5-9 ポンコツ姫と3人の騎士ですか?
5ー9 ポンコツ姫と3人の騎士ですか?
俺たちは、俺の部屋の一角にあるリビングのソファにそれぞれ腰かけてメイドさんの入れてくれたおいしいお茶を飲んでいた。
俺もそうだけど、あの3人も見違えるように小綺麗な格好になっていた。
「どこぞの騎士様かと思ったぞ」
俺が言うと3人が明るく笑い声をあげた。
「で?いきなりきて、なんのようだよ?」
俺がきくと、 ハインリヒは、お茶のカップを前にあるテーブルに置いて俺に向き直った。
「この度、事態がこんなにも好転したのは、すべて、あなたのおかげです、メリッサ様。あなたがいなければ、我々は、今ごろあの島で死に絶えていたことでしょう」
「本当に」
グリムが頷いた。
「しかし、まさか、あなたがかのガーランド公国の姫君だったとは。てっきり私は、あなたは、どこかの田舎の貴族のご令嬢なのだろうと思っておりました」
「こらっ!グリム!」
ハインリヒがグリムを怒鳴り付け、グリムがしまった、という様な表情を浮かべた。
俺は、2人の様子に思わず吹き出した。
田舎の貴族の娘、か。
うん。
俺は、目尻から涙を溢れさせながら笑った。
確かにそうだな。
俺が笑っているのを見て、グリムは、ホッと笑顔になった。
「で?」
俺は、涙を拭いながら彼らに訊ねた。
「あんたたちの問題はなんとかなりそうなのかよ?」
「あ、はい」
ハインリヒが答えた。
「第3天魔王 ルーラ様のお力で我が母国を蝕んでいた賊どもは、罰されました。これ以上、彼らが我らの国に害を及ぼすことはないでしょう」
「そうか」
俺は、にっこりと微笑みかけた。
「よかった」
あっ!
3人が俺のことを憑かれたようにみいっている。
俺は、しまった、と思ったが遅かった。
ついつい油断して魅了の力を振り撒いてしまった。
ハインリヒは、まだましみたいだったけど、グリムとレンボストがぽぅっと頬を染めて俺を見つめているのを見て、俺は言った。
「すまん、俺、つい油断してた」
「はい?」
慌てている俺に3人は、きょとん、としている。
俺は、3人にきいた。
「これからあんたたち、どうするわけ?」
「さすがにすぐには国へ帰国は叶わないようです。しばらくは、ガーランド公国のお世話になることになりそうです」
「そうなの?」
俺が問うと、グリムが前のめりになって俺の手をとって言った。
「私たちは、当分、メリッサ様の護衛を勤めることになりました。この命をかけて、何者からもあなたをお守りいたしますので、よろしくお願いします」
うん?
俺は、少しひいていた。
何をよろしくするつもりだっちゅうの!