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婚約破棄から始まるとんでも異世界冒険譚~黒猫の騎士とポンコツ姫~  作者: トモモト ヨシユキ
5 俺が姫だって?いやいや冗談でしょ?
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5-5 その罪の理由は

5ー5 その罪の理由は


数十分後。

俺とクロは、空船のデッキに用意されたテーブルについて熱い紅茶を飲んでいた。

俺は、純白のドレスを着せられて髪を結われ、飾り立てられていたのだが、その姿を見てあの女は、目を細めた。

「さすが、美と愛の女神ウルド神の加護を持つだけのことはあるな」

「そりゃ、どうも」

俺は、ぼそぼそと答えた。

なんなんだ?

この女、俺に気があるのか?

っていうか、俺は、女だ!

というか、男なんだけど女だろうが?

なんか、頭がぐるぐるしてきた俺に女は言った。

「私は、ルーラ。第3の天魔王、炎のルーラ、だ」

はい?

なんですと?

「天魔王、様なんですか?」

「まあな」

ルーラは、にやりと微笑んだ。

「称号は気にしなくてもいい。自分のことを説明するのに便利だからそう名乗っているだけだ」

「天魔王様たちは、空の上のお城に住んじゃねぇの?」

俺がきくと、ルーラは答えた。

「我々だってたまには、地上に介入することもあるさ」

そうなの?

俺は、いい香りのするお茶を一口飲んだ。

「で?」

クロがきいた。

「その偉いさんが俺たちになんの用なんだ?」

「私が用があるのは、メリッサだけだ」

ルーラは、冷たく言い放った。

「お前は黙っていろ」

「なんだと?」

テーブルから身を乗り出そうとするクロを俺は、押さえた。

「それで、その偉い人が俺になんの用があるわけ?」

「まずは、謝らせて欲しい」

ルーラは、俺に頭を下げて言った。

「今回のあなたの反逆罪の件は、私が画策したことだ」

なんですと?

俺は、衝撃を受けていた。

この女が俺を無実の罪に陥れたのか?

「なんで」

「あなたは、訳あって今命を狙われている」

マジですか?

俺は、はっとした。

「あの、王都に来るときに俺たちを襲ってきた奴等?」

「ああ」

ルーラが頷いた。

「あの連中は、亜大陸から来たエルフの刺客たちだ。今は訳は言えないが、あなたは、ああいった連中から命を狙われている」

命を、ですか?

俺は問いかけるようにルーラのことを見つめた。ルーラは、静かに吐息をついた。

「なぜ、あなたが狙われているのかは、きかないでくれ。それは、私からは言えないことだ。だがとにかく、あなたは、命を狙われている。だから、私は、あなたをあの島、古の賢者たちの島、イクサール島へと送り込む必要があった。理由は、2つ」

ルーラが指をたてて見せた。

「まず1つは、あのまま王都にいれば、いつまた刺客に襲われるかわからなかったからだ。そして、もう1つは」

ルーラが俺をじっと見つめた。

「あなたならばあの島の隠された力。『賢者の石』を手に入れられるかもしれないと考えたからだ」

マジですか?


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