4-2 第1島人、発見?
4ー2 第1島人、発見?
クロは、俺の頬をぺろりとひと舐めすると、静かに喉を鳴らした。
「ちょっと島の様子を見てくる。ここにいれば、安全だろう。ここを動くんじゃないぞ、メリッサ」
俺が頷くと、クロは、すぐに崖を駆け登りどこかへと姿を消した。
俺は、洞窟の入り口に座り込んで、クロが戻るのを待つことにした。
だって、うろうろしたら下に落ちるかも知れねぇしな。
俺は、これから何が必要なのかを考えてみた。
まず、何よりも必要なのは、水だった。
だけど、この島の土は、どう見ても腐っていて、あるのは、岩ばかり。
さっき空船から見たときには、島というより岩の固まりという感じにしか見えなかった。
しかも、草も、苔すら生えていない。
どう考えても詰んでいるだろうが!
俺は、溜め息をついた。
「俺、死ぬのかな・・」
「当然だ。人として命を受けたものは、いつかは、必ず死ぬ」
不意に洞窟の奥から声が聞こえてきて、俺は、びくっと体を強張らせて、身構えた。
まさか・・こんなところに人が?
「どうした?何を驚いている。この島には、毎月何十人という人間たちが流されてくるのだ。1人ぐらい生き延びている者がいれてもおかしくはないだろう?」
マジでか?
俺は、立ち上がると声の主を警戒しながらきいた。
「・・あんた、誰、だ?」
「私か?私は・・この島の主、とでもいっておくかな」
洞窟の奥から白髪の若い男が姿を現した。
年は、20代前半といったところだろうか。
男は、俺のことをじっと見つめるとなんの感情もこもらない声で言った。
「ほう、これはまた。こんな場所でこんな美しいお嬢さんに出会えるとは思わなかったよ。ほんとうに、気の毒なことだ」
「島の主なら、あんた、この島のこと、よく知ってんだよな?」
俺が問うと、その男は頷いた。
「嫌というほど知っているとも。なにしろ、私は、ここに長い間住み着いているんでね」
「じゃあ、どこかに水があるのか?」
あるんだよね?
俺は、思っていた。
この青瓢箪野郎が生きられるなら、水は、あるはずだった。
だが、男は、ニヤリと笑って言った。
「この島には、何もない。当然、水もない」
はい?
俺は、その男を見つめた。
白髪に赤い目をした、風変わりな服装の美しい男だった。
ちゃんと髭も剃ってるし、髪も整えられている。
でも。
なんか、変。
俺は、この男に何か、違和感を覚えていた。