよそにキティがクロノの手をとる。
「わ、わたしも、です」
「いやあ、よかったね、君たち」
リオンがくっくっと笑った。
「ダンジョンに入っても、これなら迷子にはならなくてすむよ」
くっ!
俺は、リオンを睨み付けた。
こいつ、めっちゃ面白がってる!
だがしかし!
俺たちは、このままの体勢でダンジョンをしばらく進んでいった。
すれ違う連中がくすくす笑っているけど、誰も手を離そうとはしなかった。
ダンジョンの中は、薄暗くってちょうどこの体勢が安心だったのだ。