7-2 女子ってこんな会話してるの?
7ー2 女子ってこんな会話してるの?
その日の昼休みのことだ。
俺は、数人の女生徒に囲まれて話しかけられた。
「ガーランド様?」
「はい?」
初めてクラスメートに話しかけられてビックリしている俺に彼らは言った。
「あの、よかったらお昼をご一緒してくださいませんか?ガーランド様」
「別に、いいけど」
俺は、なんだかむずむずしながら答えた。
「クロも一緒だけど、いい?」
彼女たちは、顔を見合わせてもじもじしていたが、その中の1人、赤毛で青い目のショートカットの活発そうな女子が言った。
「もちろんOKですわ、ガーランド様」
というわけで。
俺と3人の女子とクロは、学園の屋上にある庭園の隅にある東屋で昼食をとることになった。
俺とクロの弁当は、大きなバスケットの中に入れられていた。これは、いつも昼飯前にサイが届けてくれてそのまま給餌してくれるのだが、今日は、サイには、席を外してもらっている。
バスケットの中には、油紙に包まれたパンに肉や野菜の挟まれたものがいくつかとお茶のポットとカップが入っている。
俺は、カップを出すとそれにお茶を注いだ。
クロは、居心地悪そうに少し離れた場所に腰かけていた。
ううっ。
気持ちは、俺もクロと同じだった。
だって、俺、こんな女子に囲まれて何を話せばいいわけ?
考えてみれば、俺、今まで、女の子の友だちとかいなかったしな。
「でも、ガーランド公国のお姫様がわたしたちのクラスにいるなんて、びっくりですわ」
赤毛で青い目のクリス・ライナスが自分の筒状の弁当箱に入ったごった煮みたいなものをつつきながら言った。
「おかげで父様が喜んでおりますわ」
「なんで、親父さんが?」
俺がきくと、クリスが恥ずかしそうに答えた。
「あの、うちの父様は、貴族や王族に憧れているものですから。そのせいで、わたし、今度、貴族の8男と婚約することになりましたの」
「八男!?」
俺が驚いていると、淡い金髪の長い髪に、茶色の瞳の美少女 レティ・ガルダードが固そうなパンの欠片を器に入れたスープに浸しながら言った。
「あら。わたしは、貴族の6男と婚約しておりますけど。まだ、わたしたちは、ましですのよ。中には、貴族の愛人の子とかもありますもの」
「そうですわね」
黒髪に黒い瞳のちょっと日本人ぽいサラ・ランディーズが頷く。
「わたしは、3男ですけれど、もう扱いは、ほとんど使用人と変わりませんわね。だから、早く結婚したいと言われておりますわ」
マジかよ?
俺は、お茶を吹きそうになっていた。
この世界の女子ってこんな会話してるの?
「へぇ・・みんな、もう、婚約者とか決まってるんだ」
俺が言うと3人は、きっ、と俺を見つめて声を揃えた。
「「「当たり前ですわ!」」」
マジなのか?
まあ、俺もかなり早くに婚約してたけどな。