7-1 花嫁クラス
7ー1 花嫁クラス
俺とクロのクラスは、普通のクラスだったが、なぜか、劣等組と呼ばれていた。
理由は、このクラスの連中のほとんどが商人や下級貴族の子女だったからだ。
彼らは、将来魔導士として就職するわけでもなく、ただ、肩書きとしてこの学園に来ているものが多かった。
そのためか、クラスの構成は、圧倒的に女子が多い。
だから、このクラスは、別名『花嫁クラス』とも呼ばれていた。
でも、俺は、このクラスの方が好ましかった。
俺が本来入る筈だった特別クラスなんかよりずっといいよ。
でも、俺とクロは、最初クラスで浮いていた。
それは、仕方のないことだと俺は、諦めていた。
学校が始まってしばらくたった頃、クラスの担任である治癒術の教官であるアンナ・ゴールディ先生がクラスの全員を中庭にある闘技場に集めて言った。
「これからみなさんの魔力の属性とその魔力量を計測します」
俺たちは、順番に前に置かれた水晶の玉のような魔力測定器に触れていった。
触れたときの水晶の色と輝きで測定するらしい。
クロの番がきてクロが玉に触れた。
玉は、青く透明な光を放つと砕け散った。
「あらあら、この魔力測定器、古かったから壊れていたのね」
アンナ先生は、ふわゆる美人だけど少しのんびり屋さんだ。
先生は、魔力測定器を取り替えるともう一度クロに触れるように言った。
クロは、渋りながらもその玉に触れた。
そして、また、爆発。
マジかよ!
まあ、当たり前か?
だって、こいつ、聖獣様だし。
しかし、アンナ先生は、へこたれなかった。
クロを後回しにして他の生徒たちの測定を始めた。
そして、俺の番。
俺は、嫌な予感がしていたけどアンナ先生のキラキラした目には逆らえず、そっと玉に手を伸ばして触れた。
すると。
玉は、虹色の光を放っていたが、最終的には青い輝きを放ちつつ、木っ端微塵に割れた。
「ええっ?」
アンナ先生は、泣きそうな表情を浮かべて俺を見つめていた。
「また、なの?」
結局、もう一台計測器を持ってきて他の連中の計測をすませた。
俺とクロはというと、測定不能ということになったのだった。