5-3 お迎えですか?
5ー3 お迎えですか?
「「「うわぁあぁぁっ!!」」」
大声をあげながら、あの3人が木製の武具を手に女に襲いかかった。
わっ!
俺は、思わず目を閉じた。
悲惨な光景が思い浮かぶ。
「うぐっ!」
「な、何ぃっ!」
「離せっ!」
声がきこえてきたので、俺は、目を開けた。
3人ともクロと同じ魔方陣に捕らわれて動きを封じられていた。
あー。
仕方がないなぁ。
彼らが無事なことに安堵しながらも、俺は、きっと顔をあげて女を睨み付ける。
俺は、木刀を握っている手に力を込めた。
だが、俺が飛び出そうとしたとき、女がそのぞくぞくするような声で囁いた。
「出てきなさい、メリッサ。あなたは、こんな連中の後ろに隠れているような人間じゃないだろう?」
女の赤い瞳が俺のことを見つめているのがわかった。
ちっ、と舌打ちすると、俺は、岩陰から出た。
「俺は、ここだ!」
「ふっ」
女が俺を見た。
「無事だったんだな、メリッサ」
俺は、木刀を構えた。
女が口許に笑みを浮かべた。
「やる気か?」
「当たり前だ!」
俺は、女に殴りかかった。
だが。
女は、軽々と俺の打ち込んだ木刀を掴むと、引き寄せて俺の目を覗き込んだ。
「やはり、手に入れたのだな。あれを」
「くっ・・離せっ!」
女は、木刀ごと俺を投げ飛ばし、俺は、地面に叩きつけられた。
「ぅわぁっ!」
鈍い痛みに俺は、表情を歪めた。
女は、髪の毛1本も動かすことなく、たたずんでいた。
「もう、やめなさい、メリッサ」
這いつくばっている俺の側に膝をついた女が、俺の顎に指をかけ上を向かせた。
「我々は、あなたが思っているような者ではない」
はい?
俺は、女の手を払うとよろめきながら立ち上がって木刀を構えた。
「どういうことだ?」
「それは」
女は、俺の前にひざまづくと頭を下げた。
「メリッサ・コンラッド嬢。我々は、あなたをお迎えにあがったのだ」
ええっ?
なんですと?
俺は、驚きを隠せなかった。
なんで?
どうしてこの女が俺を迎えに来るわけ?
戸惑う俺に女は言った。
「とにかく、話は、船に乗り込んでからだ、メリッサ」